魔法省訓練8
「さて、移動しましょうか」
秀美は条治に言う。
「何でだよ」
「あなたには武術の基礎が無いわ。だからそちらの訓練に混ぜて貰うのよ」
「はあ?」
「今回、私たちは似た魔法力で組み合わされているの。影には影、水には水みたいにね」
秀美は今回の主旨を伝える。
「貴方は身体に魔力を込めるスタンスが向いていると判断したわ。だから、魔法のまえに武術を鍛えるの。今回はそれをやってもらうわ」
「魔法は⁉️」
「基礎ができれば後は乗せるだけよ」
「簡単に言いやがって」
「じゃあ、行きましょう」
二人は部屋を出る。
その時、総平と貴久も出てきた。
「あら?」
「あれ?どちらに?」
「警務部の訓練に混ぜてもらうのよ」
「へえ、こっちもです。道具見せて使い方を学ばせるんですよ」
「じゃあ、一緒に行きましょう」
「そうですね」
秀美と貴久は勝手に話を進める。
場所は、同じ建物の別の階だった。
二組は目的の為に別れる。
「たのもー!」
柔道場に入るや否や、秀美は叫ぶ。
当たり前だが、皆が入り口を見た。
「松井、いつも言ってるがその掛け声どうにかならないのか?」
柔道着を着た一人の男性が駆け寄る。
「良いじゃない、私が来たのが直ぐにわかって」
それは定番化されていた。
「今回は頼み事があるの」
「珍しいな」
「この子鍛えて頂戴、基礎からね」
「名前は?」
男性は条治を見る。
「中務条治」
「良いだろう。松井、お前はどうする?」
「今回はいいわ。じゃあ、よろしくね」
もう丸投げである。
「更衣室はこっちだ」
男性は、そう言うと歩き出した。