転生したのにまるでカンストしていなかった結果がこれだよ!
俺の名は小島ヒロユキ。
齢22歳にしてニートである。
いや、あの、えーと、就職に見事失敗しまして……はい。
社会がおかしいんだよ!機械が仕事取りすぎなんだよこんちくしょー!!
幸い実家から送金だけはしてもらっているので、
現在は就職時に使うはずだったマンションでごろごろと過ごしている。
よく本体が熱くなることで有名ではなくなったタブレット端末を触っていると
一通のメールが届いた。
『おめでとうございます!貴方は、異世界『イブプロフェン』を救う勇者として選ばれました。
と言う訳でイブプロフェンに来てくれよ~頼むよ~』
なんとも、最近のラノベにありがちな展開の文面だ。
(出会いの業者か……?)
何をするでもなく2、3回文面を眺めまわしているともう一通。
『ちなみにイブプロフェンに召喚されると、そちらの世界での貴方は死んだ事になります。
それなりの覚悟を持って召喚に臨んでください。前も1回事故がありまして……(汗』
なるほど、中々凝った設定である。
(しかし送り主のキャラ設定くらい統一してほしいよね)
それにしても。
「そちらの世界での貴方は死んだ事になります」ときたか。
の ぞ む と こ ろ だ
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ひろゆき LV 1
しょくぎょう:むしょく
HP 48 MP 2
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酒場で掃除をしていると、一人の青年が入ってきた。
彼は「前の世界」の服装に身を包み、全財産であろう500Gを持ってこう言った。
「こ、これで何か食べさせていただけないでしょうか……」
「おういいぞー。そうだ、お前って仕事困ってね?よかったら……」
『魔王シュウヤ討伐に向かう勇者現る!』
場所は変わって、ゼルダのハイラ●平原のような草原。
緑が豊かだ。吹き行く風も心地よい。
「あーもう、外にゴミ捨てたらあかんやろ。
それにしてもさっきの兄ちゃん大丈夫やったかな?」
そこでは一匹のブルースライムが、清掃にいそしんでいた。