10/228
魔導同好会2
「彼女はいつも無茶を…」
樹はため息をつく。
葉月は昔から無茶ばかり言う。
だが、昔この高校を中退した身だ。
まさか今更高校生活を送る羽目になるとは思わなかった。
そんな時、この場所に人が来る気配がした。
そして一瞬の魔法の気配がする。
「甲斐樹さんですよね?」
いきなり声をかけてくる者が居た。
今は放課後、グラウンドの見える三年校舎屋上で雪村愛里を監視、観察していた。
「何かな?」
樹は振り向こうとする。
だが、身体が動かなかった。
「君、何をした?」
「何の事ですか?」
声の主は平然としている様だ。
樹はため息をつくと目を閉じる。
そして魔力を以て破る。
他愛の無い事だ。
「何か用かな?」
平然と振り向き、再び問う。
彼は、目を輝かせていた。
「俺の影踏みを解いた!嬉しいな!同じ名前で魔法も使える!声をかけて良かった!」
嬉しそうに彼は言う。
「俺は結城翔、君と同じ一年生だ!魔導同好会に入ってくれないか⁉」
結城翔は更にそう続けたのだった。