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プロローグ3

 ……フゥ、ようやっと家に帰って来れた。

 今日は長かった。長かったぞー!

 だが僕にはまだ大事なお仕事が残ってている。

 そう、華との兄妹会議だ。

 フッフッフ、どんな風に華を叱ってやろうか。

 いつもは叱られてばっかりだからな!こういう時にガツガツ説教してやる!


「お兄ちゃん、お話があります。」

「ん?なんだ?」


 華から先に話しかけてくるとは予想外だな。

 僕に叱られれる前に謝ろうっていう考えかな。

 だが、甘いな!今日の僕はいつもより怒っているのだ!小言の10分や20分ぐらいは覚悟して貰おう。


「お兄ちゃんは今までで何回門限を破ったか覚えていますか?」


 ん?これまた予想外の発言。


「いや、よく覚えていないな。それよ「覚えていない、ですって!?」


 あ、この空気はやばい。

 

「10回!10回ですよ!お兄ちゃんは10回も門限を破ったんです!もっと真面目になってください!だいたいお兄ちゃんは~~」








「そもそもお兄ちゃんは危機感が足りないんです。自分が子供っぽい外見だということを自覚して行動してください。分かりましたか?」


 ………やっと終わってくれたか。

 いやー怖かった。本当に怖かった。

 僕が説教する予定だったのにすっかり叱られてしまった。

 でも、仕方ない。怒っているときの華の気迫は閻魔様でも土下座するんじゃないか?ってレベルだから。


「お兄ちゃん、分かりましたか!?」

「はっ、承知致しました!華様!」


 承知致しとかないと華様はまた説教するからな、聞いていなくても返事はイエス意外ありえない。


「ではお兄ちゃんは今後何をしなくてはいけないか分かりますか?」

「はい、私は今後、門限を破らず危機感を持って生活することを誓います。あとスタンガンや催涙スプレーも常備します。」


 華がいつも言っているのはこれくらいだからな。こう言っておけば間違いはないだろう。


「はい、よく出来ました。それと今日は私と一緒に寝ること。これも忘れずに。」

「はっ、しょうち…ってちょっと待って、それはおかし

「おかしくありません。門限を破った償いです。分かりましたか?」

「……ハァ、分かりました。」

「分かればよろしいです!」







「という不運が昨日あったんだよ。」

「「爆ぜろ」」

「なぜゆえ!?」

「ハハハハ」


 僕は今親友の阿達庄太郎と幸坂光、そしてクラスメートの沼田さんと一緒に登校をしている。

 もっと具体的に言うと僕がいつものように二人と登校している所に偶々通りかかった沼田さんが昨日起こったことを聞き出そうと一緒に歩いてる、という状況。


 あ、ちなみに「爆ぜろ」と言ったのが庄太郎と沼田さんで苦笑いしてるのが光ね。


「なぜゆえも何もあるかよ!家に帰ってからはただののろけ話じゃねーか!」

「さっきの話のどこにのろけ要素が有ったんだよ!」

「うっせえ!可愛い妹に一緒に寝てなんて言われている時点で十分のろけだ!クソッ!うらやましいんだよ!こんにゃろー!」

 

 庄太郎よ、お前は一つ誤解をしている。

 確かに可愛い妹と一緒に寝るのはうらやましいことだろう。

 だがな、いくら可愛い妹だからって寝ぼけてプロレス技を掛けてくる人と一緒に寝たいと思うか?

 昨日なんかキャメルクラッチしてきたよ。

 華の名誉とイメージのために秘密にしてあるけど。


 おっと、僕は庄太郎に妬まれるためにこんな話をした訳じゃない。


「まぁそれは置いといてさ、相談があるんだよ。」

「「「相談?」」」

「そう、どうやったら絡まれないかな?」

「うーん、俺がずっと近くにいるとか?」


 庄太郎がプロポーズっぽいことを口にしたがそういう感じの意味ではない。


 僕も庄太郎ものんけです。


 ではどういう意味かというと、

 この人顔がめちゃくちゃ怖いのです。

 そのためよっぽどの人じゃないと絡んで来ない。現に今も誰も近くによって来ないし。

 だけどそれは無理だろう。


「いや、それは無理だと思うよ。庄太郎と鬼一クラス遠いから。それに絡んで来る人がゼロっていう訳じゃないからね。」


 おー、光が言いたかったことを先に言ってくれた。

 そう、庄太郎が近くに居てもよっぽどの人は突っ掛かってくる。例えば大中内レオとか。


「やっぱり華ちゃんに本当のことを言ってもらうのが一番良いんじゃないかな。」

「うーん、それが一番良いんだけどそれをすると華が困るでしょ。」

「自業自得じゃない。」

 

 まぁ確かに自業自得なんだけどね。

 でも僕の適当なアドバイスのせいって可能性もあるし。何より華は悪気なかっただろうからなぁ。

 なるべくこの手は使いたくないです。


 ダメ元で聞いてみたけどやっぱりコレだ!っていう意見がでない。おまけに空気がなんか少し重くなっちゃったし。


 ……どうしよう。


「クククククッ」


 ん?なんだ?


「フフフフ、ハーハッハッハハハ、困っているようだな愚民共!この忌々しい邪王が封印された右目を持つ私!”ダークエンペラーアイミ”が天をも揺らす秘策を授けてしんぜよう!!」


 ぬま…ダークエンペラーアイミさんがこの空気に我慢できなかったのか爆発した。

 ちなみにアイミっていうのは沼田さんの下の名前です。


「ぬま…ダークエンペラーアイミさん、秘策とは、秘策とは一体何なのですか!?」


 ノリノリだな、庄太郎。


「クククク、それはな時満ちたる時、鬼が漆黒の呪語を

「ごめん、もっと分かりやすく言って。」


 うわ、容赦ないな光。僕も思ってたけど。


「えっ……あっ………えっと、もう少し時間が経って、妹さんの機嫌が直った時に、お話をすればいいかなー、なんて……大したことないことを言おうとしてました。すみませんでした。」


 おっと、ダークエ…もう止めてあげよう。沼田さんのメンタルに大ダメージがあったみたいですね。普通にアドバイスをくれた。でもごめんね沼田さんそれ今日の昼休みに実行予定。


 うん、やっぱり大した意見ではなかったけど大分空気が軽くなった。沼田さんに感謝です。


「本当にすみません…大したこと言えなくて」


 ありゃ、まだ落ち込んでる。


「沼田さん気にしないで。僕はちゃんと沼田さんに華と話す勇気を貰ったからね!ありがとう、沼田さん!」


 感謝を伝えるのって大事だよね。

 沼田さんも顔を真っ赤にして感激してたし。庄太郎がなんかブツクサ言ってだけどスルー!


 このままのテンションだったら華とまともに話せる気がする。まだ登校途中だけど早く昼休みにならないかな。

 

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