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琵琶湖伝  作者: touyou
49/208

第1部関ケ原激闘編48「木俣守勝伝」

 「でもな、あの時、助けた明智様に信長様は討たれはるんやから、ほん

ま人生はわからんなぁ」

 と、感慨深げにつぶやいたのた。

 梶金平が、

 「油断大敵というか、何ともやりきれん話だが…」

 「明智で思い出した。さっきの守勝よ」

  と、言い出す。

 「そうそう、信長様が武田を滅ぼしたあと、東海道を帰っていった…3

月でしたよね…それから…どうなったので」

 正英が、今度はそっちの話に戻していく。

 梶金平が、守勝の昔話を再開する。

 「駿府にいた家康様は、信長様を招いて上へ下への大騒ぎ、で、その

時よ、明智様の傍らにいた侍…よく見れば、守勝だ。何と明智様の側近

になっていたのよ」

 「ほな、天王寺にも」

 孫六が問う。

 「参加したそうだ。雑賀衆の鉄砲の腕の良さには驚いたといっておった

ぞ。ところで、明智様というのはもともと家臣をもたず、諸国流浪中、

足利家と懇意になり、その縁で織田家に入った男。領地はもらっても家

臣がいない。新入社員大募集てなもんで、守勝はあっという間に大幹部

になったのよ」

 「明智はん、守勝はんをよう手放しましたなぁ」

 孫六がさらにいう。

 「ワハハッ、守勝を見た瞬間、忠勝様が真空跳び膝蹴り、わしが延髄

蹴りで、守勝は卒倒、縛き上げて、家康様のところに運んだら、家康様

が「守勝、わしらと、徳川の朝焼けに向かって走ろうではないか」とおっ

しゃられた…守勝め感動して泣き出して、そのまま家康様が、信長様を

通じ明智様に交渉して、帰参したのよ」

 と、梶金平が一気に守勝帰参の経緯をしゃべった。

 正英が、独り言のようにつぶやく。

 「帰参が3月、その年の6月に、明智様の謀反で、信長様は亡くなら

れたのですよね」

 「ほんまや、帰参が遅れてたら、木俣はんも謀反人の家臣となってた

んや」

 「本当に、人の人生は一寸先は闇。全ては天命。我らは仏が仏界で

焚かれる、わらの犬のようにはかない存在よ」

梶金平は、今までの人生を省みるがごとき面持ちで、いい、さらに、

 「そのあとの守勝は、遠江出身の井伊直政様に、滅亡した武田家の

家臣団の差配のご命令があったとき、家康様が、他国の経験がある

守勝なら、他国者の多い井伊家の家老にもってこいだとなって…」

 と、続けた。

 守勝の話が終わりかけたとき、梶金平はふと心に浮かんだことを、

口にだした。

 「孫六、お前、何で関西弁になってんだ」

 以下49に続く


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