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琵琶湖伝  作者: touyou
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琵琶湖決戦編六八「お笑い桑名藩」

 「どうした正英」

 「忠勝様、そういう自分で考えて修行していく中で、技を相手

にかけるときに必要な「距離」がわかるように・・・よくいわれる

「見切り」ができるようになった気がします」

 「ハアッ・・・正英やっとわかったか。わしはお前に手取

り足取り教えすぎた。そこでお前が絶対に自分で考えるしか

なく、それですばらしい技ももっている師匠を探し、白雲斎

殿にお前のことをお願いしたのだ。人間は同じ顔がないよう

に体格も体質もまったく同じ者などいない。だからある師匠

が教えたものをすべて学べたとしても、習得した技がその弟

子本人の体格や体質に適したものかどうかは、他者との真剣

勝負でしかわからんのだ。当然適してないとわかったときは

もうこの世にいないかもしれないのが、武術なのだ。とくに

見切りは教えて教えられるものではない。武術の本質は自ら

会得することと思えよ」

 忠勝は一呼吸置き、

 「正英わかったか」

 といった。

 「そうだったんだ。ウン、よくわかりました」

 素直に正英は胸を張って答えた。

 忠勝と孫六は眼を合わせ、声をそろえて言い放った。

 「まーさひでー、お前は本当に馬鹿だな。自分で考えたこと

がないのか」


 忠勝はしばらく笑ったあと、真面目な顔になった。

 「馬鹿ちゃん正英の相手をするために、こんな朝早くから集

まったわけではないからな、本題にはいろう。今日集まっても

らったのは・・・それは石田三成が生きているといううわさの

真偽を確かめたいからだ」

 「ウグッ」、正英は笑いたくなる衝動をこらえるのに必死だっ

た。

 一六○○年十月に石田三成が京都で公開処刑されたこと

は周知の事実。

 生きているなどデマに決まっている。

 考える必要もないこと。

 それを真剣な顔で論じだした忠勝におかしさを感じたのだ。

 「正英、おかしいか」

 忠勝が正英に問う。

 「正直にいうと、ありえないことで、まともに考えるなど、

お笑い桑名藩って感じです」

 以下六九に続く


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