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琵琶湖伝  作者: touyou
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琵琶湖伝第二部琵琶湖決戦編八八「闇の中」

 琵琶湖決戦編八八「闇の中」

 寝静まった真夜中の深い闇の中で、正英と良之介は

涼単寺の塀を乗り越え、寺院の庭の隅に降り立った。

 それに合わせるかのように雲からあらわれた蒼白い

月の光は、芝草の上や草むらに流れていく。

 真新しい石畳の伸びていく方角に、寺院の建物があ

り、浮彫の円柱や、渡り廊下や、窓などがその姿をま

ざまざとあらわしていた。

 夜のかすかな風が墓地の方から静かに吹いてくる。

 「良之介、お前はここで待て。ふくろうの声がした

ら来い」

 そういって、正英は

 「ホウッホウッ」

 とふくろうの鳴きまねをした。

 正英は一人で動くほうが、情報収集はしやすいと考

えた。

 ただ正英も後ろに眼はない。

 良之介をとどめさせ、己の後ろの眼としたのだ。

 三成か否かの確認をすべき問題の僧の部屋は建物の

右端、その部屋の裏側に墓地の入り口がある。

 右端の部屋は八畳ほどの広さか、庭に面して縁側が

あり上がれば障子で、渡り廊下で建物とつながってい

る。

 僧が起きていれば屋根裏にはいりこみ、天井から確

認しようとも考えたが、闇の世界が広がるだけであり、

僧のことは明日以降にして、まずは井伊直政の骨を確

認し、場合によっては、何本かを持ち帰ろうと思った。

 方針を固めた正英が、前進をし右端の部屋の前まで

来たとき、渡り廊下を部屋にむかい歩いてくる影が見

えた。

 庭に伏した正英は、上目づかいに、その影に眼を凝

らした。

 僧の姿をしているが、その顔はまさに、石田三成で

あった。

 他人のそら似、としかいいようがない。

 いや、この闇が己に幻覚を見せているのかもしれな

い。

 その僧は部屋にはいると、灯りをつけた。

 僧の影が大きく障子に映る。

 正英は方針を変えた。

 僧の確認のための絶好の機会を逃す必要はないのだ。

 急ぎ天井裏に忍び込もうと屋根に跳躍しようとした

瞬間、

 「ギャーッ」

 と部屋から断末魔の悲鳴があがり、大きく映った影

が倒れていったのである。

 思わず立ちすくんだ正英だが、次の瞬間、反射的に

縁側を駆け上がり、障子を開けた。

 以下八九に続く

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