in実家、兄
実家には、現在父と母、三歳上の兄が住んでいる。
真依美の家も近いのでよく遊びに来ているらしい。
今日は真依美とその親、私にとっての伯父さん、伯母さんも一緒に夕食を食べる事になっている。他にも近くにいる親戚が集まることになっているが、毎年帰省する度にこうして皆で集まってくれる位にうちは皆仲が良い。
私は夕食を作る母の手伝いをしていた。因みに真依美はさっさと切り上げて、先程届いたお土産の洋服を私と母相手にファッションショー中だ。
そもそもお土産を複数指定するとは、我が従妹ながら全く遠慮を知らない。
それでも可愛さが勝ってしまい、毎度、若い愛人に貢ぐオジサンよろしく買いに走ってしまうのだから、私もまた困ったものだ。
だけど、可愛いのだから仕方がない。今回の洋服もよく似合っていて私の従妹はとても可愛い。
そうこうしていると、兄の公輝が仕事から帰ってきた。
「香華ー!おかえりぃっ!お兄ちゃんだぞっ」
うわぁ…、語尾になんだかハートが見える気がする…。
私は真依美に甘いが、兄はさらに私にも激甘だ。
「あー…、ただいま」
少しだけ振り向いて、手も止めずに返事をする。
「なんだ、元気ないぞ? 久し振りのお兄ちゃんとの再会だぞっ 嬉しいやろっ。 何かあったんか?」
いえ、お兄様がひたすらウザイだけです。とは言うまい。
「はっ!!まさか、帰ってくる途中変態に誘拐されそうになったんか!? どいつだ!?その変態は!!鈴木か!? いや、会社で香華の可愛さを妬んだ女どもから嫌がらせを受けて!?…いや、それとも……」
お兄様が一番変態です。まだぶつぶつ言ってるし。大体、鈴木って誰だ。
「公にぃ、キモーイ…。」
さっきまでファッションショー中だった真依美が、腕を組み柱に寄り掛かりながら、うじ虫でも見るような目で兄を見ている。
「なっ…どこがだ!お兄ちゃんが可愛い妹を心配するのは当然やろが!むしろお兄ちゃんはいつも香華と真依美の事を心配しちょん。それはもう、盗聴器でも付けたいほどにな!」
自慢げに話すお前が一番心配だわ。
「本当なら小脇に抱えて歩きたい位なんだ!!」
鼻息荒くして何を言っているのか…。もう、病気だな。
真依美と顔を見合せ私は夕食の手伝いに戻り、真依美は着替えに別の部屋へ向かった。母はニコニコ笑いながらまるっと無視だ。実は母が一番酷いと思う。
兄は皆に相手にしてもらえず、肩を落とし自分の部屋へトボトボ歩いて行った。
さて、皆が集まる前に夕食の準備をしなくてはいけない。
とにかく、実家から戻る時は盗聴器だけは確認してからにしようと思う。
なかなか本題に入りません(;>_<;)