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異世界リース物語  作者: ジーン
第二章
16/28

町へ行こう2

 聖堂に着いた。


 聖堂と呼ばれる建物は、周りにある建物と比べるとかなり大きい。というか先の尖った屋根のある、教会みたいな建物を想像していたのだが実際は飾り気のない城塞っぽい円柱形の建物だった。

 中に鎧を着た兵士とかがいそうな雰囲気だ。この建物だけ灰色で周りから浮いていた。


 5階建てで道の正面に5メ-トルぐらいの縦長の扉がある。左右の少し離れたところにも一回り小さな扉があった。

 真ん中の縦長の扉は開け放されていて、中を少し覗くと奥の広間へと続く大きな通路がのびていた。

 その前を通り過ぎて、左側の一回り小さな扉に向かった。

 分厚そうな鉄の扉を父様がゆっくりと開ける。





「こんにちは、どうなさいましたか?」


 扉の向こう側に広がっていたのはどっかのオフィス風景でした。

 明るく広い部屋には、縦長の仕切りがあり4つの受付が並んでいた。私の記憶の中にある郵便局とか銀行、もしくは市役所の受付と大体同じ構図だった。

 想像していたものと大分違った室内を見て唖然としていた私を余所に、母様が神官らしき職員に早々に用件を話していた。


 外観からは想像も出来ないほど近代的だった。ここの職員さんらしき神官が薄い水色のシスターみたいな服を着ていなければ、普通に日本でも見られるような光景が目の前に広がっていたのだ。唖然としても悪くないと思う。因みに薄い水色の神官服はエヴェリット王国の神官を表す色だそうだ。


 母様が話し終えたようだ。奥の扉に案内された。受付部屋の左手にあった扉から通路にでる。

 これから会う人は神官の中でもベテランらしく、精霊の扱いもうまいらしい。風の精霊の事を聞くなら、この人に聞くのがいいだろうと母様が教えてくれた。


 神官とは結界の管理が主な仕事と言われているが、結界はそもそも神官でなければ張れないのだ。正確には精霊術師だが、神官のほとんどが精霊術や精霊魔術が使える。

 精霊術や精霊魔術は精霊の力を借りて行われる術で、魔術より何倍も威力の大きな術だ。

 神官は精霊と対話する事で、その力を高めて結界術を使えるようになるらしい。

 だがこの対話が曲者で、誰でも出来る訳ではないのだ。




 精霊の感じ方は大体以下の9段階に分けられる。


一、全く何も感じない

二、存在を感じる

三、うっすら見える

四、はっきり見える

五、声が聞こえる

六、言葉が聞き取れる

七、対話が出来る

八、精霊文字が読める

九、触れられる


 これは自然精霊力(まりょく)の大きさには比例せず、生命神力(しんりょく)の大きさに比例する。

 私は言わずもがな一だ。母様や父様、アンヌは二だ。大体の人族は一から三のどれかなのだそうだ。


 人族で四から六はとても感度が高いと言われている。この人達が精霊術師や神官の修行を経て、結界術を使えるまでに能力を高めるそうだ。それより下の者は鍛えるのは難しいらしい。


 精霊族や獣人族は元から四から六に属する事が多い。だが産まれたときから七以上に属する人は滅多にいないみたいだ。獣族は一だったり七だったり個体によって違うらしいので、種族によって当て嵌めれなかったりする。


 人族は他の種族よりも生命神力が小さい。それに生命神力は自然精霊力と違って肉体の内側にしか作用しないので、一般的には計測も出来ない。それもあり、神官になる人族は他の種族と違って凄く少ないらしいのだ。

