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琵琶湖伝  作者: touyou
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琵琶湖決戦編七○「法戦 カムイ外伝」

 琵琶湖決戦編七○「法戦 カムイ外伝」

 孫六は怖がってみせたが、正英はやはり合点がいか

ぬ様子である。

 「木俣様に限ってそのようなことはありますまい」

 忠勝の考えを正英は、はっきり否定する。

 「正英、わしの考えは確かにおかしいかもしれん。

だがなぁ、この世の中は、陰と陽、陽と陰でできて

いるのだ。今日もまた太陽は昇り、川は流れる。小

鳥のさえずりは、実に心地よいものだ。しかし、光

あるところに影があるのだ。逆もまた真なり。影あ

るところに光あり。明は暗となり、暗は明となる。

これは、何人も犯すことの出来ない掟なのだ。善人

は悪人となり、悪人は善人となる。朝 (あした)の善

人が、夕べに悪人となりても、何の不思議やあらん」

 忠勝は正英を諭すようにいう。

 正英は眼を大きく見開いて叫んだ。

 「たーだかつさまー、今述べた、「今日もまた太

陽は昇り、川は流れる」は忍風カムイ外伝のオープ

ニングの言葉にあらずや。そうならば、これパクリ

なり。乞尊意 (こうそんい)」

 孫六がわめいた。

「正英、殿に法戦 (ほっせん 禅宗などで師家と修

行者が問答することで、乞尊意 (こうそんい)は質

問者の第一声の中でよく使われる)を挑むとは無礼

であろう」

 「孫六、気遣い無用。受けて立とう。正英よ、パ

クリは単なる盗用なり」

 正英 問「中々 (なかなか)、その言は盗用では

     なきや」

 忠勝 答「いいや、盗用というは、一幅の画餅

     (がびょう)にして何の益も無し」

 正英 問「尊意 (そんい)、尊意」

 忠勝 答「我が言はオマージュなり」

 正英 問「オマージュは一幅の画餅にあらずや」

 忠勝 答「一幅の画餅にあらず。古人の言葉、

     時を経れば風の中に消えるが如し。

     我は風の中の言葉を後世に残さんがた

     めに使うのみ」

 正英 問「珍重 (ちんちょう)」

 忠勝 答「万歳 (ばんぜい)」

 注・・・最後の問いと答えは法戦の形式である。

 「ウオウオオーッ、ズドーン」

 法戦終了とともにあまりの緊張感に耐えられな

くなったのか、良之介はケダモノのようなうめき

声と爆裂音を発して立ち上がると、

 「水平線の終わりには、アァア〜、にィじィのぉ

  はしがぁあるのだろ〜♪誰も見ない 未来の国

  を 少年は 捜し求める ダダダ(これは間奏)♪」

 あのアニメの名曲「海のトリトン(ゴーゴートリ

トン)」を歌いだした。

 「狂ったか良之介」

 孫六は良之介の頭のてっぺんのツボを突き、落

ち着かせるや、孫六自身が海のトリトンのつづき

を歌いだした。

 「広がる海の 彼方から 何が呼ぶと いうの

  だろう 希望の星 胸に残して 遠く旅立つ 

  ひとり 」

 すばらしいバリトンであり、正英は思わず聞き

惚れた。

 「歌うでない」

 忠勝が一喝する。

 孫六は驚いて歌を中断した。

 その刹那 (せつな)、

 「ゴーゴー トリト〜ン ゴーゴー トリト〜ン

 ゴーゴーゴーゴーゴー トリィト〜ン♪ 」

 と海のトリトンのサビを忠勝は熱唱した。

 普段は低音の忠勝だが歌うときの声は、意外と

かん高く、なぜか自然と右手の小指が立っていた。

 以下七十一に続く

 ヨコ書きこの下のネット投票のクリックして一票入れてください。これを書いた努力賃です、情けをかけておくんなさい。

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