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琵琶湖伝  作者: touyou
43/208

第1部関ケ原激闘編42「歴史からの退却」

 「佐助さん、今はどうしてるの」

 小松姫が無遠慮に聞いた。

 「あの頃は、白雲斎(甲賀忍術の大家、戸沢白雲斎のこと。正英

も教えをうけている。2や34参照)先生の下で修行に忙しく、正式

な真田の家臣ではなかったのですが、二年前に師匠が亡くなり、

その後、真田家の忍びの者となって、今に至っております。先ほ

ども皆様の話を隣の部屋に待機して聞いておりました」

 佐助は、この10年をまとめて話した。

 その言に、

 「何だ、隣にいたのか。いざとなったら、我らに斬りかかれと幸

村からいわれたか」

 信幸が笑いながらいう。

 佐助は、わざとらしく、

 「とんでもない」

 と言いながら、

 「昌幸さまから言伝 (ことづて)が」

 信幸が、

 「何か」

 ときくと、

 「本多様のご配慮がもしあったなら、感謝いたすとのことでござ

る」

 小松姫が、

 「今頃いっても遅いわよ」

 といいかけたが、ここは辛抱して、

 「父につたえます」

 と、大人の応対をした。

 佐助は、信幸たちが、昌幸の言葉を快く受けとったと解釈し城内

に戻っていった。

 とにかく一度沼田に帰り、沼田の家臣たちに事情を伝えようと信

幸は考えた。

 沼田への帰途、小松姫が正英に白雲斎のことを持ち出すと、

 「白雲斎先生のことは、二年前にお香(佐助の妹弟子)さんから聞

きました。その年に鳥居峠の師匠の墓に手を合わせに参りました」

 と正英がいう。

 「おい、そのお香って何者だ」

 と孫六。

「白雲斎先生の弟子ですよ。佐助さんの妹弟子になるのかな」

「そのお香とお前は肉体関係あるのか」

 滅茶苦茶な突っ込みを孫六はする。

 「あるわけないでしょ」

  むきになって正英が反論する。

 「あれ、正英、赤くなってる」

 小松姫も突っ込む。

 「勘弁してください」

 さらに顔を赤くする正英。

 「それくらいで」

 事を収めるのは、当然、信幸であった。

 すでに夜のとばりが降りる道を、4人は沼田へ急いだ。


 その真夜中、、真田昌幸、幸村父子は、わずかな供回りを連れ、

上田城を出て、紀州九度山に向かう。

 この供回りの中に、猿飛佐助の顔もある。

 ちなみに、真田父子が望んだ合戦は、それから15年のちの大阪

の陣まで待たねばならなかった。

 そのとき、昌幸はすでに病死しており、昌幸にとって、上田城退

去は、戦国の歴史の舞台からの、事実上の退去でもあった。


 以下43に続く

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