 なれる人の少ない神官の中でも魔力値を測る神官というのは、大抵が地位の高い神官なのだそうだ。地位が高いというのは、能力が高いのと同義らしい。


 これから私達が会うのは司祭様だ。

 司祭という称号は神官の中では6番目に高い地位で、この聖堂の中では2番目に高い地位だそうだ。なので、精霊との対話もうまいだろうという訳なのだ。


 カ-ブしている通路を歩いて、左手の4つ目の部屋に案内された。

 中は少し薄暗くて部屋の端には事務机が1つあり、そこには本日2人目のエルファ族の神官がいた。

 だがそれよりも私の目を引いたのは、部屋の中央にある年代を感じる石の台座だ。その上には半分ほど布に包まれた、直径20センチメートル程の水晶玉が鎮座している。



「おや、ヴァセット殿。もうそんな時間でしたかな」

 なにやら事務仕事をしていたその人は、手を止めて顔を上げた。若々しいが、体型が分かりづらい神官服のせいもあり、年齢どころか性別さえ不明だ。


「今日はよろしくお願いします。司祭様」

「ああ、構わないとも。私の仕事だからね」

 どうやらこの人が司祭様らしい。

「さて、きみがエルナ君か。ではさっそく測ろうか」

「はい。よろしくお願いします」


 魔力値を測るのには、部屋の中央にあったあの水晶玉を使うようだ。エルファ族の司祭様がやり方をざっと説明してくれる。

 まずは水晶玉の中に記録の精霊を呼び出す。この精霊は、精霊の属性で最も多いとされる無属性の精霊だそうだ。

 この記録の精霊が、私の魔力の大きさを具現化してくれるらしい。

 まぁ私には見えないし感じないので現れたのを確認する事は出来ないし、その言葉を鵜呑みにするしかないのだが。


 水晶玉はただの石ではなく、記録の精霊が魔力の具現化をするのを補助する媒体として使われるらしい。

「ではエルナ君。水晶玉に手を乗せてくれ。力は入れなくてもいいよ」

「はい」

 私は言われるままに水晶玉に手を置いた。すると透明だった水晶玉の中が、みるみるうちに橙色に淡く色付いていく。

 それが段々と中央に集束する。神秘的な光景に目を奪われた。

 集束が収まると、水晶玉の中には手のひら大の橙色の円形の塊が残った。


「ふむ。もう手を離してもいいよ」

「あ、はい」

 私が手を離した後、司祭様は水晶玉用なのだろう変わった形の定規を水晶玉に装着した。

 固定された器具で水晶玉を覗きながら、水晶玉を十字に縛る定規がカチカチと音を鳴らして動いていく。


「ふむ。8フィルトか」

 フィルトはこの世界の長さの単位だ。センチメートルより少しだけ長いので、8センチよりも少しだけ長いという事だ。どうやら直径を測っていたようだ。

「君の魔力値は8000ちょうどだな」

 えっ? 1フィルト=1000?

 そんな簡単な計算なの? 分かりやすいけども……。

 結果を聞いて母様と父様が少しほっとした顔をしていた。

 どうかしたのだろうか。


「前に測った時よりも10倍近く違うな。ふむ、計測間違いなど滅多な事では起こらんのだが、すまないね。後は私が記録しておくので、受付で待っていてくれ」

 魔力値の再計測はこれであっさりと終了したようだ。

 だがしかし、ここからが本題である。風の精霊に、なぜ私の傍にいるのか理由を聞いてもらうのだ。


 私は母様に目配せをした。

 母様が、任せなさいというように一つ頷いた。頼もしい限りである。


「司祭様。魔力値とは別にお聞きしたい事があるのですが」

「ふむ。それはもしや、エルナ君にくっついている風の精霊のことかい?」

 やはり見えていたようだ。

「ええ、そうです。エルナは精霊を感じる事が出来ません。けれど風の精霊はずっと以前から傍にいたようなのです」

「なるほど。その理由を知りたいのかい」

「はい」

「精霊の事だから、そんなに深い理由はないと思うけれど……」

 さっきもちょっと思ったんだが、見える人には精霊っていったいどういう存在だと思われているんだ?


