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琵琶湖伝  作者: touyou
62/208

第一部関が原激闘編61「誓いの杯」

 晴豊はそこで言葉を置いて、酒を一口飲み、

話を続けた。

 「九条はんは骨の髄までの豊臣びいき。朝

廷の空気は家康様に流れるのみ。この国が平

和になるために、当然の流れや。でも九条は

んには許せんようや。暗器師という最終兵器

を出してきょったんや」

 晴豊の言に、板倉勝重が、

 「去年から今年にかけて親徳川派の有力公

家が二人何者かに殺されております」

 と、付け足す。

 「その二件は烏丸の仕業や。証拠がないと

か、その時間には九条家におったとかで、う

やむやや。わても襲われて、護衛のものが死

んでるんや」

 晴豊が無念そうに言うと、家康が、

 「勝重、三河武士八名で烏丸中将を逆に殺

そうとねらったよな」

 と、聞く。

 板倉勝重が、

 「残念ながら、失敗。烏丸中将が先月未明、

わずか二名の伴のみで、屋敷を出たのを好機

と、襲撃するも二名の伴のものの手で、一人

を残し全員死亡」

 と、答えた。

 「敵もなかなかのものを揃えておるな。そ

の後は」

 家康がさらに、問う。

 「現在は、伊賀者総支配の服部半蔵が、直

接に鍛えたものを二十名、所司代配下として、

烏丸とその家来の動向を監視しております」

 板倉勝重の報告に、家康は、

 「それでよい。スキあらば殺せ。文に頼る

べき公家が、武に頼るとは。確かに九条様は

あせっておるな」

 といい、勧修寺晴豊、金地院崇伝、板倉勝

重の三名に自ら酒をついだ。

 家康も己が杯に酒をつぎ、乾杯の音頭をと

った。

 家康は、亡き井伊直政の努力に報いるため

にも、朝廷内での親徳川派の巻き返しを他の

三名と誓い合ったのである。

 以下六二に続く


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