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魔法省訓練9
「凄いですね、初めて見ました」
銃の訓練場では、銃声が響く。
その前には警棒や手錠を見せて貰っている。
「これで魔法で作れる?」
「わかりません」
「とにかく、君は色々なものを見ないとね」
「はい…」
貴久の言葉に、総平は返事をするしかない。
「一度出ようか」
総平が頷くと出る。
ヘッドホンを返却し、二人は元々居た訓練場に戻る。
「さっきも見たよね。警棒を作ってみて」
貴久は作って見せ、同じものを作る様に促す。
「すみません」
警察の道具等滅多に見ないものだ。
「これ、ちゃんと見て」
貴久は投げて渡すと再び警棒を創る。
「ちゃんと受けてよ!」
貴久は言いながら振りかぶった。
それと同時に渡した警棒を消す。
荒療治だ。
「逃げたら駄目だよ!」
壁を造り逃げ場を無くす。
「当たったらごめんねっ!」
貴久が振り下ろすと、総平は横に逃げた。
警棒を放り出し、逃げ回る。
「大会や実戦はこんなものじゃ済まないんだよ!」
貴久は再び追い詰める。
武器はもう手には無い。
せめて警棒があればと、総平は願った。