「時期が気になるのです。生まれた頃からずっと傍にいるらしくて」

「……ふむ。それは確かに気になるね。分かった。聞くだけ聞いてみよう」

「ありがとうございます」

 司祭様は精霊語で精霊と話をした。私は今度こそ精霊が何か答えてくれないかと期待する。

 何度か会話したと思われる後、司祭様は私の方を向いた。

「誰かに口止めされているみたいだ。こんなことが出来る者は限られているが……。もしや君達が3日前に問い合わせた、青い神官服のルイスだったかルイセルシアだったかが関係しているのかね?」


 口止めされている?

 ……ルイスだ。絶対にルイスだ。

 私は確信した。

 私にこんな事をする奴なんてルイス以外に誰がいるというのだ。

 ルイスは私の居場所を把握している?

 だったらどうして会いに来ないんだ?


 混乱して何も答えられない私の代わりに、母様が答えてくれた。

「……直接関係しているのかは分かりませんが、何か関わりがあるのではないかと思いまして」

「エルナ君は確か、最近まで喋れなかったのだろう。それに関係しているかもしれないと?」

 一瞬、間の悪い空気が流れた。だが母様はそれに対して直球で答えた。

「はい。そうです」

「その神官はエルナ君しか覚えていないと聞いたけれど、本当に実在すると?」

「分かりません。けれど私達はこの子の言った事を信じています」

「精霊や神官にそんなことが出来るとは思えないが……。それが事実なら大問題だな。ふむ、分かった。私からも出来るだけ早く見つけるようにと言っておこう」

 私達はほっと一息ついた。

「ありがとうございます」

 謎は深まったが、ルイスがこの世界に確かにいるのだという痕跡を見つけた気がした。

 こうして後は簡単な手続きを終わらせて、私達は聖堂を後にしたのだった。



 心の中の靄は晴れないが、今出来る事は母様と父様の力も借りてすべてしているはずだ。沈んでいても何もならない。

 聖堂を出た私は、母様と父様とまた手を繋いで歩き出した。


 用事はこれで終わりのはずだが、何故か2人は駅には向かわずに違う方向に歩きだした。不思議に思って見上げると、母様と父様がにっこりと笑って言った。

「エルナ、どこか行きたい所はある?」

「向こうに色んな店があるから、見て行こうか」

 用事が終わったので帰るのかと思いきや、2人の様子を見るとこれからが本番だったらしい。つまり家族でお出掛けというやつだ。途端に、私の中で沈んでいた気持ちが浮上するのが分かった。


 うじうじ悩んでるよりも、人生なんて結局楽しんだ者が勝ちなのだ。

 私は腹を括った。賑わっている方に足を向けつつ、2人の言葉に甘えて街を堪能する事にした。

 前は家族揃ってお出掛けとか小学生の低学年までの事だったので、久し振りすぎてなんか緊張してくる。だけど、嬉しいという気持ちの方が遥かに大きかった。

 


 10分ほど歩くと聖堂の辺りの静かな雰囲気とはがらりと変わり、ガヤガヤとした雑音が耳に入ってくるようになった。ここは商店街だろうか。色んな店が道から道にずらりと並んでいた。休日だからかは知らないが、人通りが多くてとても賑わっていた。


 色んな外観をした色とりどりの店があり、食べ物を売っている店、文房具店、本屋、服屋、雑貨店、アクセサリー店みたいな日本の商店街とそう変わらない種類の店の他に、この世界ならではの武器屋とかもあった。どの店に置いている商品も、見たことのないような物があって目新しい。知っている物に似ているものや、見た目だけは完全に一致しているものもあったりして、面白くて一々足を止めて見入ってしまった。

 なかでも雑貨店の木の棚いっぱいに並べられていた、竜の置物やアクセサリーには一瞬で心を奪われた。


 因みにこの世界の竜の外見は、蜥蜴を立たせてゴツくた感じでお腹回りが少しぼてっとなっている。基本的に2足歩行が出来る感じだ。

 鰐と馬を足して2で割ったような顔で、怖いけど美しいイメ-ジだ。馬に近い耳があり、額から角が生えている。角の部分から尻尾あたりまでは鬣が生えていて、蝙蝠のような大きな翼を持っている。それがこの世界の竜の一般的なイメ-ジだった。

