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琵琶湖伝  作者: touyou
45/208

第1部関ケ原激闘編44「危ない直政」

 答えは55枚である。

 閑話休題。


 忠勝と桑名に話を戻すと、4月に忠勝が来る前、2月に梶金平を

大将とした先発隊が桑名城に入り、諸事万端整えて、忠勝を待っ

ていた。

 その折、先発隊に加わっていた井原正英、雑賀孫六が梶金平と会食

した際、先の論功行賞が話にのぼったことがあった。

 時は3月中旬の夜、場所は桑名城内雲林院である。

 関ケ原で井原正英に助けられた梶金平が、伊勢湾のさまざまな海鮮

料理や銘酒で正英をもてなし、感謝の意を表そうとしたのである。

 ところが、正英はまったくの下戸で、酒が飲めない。

 それではと、孫六が同席し梶金平と杯を交わす。

 正英は海鮮料理以外にきなこ餅が食いたいと言い出したので、梶金

平はそれも用意した。

 海老と焼きはまぐりときなこ餅をほおばりながら、

 「井伊直政様は、やはり許せん」

 と井原正英がいう。

 島津追撃の際に、島津豊久を背後から射殺した、その卑怯な態度の

ことを正英はいっているのだ。

 雑賀孫六が、

 「(いくさ)だからな…ただ、大将の直政様自ら撃つ必要はなかっ

たし、脚を狙ってもよかった。余裕がなかったのか、人を殺すのを

楽しんでいるのか」

 煙草に火をつけながらいった。

 「ウーム…男は強くなければならない。しかし優しくなければ生き

る資格がないか」

 梶金平が人間論的かつハードボイルド的な視点で、直政を評した。

 「梶様いいお言葉を」

 孫六が、梶金平の杯に酒をつぎながら世辞をいった。

 梶金平が、

 「当然のことよ。忠勝様を見てみぃ。わしと正英と孫六とそのお耳

役…それ以外に合戦でも普段の生活でも、暴力を振るわれたことが

あるか。」

 というと、

 「忠勝様は優しいかたなのだ」

 と正英が口をはさんだ。

 「直政様は、日常の生活でも優しくないのですか」

 孫六が、梶金平に問う。

 梶金平は杯を口にはこび、うまそうに飲み干して、

 「関ケ原が終わったあと、大阪城で何度も井伊様にお会いしたし、

家老同士で木俣守勝とも、よく話をした。その度に若い直政様(こ

の1601年では41歳)への愚痴を聞かされたよ。日常で部下に刀を

抜きすぎるとな」

 といった。

 「人切り直政と井伊家中でいわれていると、噂がありましたが…」 

 孫六が話をつなげる。

 以下45に続く


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