異世界に転生したのにまるでカンストしていなかった
「……ここは?」
目を覚ますと、ゼルダの時●カのハイラ●平原のような場所にいた。
緑が豊かだ。吹き行く風も心地よい。
「いやどこだよココ。高尾山か?」
都合よく脇に生えていた看板がその答えを教えてくれた。
『ようこそイブプロフェンへ!ここはエスエス街の近辺です!』
なるほど。業者に釣られてやったつもりが本物だったパターンか。
とりあえずエスエス街の地図もあるし、そこに向かうとしよう……。
そういえば、異世界召喚されたってことはあれかな?
特殊な力ガーとか、LVがカンストガーとか、そういう多少美味しい面はあるのかしら?
っていうか世界を救うとか言ってたよね?俺って勇者様?
お姫様とムフフとかあったりするのかな?
などという事を考えながら歩いていると、
「プギー!」
と妙な鳴き声のスライムが飛び出してきた。
「出たな雑魚め!これは能力を試す絶好のチャンス!」
「プギ?」
「でゃー!」
俺は無謀にもスライムに突っ込んでいった。丸腰で。
何らかの主人公補正が俺にかかっているものと固く信じて。
だ が げ ん じ つ は ひ じ ょ う で あ る
「ほぎゃー!」
俺はスライムに勢いよく……跳ね返され、地面を転がった。
草の臭いが心地よい。
「ちょ、兄ちゃん大丈夫か?」
何とスライムが話しかけてきた。なれなれしいな。
「あ、はい……なんとか……」
「アカンやろー、LV1でブルースライムに特攻とか。ワシやなかったら死んでたやで」
「あ、そうなんですか……え?」
LV1?俺LV1なの?
「何やお前、ステータス画面の見方も知らんのか。
人間やったらたしか…こめかみを2回押したら見れた筈やで」
「あっそうなんですか」
言われた通りにこめかみを2回押す。
なんかそれっぽいステータス表が出てきた。
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としあき LV 1
しょくぎょう:むしょく
HP 48 MP 2
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「カンストしてねえ!!!!!!111」
絶叫した。
「当たり前やろ!!!!!!1」
ブルースライムさんのツッコミが光る。
「え、だって俺異世界人ですよ!!!なんでこんな」
「何やお前、異世界人だったんか。あーでもあかんな。
お前 勇 者 や な い し」
えっ
「職業にも無職って書かれとるから間違いないな」
「えっ」
「勇者やったら呼ばれてすぐに勇者ってジョブが付くからな。残念でした」
「えっ えっ」
「まああれや。今回は倒された事にしといてやるからな、頑張りや」
ブルースライム は ころんだ!
ブルースライムに10のダメージ!
ブルースライムをやっつけた!500Gをてにいれた!
そしてブルースライムさんは何処かへと去って行った。
呆然。
手元にはとりあえず500Gがのこった。
街に着いたら宿にでも泊まるか……