 [精霊と異世界珍道中]という小説に出てくる、私が愛してやまない竜達とほとんど同じなのだ。気分が盛り上がらない訳がなかった。


 私は店に並べられているこの素晴らしい竜ゾーンにふらふらと寄っていき、一心不乱に目に焼き付けようとした。


「エルナ、何か欲しいものがあるのなら買ってあげるよ」

「えっ?」

 私は父様からの嬉しい言葉に挙動不審になった。

 本当に? いいの? 遠慮なんてこの際しないよ?

 確認のために、父様を見上げる。

「いいのですか?」

「もちろんだ。どれでも好きな物を選びなさい」

 よっしゃ-!!言質取ったぞ-!!ヒャッハ--!!

 心の中で大喜びした私は、さっそく品定めを開始した。

 まぁそうは言っても私は子どもではないのだ。ちゃんと相応な物を選ぶつもりだ。

 

 ここの店は棚ごとに値段が定められていて、上の段にいくほど高額になっている。私は目に付くところからじっくりと眺めていった。

 というか重大な事に気付いた。そういえば私は物価がどうなっているのか、知らなかったのだ。

 べリアの1個の値段が400ptということしか知らない。それが安いのか高いのかも分からない。


 値段は分かっても値段の価値が分からないとか。私はあほか。何でもっとちゃんと聞いておかなかったのか。

 しかし今さら聞けない。こういうのは、遠慮している事を悟らせては駄目なのだ。私の培われた数少ない経験則がそう言っている。

 好きなものを何でも、というのはそういうものなのだ。


 じっくり選んでいるふりをして内心で焦る。いや、考えても物価なんて今更分からない。

 仕方がないのだ。もう本当に好きに選ぶしかない。

 なるべく上の棚は見ないようにして、1500~2000ptと書かれてある4段目あたりの棚を無心で見た。

 どれも素晴らしい細工を施されているものばかりで、完全に同じものは1つもない。私はその中の1つのペンダントに引き寄せられた。卵型に丸まった竜のレリーフが彫られていて、眼のところには青い小さな色つきの石が埋め込まれていた。


 見た瞬間、ぴんときた。

 これだ。これにしよう。値段は2000pt。べリア5個分だ。高いのか安いのかよく分からなかったが、私は例え値段が高いとしてもこれにすることに決めた。

 まぁ駄目なら言ってくれるだろう。


「お父様、これがいいです」

「よし。分かった。そのペンダントでいいんだな」

「はい」

 大丈夫だったようだ。父様があっさりとお会計に持っていく。もちろん支払いはカ-ドでだ。

 もうこの際なので、父様が会計をしている間に母様に硬貨の事を聞くことにした。

 まずは遠回しに聞いてみる。前は硬貨や紙幣のような物はないかと聞いたが、うまく伝わらなかったからなぁ。


「お母様。お金はカ-ド以外には無いのですか」

「そうね。無いわね」

 ……え?

 えっ!?

 今なんて? 無いって言った??

「な、無いのですか!?」

「ええ。無いわよ?」

 不思議そうな顔で肯定された。

 な……なんだと……。元から無かったとか。じゃあなに。全部カ-ドなの?


「お金が貯めれるカ-ドは、8歳の学園に入る年に作られるわ。身分証でもあるのよ」

 そう言って母様は自分のカ-ドを見せてくれた。

 縦長の手のひら大のカ-ドで、全体の色は黄色で縁の1センチが水色だ。

 名前、性別、生年月日、血液型、魔力値、認定年月日、所属、所属所在地、更新年月日等が記されていた。

 他にもカ-ドは登録している人物が魔力を込めると、お金の残高や持っている資格等の個人情報が浮き出る仕組みになっているそうだ。

 因みに所属というのは仕事の事だ。母様の仕事は治癒術師なので、カ-ドの下半分には治癒術師を表す大きくて白い×印の模様がある。


 カ-ドは学園に入学する時に作るもので、それまでは制限のある仮のカ-ドが発行されていて、大抵は保護者が保管しているそうだ。そういえば聖堂で母様が私のカードらしきものに、魔力値を記録させていた気がする。

