表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
琵琶湖伝  作者: touyou
60/208

第1部関ケ原激闘編59「暗器師」

 家康は、あの関ケ原が終わって3日目に来て、今回も来た朝廷の使者、

烏丸中将成幹 (なりみき)に興味がわいていた。

 勧修寺晴豊を通じてかなりの公家衆と交流のある家康が、まったく知ら

ぬ者であった。

 「あれは、暗器師 (あんきし)でおじゃる」

 と、晴豊が前に並べられた酒肴の膳の品を、口にしたのち言った。

 「暗器師とは何か」

 板倉勝重が問うた。

 晴豊ではなく、金地院崇伝が口を開いた。

 「暗器とは手に隠し持った武器のこと。たとえば手裏剣。そこから派生

し、暗器師といえば、敵対するものを毒物などで自然死にみせかけ殺す人

間を指すはず」

 晴豊は、大きく頷き、      

 「さすがは、博識の崇伝はん、その通りでおます。そやが、公家衆が使

う暗器師は、暗殺を仕事とする役職ですわ。そやから、隠さなあかん。表

立った役職には絶対にでまへんな。朝廷が、持ってはいるんやが、隠して

るちゅ意味もこめて、暗器師なんや」    

 と、いう。

 「朝廷の役職に暗器師というのがあること、初めて知り申した」   

 金地院崇伝が素直にいうと、晴豊がより説明した。

 「いや、公家さんの中にもしらん人のほうがおおいわ。ほとんどの公家

さんに隠さな暗器師の意味がないわ。でも起源は古いんやで。政敵の暗殺

は、いつでもあったんやからね。大化の改新をはじめ、ありとあらゆる朝

廷内の政変で、暗器師は帝のために活躍してるんや。ただ、暗器師の家は

古来より、烏丸中将成幹の家しかないんやけどな」

 「暗殺が烏丸の御家芸ですか」

 板倉勝重が眼を丸くしていった。

 「ほんと驚くわ。そやけど事実や」

 「御家芸といっても暗殺の仕方には様々あるはず。何か得意技があった

りするのか」

 家康が、問うた。

 以下60に続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