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プロローグ1

 四月某日


 春らしいうららかな日差し

 桜のかぐわしい香り

 暖かくなり元気にうごめいている毛虫さん達。


 そんな春の要素いっぱいな素敵な森の中で僕こと筒井鬼一は


「待てや!ゴォラアアア!」

「逃げんなぁ!チビ!」

「この変態野郎!」


 悪鬼のような表情をしている人達に追いかけられています。

 暴言付きで。


 本来ならこんなリンチされても気付かれないような森の中にいないでさっさと交番へとエスケープしたいところだけど、出来ない。

出来ない理由があるのです。

 まぁその出来ない理由は僕が今追いかけられている理由とも関係があるのだけど…


「待てって言ってんだろうが!妹に手ぇだしたクソ野郎が!」


 あ、今野球部らしき人が理由について言ってくれた。

 …………いや、僕は妹に手なんかだしてないよ。

 完璧に彼等の誤解です。

 ではなぜ僕はそれを彼等に言ったり、今追いかけられているのをお巡りさんに言わないのか。

 それには深い深ぁい事情が有っちゃったりする。





回想

 

 事の発端は昨日。

 その日は高校の入学式から1週間がたった日。

 そして僕の妹、華が高校生になって1週間かたった日だった。


 あ、ちなみに華を簡単に説明すると

『才色兼備』『品行方正』『超美人』

 これらを具現化したような優等生だ。

 いや、本当に兄補正無しでもそう見えるんだよ。


 まぁそんな完璧超人さんには告白やら部活の勧誘やらが付き物で入学初日からてんやわんやだったらしいんですよ。

 しかし、当の本人はと言うと華は誰とも付き合いたくなく、部活にも入る気は一切なし。

 当然すべての誘いを断る。


 だが告白する野郎共も部活勧誘する女子達も諦めなかった。

 むしろどんどんしつこくなり

 入学から1週間もたてば華の学校での自由時間はほぼ無かったらしい。


 そんな現状がつらいと珍しく僕に相談をしてきた。

 いや、これは本当に珍しい。

 いつもは妹の癖して姉ぶってるからね。

 そんなレア現象が起きたので僕はお兄ちゃんポイントを上げようと


 「自分のしたいようにすればいいさ。大丈夫、兄ちゃんは華の味方だ。」


 当たり障りのない事を言いました。


 いや、だってさ下手なこと言って悪化させたくないし。華もなんか解決したみたいな顔してたしさ。


 しかし、その適当なのが駄目だったみたいだ。


 次の日の放課後僕は華を勧誘している一団に呼び出された。そしてリンチされそうになった。


 まぁ、意味わかんなかったよ。

 僕に華の説得を頼みに来たのかと思えば急に殴りかかって来るんだもの。


 なんとか間一髪で逃げ出せた僕は偶然近くにいたクラスメートの沼田さん(そこそこ美人、重度の厨二病、休み時間に眠ったふりをしながら情報収集をしてるため情報通)に事情を知ってるか聞いてみた。


 するととんでもない事が分かった。彼女が言うには


「フッ、貴様に降り掛かって来てる悪運について知りたいのか!?知りたいのだな!?ならば私のこの邪王が封印されし忌々しい右の眼によって貴様の災いの根元を覗いてやろう。ハアアァ!!古より太古の邪王よ!古き災厄から放たれしblack moonよ!其の根底の(以下略)」


 ………台詞が長かったので割愛させてもらいました。

 簡単に言うと

『僕と華は付き合っていているので部活や告白を断っていると華が言っていた。』らしい。


 ………うん、僕は確かに華に自分のしたいようにしろとか何があっても味方だとか言ったけどさ、

 まさか僕に全面倒を押し付けるとは思ってもなかったわ。

 すぐに訂正しに行こうかと思ったがそれをしたら華がまた面倒臭いことになりそうだからやめた。

 てかそもそも僕と華の人望の差じゃ信じて貰えないだろうし。


 仕方ないので今日は早めに家に帰って華と兄妹会議をしようと考えながら校門を出た所で僕を待ち伏せしてた人達に見つかり慌て近くの森に逃げ込んで今に至るという訳です。


以上、回想終了


 そしてかれこれもう1時間位走ってる気がするんだけどまだ追っかけてくるよ。

『帰宅部一の持久力と走力』を自称している僕としてはまだまだ走れるんだけど、

 ………そろそろ門限だよな。


 うちでは門限を守らないと華が焦って110番しちゃうんだ。

 治しなさいって言っているんだけどなかなか治らない。

 困ったもんだ。


 おっと、今は同じくらい困ったことが起きているのでした。


 ………よし、とりあえず家の方へ向かいながらいい案を考えますか。

 とにかく走り続けたら運良く見失ってくれるかもしれないし。










運わりぃぃ。


 結果を言うと追って来てた人達は見失ってくれました。

 しかし運の悪いことに森を出た直後面倒臭い人達に遭遇しちゃった。

 その面倒臭い人とは目の前にいる茶髪の髪の毛がファサファサしてるイケメンこと大中内レオ

 そして僕を取り囲み構えているレオのハーレム軍団、右から織川さん、藤原さん、北代さん…であってるはずだ。


 なんでこの人達が面倒臭いかというと


 「おい、筒井なんとか言ったらどうなんだ!!」

 「ああ…、うん、君達ちょっと華との事に関してかんちが「言い訳なんて見苦しいぞ!筒井!!」

 

 ……うん、聞いてのとおり話が通じないのです。

 おまけにこの人達、華が言うには一番しつこく部活勧誘(ちなみに陸上部)してきてるらしい。

 それもストーカー並に。

 そんなことをしても世間的に許されているのはやはり優秀だからだろう。


 世間的に許されているストーカー

 たち悪い上に面倒臭いですね。

 

「おい、聞いてるのか!!」


 おっと、ストーカー…じゃなかったハーレムさんの内の誰かが怒鳴ってきた。


「ああ、聞いてるよ。で、君達は結局何が言いたいんだ?」


 聞いていないことを巧みに隠す僕のトークセンス。


 「だから何度も言っているだろう!!華さんと別れろ!そして付きまとうな!!」


 さて、どうするか。


作戦1 説得する


 ……不可能だな。

 こいつらに何言ったとこで暖簾に腕押しだろうし。

 そもそも話聞いてくれない。


作戦2 レッツエスケープ


 だが、囲まれてしまっている。

 あと単純にこの人達、僕より足速い。

 いくら自称『帰宅部一の持久力と走力』を持つ男だと言っても陸上部にはかなわない。


結論

詰んだ。


「おい、筒井!!なんとか言えよ!」

 これはなんですか?

 無限ループですか?

 そして僕はいつ帰れるんですか?

 早く帰らないと門限がぁ。


※11月5日 内容を大幅に変更しました。

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