 なるほど、と感心していると父様が会計を済ませて戻ってきた。


 私の首にペンダントをかけてくれる。

「ありがとうございます、お父様。大切にします」

「ああ」

 もう本当に、これは一生大切にします。絶対です! あらゆるものに誓います! 本当にありがとうございます、父様!


 雑貨店を後にしてさらに街を満喫して、空が紅くなったのでそろそろ帰る事になった。

 というか歩いている時に街の人に見られている気がしていたんだけど、やっぱり見られていたようだ。商店街に入ってから、声を掛けてくる人が多くいたのだ。もちろん母様と父様にだ。


 すれ違う人達が足を止めて挨拶をしてくる。2人はこの町の人達にかなり親しまれているようだった。

 父様は顔見知りの兵士さん(警察官みたいな人達)にも頭を下げられたりていた。あと剣とか持った厳つい人が、母様に敬語で話し掛けてきたときは驚いた。治癒院で母様に治してもらったことのある人らしい。


 丈夫そうな肩当とか胸当てとかを付けていて、どこの冒険者だよという感じなのだが町の人達は誰一人気にしていなかった。

 というか町の人達の約半数は、男女問わず何かしら武器を持っていた。大抵の人は剣だが、たまに槍を持っている人もいる。

 町には結界が張ってあって安全なはずなのに、何でこんなに武器を持った人が多いんだろうか。


 帰り道、相変わらず人の乗っていない魔導電車に乗りながら母様と父様に尋ねてみた。

 すると驚く事実が判明した。

 結界の外からは魔物が入ってくる事はないが、結界の中にヴァイスに繋がる穴が出現する事があるというのだ。穴は大体は小さいものが多いのだが危険はあるらしい。というか結界って外と内を区切る壁でしかなかったようだ。

 私の記憶にあるファンタジーの定番、結界の中は魔物が立ち入れない空間なのだという先入観から、勘違いをしていた。


 100年ほど前までは20年に1回ほどの頻度で結界の中に穴が出現していたが、最近は5年に1回ぐらいになっているらしい。そんな理由もあり、大抵の人は武装していたのだ。

 武装していない人は戦えないかと言うとそうではなく、攻撃魔術や防御魔術が使えるらしい。

 みんな基本的には自分の身は自分で守るという感じなのだそうだ。

 戦い方は学園でみっちりと教えられるそうだ。結構危ない世界だったんだな、ここ。


 空いた穴は神官が小さい結界で封じるらしい。なので、どこの町にも神官は必ずいるそうだ。

 大抵の穴は時が経つと消える不定型と呼ばれるものらしいが、稀にずっと残っている固定型というのも出現するらしい。


 というかスロット村はかなり人の少ない村だが、大丈夫なのだろうか。父様は元軍人だったとはいえ、足を少し引き摺っている。心配になってきた。

 遠回しに聞いてみると、父様は剣術の他にも防御魔術が使えるらしく、例え魔物を倒せなくても町から応援が来るまでは余裕で持ちこたえられるそうだ。


 それにスロット村の人はほとんどが軍人上がりで、戦力的には町で暮らしているよりも安全だったりするらしい。アンヌもああ見えて攻撃魔術が得意なのだそうだ。

 それに強すぎる魔物だった場合はどこにいても同じだ、という割りきった答えも返ってきた。

 そういうものなのか……。


 私はこの話を聞いたあと、自分も足手まといにならないように早めに戦えるようになろうと決意したのだった。幸い、魔力は普通よりも10倍ほどあるみたいだし。

 ルイスを見つけた時の為にも、ボコれるように力をつけておかなければ。


 そんなこんなで初めて町へ行った日は過ぎていったのだった。

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