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プロローグ2

 もうそろそろ辺りが暗くなってきて夕飯のいい匂いが漂ってくる時間。


 やばい、今からダッシュしても門限には間に合わないかもしれない。

 なのに


「筒井、もう華さんに関わらないと誓え!!!聞いてるのか!!」


 なのに僕はまだ無限ループにはまったままなんです。

 よく喉枯れないな。

 じゃなくて

 君達は一体いつ帰るんだー!?


 ………仕方がない。

 この方法だけは使いたくなかった。

 だが使うしかあるまい。


 ……よし、『アレ』はちゃんとポケットに入っているな。

 僕はレオを睨み付け警告をする。


「君達いい加減にしろよ。何分も好き勝手なことばかりいいやがって。こっちは急いでいるんだ!早く道を開けろ!」

「なんだと!!まだ華さんに付きまとわないと約束していないだろう!俺はお前が約束するまでここにいるぞ!」

「…そうか、ならば仕方がない。これを使わせてもらう!!」


 懐から勢いよく『アレ』を取り出しレオ達に見せつける!

フッフッフ、狙い通り奴等の顔色がみるみるうちに変わった。


「さぁこれを使われたくなかったら、さっさと道を開けろ!」

「お、お前そ、それは」

「そう!騒音を撒き散らし周りに助けを呼ぶと同時に相手に焦りと戸惑いを植え付ける、良い子の味方の『防犯ブザー』だ!!!」


 一瞬の沈黙。そして


「「「「アッハッハハハハハハハ!」」」」


 大爆笑。え、な、何で大爆笑?


「何を出すかと思えば防犯ブザーか!懐かしいな!小学生や女子意外でそんな子供っぽいもの持っている人初めて見たよ!いや、よく似合ってるよ!まるで小学生みたいだ!ハハハハ」


 ………………………ダッ!


「あ、おい!待て!逃げるな!」

「うるさい、防犯ブザーの必要性がわからん馬鹿に捕まる僕ではないぞ!」


ダダダダダダダダ



 僕は走った。


 防犯ブザーの必要性を心の中で訴え続けながら走った。


 今の世の中は危ないから防犯ブザーは持っとけって秋田に住んでるおばあちゃんだって言ってたんだぞ。と涙ながらに心の中で演説しながら走った。


 防犯ブザーは、防犯ブザーはっ!


「防犯ブザーは必需品なんだああああああああ!!!」


 ハァ、ハァ、フー


 落ち着いた。

 というか、アレ?普通に逃げ出せてしまった?

 け、結果オーライ、結果オーライ。

 作戦とは違ったが逃げれたからいいだろう。


 ……さっきおもいっきり叫んでしまったけど大丈夫かな。

 まぁ周りに人いないさそうだしセー


「な、何してるの?鬼一君?」


 フじゃなかった。アウトだった。

 完璧に聞かれてたみたいだね。

 しかもこの声は恐らく


「え、えっと、だ、大丈夫?」

「ほっとけ、ほっとけ、どうせ発情してただけグベハッ!」

「………………」


 やっぱり知ってる人だったーー!!

 知り合いに変な叫び声聞かれてしまったー!!

 うわーーーー!!


「ど、どうしたの!?ほんとに大丈夫!?」


 ハッ

 おっと危ない危ない混乱し過ぎて頭の容量をオーバーしそうになった。


「あ、はい。大丈夫です。ご心配おかけしてすみません。」


 僕と話しをしている女性は隣に住んでる女子大生の陽子さん。

 その後で陽子さんにヒジテツを入れられてもがき苦しんでいるのが陽子さんの兄の猛さん。

 そして俺とあってもまだ一言も喋らずにどっしりと構えているのが俺の隣の家、飛田家の家主、飛田大衛門さん80歳。


 飛田さん家とはけっこう付き合いが深いから俺の奇行の一つや二つぐらい見なかったことにしてほしいんだけど……


「いや、さっきの叫び声は普通じゃなかったわ!大丈夫!?どこか悪いの!?病院行く!?いいわ、一緒に行きましょう!さぁ行きましょう!」


 あえて言うなら頭が悪いだけなんで大丈夫なんですけど。

 でも陽子さん僕に対して過保護だからなー。


 こういう時は


「そう心配すんなって陽子。鬼一がおかしいのはむかしからゲフッ!」


 ナイスフォロー、猛さん。

 ナイスブロー、陽子さん。

 相変わらず良いコンビだ。


「アハハ、僕は本当に大丈夫ですよ。では僕はこれで。そろそろ帰らないと華が家で大変そうですし。」

「本当に?本当に大丈夫?」

「ええ、大丈夫ですよ。では皆さんさようなら。」

「またの。」

「本当に無理しちゃ駄目よー!」

「華ちゃんに手ぇだすんじゃねーアベシッ!」


 フゥ、あの人達見てると心がなごむなぁ。


 おっといかんいかん早く帰らないとまた誘拐騒ぎになってしまう。

 また華が「お兄ちゃんはショタなんです!」とか意味わかんないこと言いかねん。


「お兄ちゃんはショタなんです!」


 ………何か聞こえて欲しくない台詞が聞こえてきた。慌て声の聞こえてきた方へ急いでみると


「お兄ちゃんはショタなんです!誘拐されたかもしれません!早く探してください!」

「と言ってもねぇ。」


 華とお巡りさんが話していた。

 …クソ遅かったか。

 というか僕はショタじゃねぇ!

 怒鳴り付けたいのを我慢して華に話しかける。


「おい、華!」

「?あ、お兄ちゃん!!」

「え?」

「すみません。お巡りさん、華が迷惑をおかけして。」

「あ、ああ。だ、大丈夫だよ………なるほど確かにショタだな。」


 納得しないでお巡りさん!

 僕、17歳!ショタじゃない!


「お兄ちゃん!心配したんですからね!早くお家に帰りますよ!あ、お巡りさん、お手数おかけしました。」

「ああ、分かったよ。お巡りさんほんとにすみませんでした。」


 こうして僕はようやく帰路につくことができたのでした。

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