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琵琶湖伝  作者: touyou
53/208

第1部関ケ原激闘編52「孫六の首」

 己の槍の穂先が跳ね返されたのを見た武士は、

 「ウオー、リャー」

 と、そのまま5メートルほど垂直に飛び上がり、

 「おお驚いたー、まいりましたー」

 と、いいながら降り、そのまま土下座し、言った。

 「わしはこの大多喜藩の城主本多忠勝。見事な内功(ないこう いわゆ

る気功。身体の内部機能を鍛錬し、体内の「気」が生み出す内力(ないりょ

く)を自由に使う技のこと)に感服仕った。ぜひ我が家臣になられたし」

 何と忠勝は正面からくる孫六をただものでないと判断し、力だめしをし

たわけだ。

 孫六は最初、

 「秀吉に憎まれている雑賀の血筋を家臣にしては、面倒が起こるやも」

 と、自分の素性を忠勝に打ち明け固辞したが、

 忠勝は、

 「(らち)もない」

 と、笑い出し、強引に孫六を家臣にしたのだ。

 忠勝に付いていたあとの二人は、梶金平と正英であった。

 それから11年。関東なまりに慣れ、関西弁などずっと使ったことがな

かった孫六が、若き日の天王寺の戦いを思い出すことで、つい関西弁に

なってしまったのだ。


 「歴史の大舞台で、孫六は活躍してたんだからな。その当時を思い出

し、生まれた土地の言葉がでたのは、自然なことだな」

 梶金平は、孫六に酒をついでやりながら、語りかける。

 孫六は、軽く頭を下げ、その酒を一気に飲み干した。

 正英はきなこ餅をほおばりながら、

 「それにしても、あの直政様でさえ、6万石の加増。梶様、家康様は譜

代に厳しすぎませぬか」

 と、かねての心情を吐露した。

 梶金平は、お返しに孫六が注ぐ酒をうまそうに飲み、

 「確かに、譜代に厳しく、外様に甘く見える、御加増かもしれんな。井伊

様でやっと18万石、外様をまとめた黒田様や福島様が20万石前後から50万石

に、石田三成を捕縛された田中吉政様が、10万石から32万石…すごいな…本

当に」

 梶金平は、今度は手酌で少し杯に口をつけ、それから言葉を続けた。

 「しかしなぁ…たとえば、孫六が旅先で突如、右肩の関節がはずれたとし

よう」

 孫六は即座に己の右肩の関節をはずした。

 「さらに股関節がぬけたとしよう」

 と、梶金平がいうや、孫六は己の股関節をはずす。

 「よく見れば、首も180度回転している」

 と、梶金平が付け足せば、孫六は己の首を180度回転させた。

 さすがに痛いのか、孫六は苦しみだす。

 梶金平はその様子を無視して、正英に問題を与えた。

 「さあ、旅先で病気になった孫六を親族が見つけ介抱したときと、他人

が見つけ介抱したときを考えてみよう…正英、おぬしならどちらにお礼を

多く出すか」

 以下53に続く

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