魔法省訓練7
「改めまして、鈴木一花です」
「高森卓です」
一花の笑顔に、卓はほんわかする。
二人の間にのんびり空気が流れた。
「あなたは水を操れるのよね?」
「はい」
「私もなの」
そう言うと、一花は手のひらに小さな水のフェネックを作り出す。
そのフェネックは腕を伝い、一花の肩に止まる。
「これも魔法の一種よ」
「凄いですね、水が無いのに生き物を形造るなんて」
「水はどこにだってあるわ。人間にも、空気中にも」
「僕は、既にある水しか使った事無いです」
「じゃあ、そこからね」
一花は、ふわりと笑った。
コップを出し、指から水滴をコップの中に落とす。
「この水を増やす事は?」
「できます」
それはいつもやっている事と同じものだ。
やる様に促され、卓は増やす。
「じゃあ、水を減らして」
「え?」
笑顔の言葉に、卓は唖然としたのだった。
増やす訓練はしても減らす訓練はした事が無いのだ。
「此方を見て」
一花は、フェネックを撫でると小さくする。
肩乗りサイズが手の平サイズになった。
「増やすのだけが魔法じゃない。こうやって水を移動したり形創ったり、減らすのも出来ないとね」
水魔法は増やすだけじゃない。
それがこの短時間でわかった。
「じゃあ、始めてちょうだい」
「はい!」
こうして、卓は訓練を始めた。