琵琶湖伝第三部完全マニュアルその2
琵琶湖伝第三部完全マニュアルその2
その2は第三部の人物紹介の続きと第三部の内容紹介です。
反徳川の人々
井伊直政 文武両道、知勇兼備で悪い人。第二部以降はこの人の「死」をめぐって展開していきます。愛唱歌「赤色エレジー」。
木俣守勝 井伊家家老。直政没後の彦根城建設者。井伊家の大実力者。親徳川か反徳川かいまだ不明。第三部未だ登場せず。
木俣家家臣団 木俣守勝と同じ素直な性格です。第三部未だ登場せず
広瀬将房 井伊家家臣。井伊家の旧武田家家臣団の指導者的存在。井伊直政暗殺の容疑濃厚。第三部未だ登場せず
石黒将監 いしぐろしょうげん 井伊家家臣。旧武田家家臣団の一人で井伊家侍大将。八九「井伊家石黒将監」で彦根涼単寺に潜入した井原正英に一太刀を浴びせかけた剛の者。信長の遺書を追って堅田浮御堂の岡本邦源を襲うが、堅田水舟拳奥義の一つ、天上飛翔落雁 (てんじょうひしょうらくがん) により数万羽の水鳥の攻撃を受け、大空高く舞い上がって後、地面に落とされる。生死不明。百八十六「堅田水舟拳奥義」参照。
石田三成 関ヶ原の戦いの後、伊吹山中で捕縛され京で処刑されたと思われていた西軍の総大将三成は、彦根藩の旧武田家家臣団にかくまわれ、彦根涼単寺の僧として潜伏。広瀬将房たちと親密な関係にあり。百二十八「孫六、決断す」参照。
未確認情報ながら井伊家は、隠密裏に上洛しつつある徳川家康の首を狙っている模様。百四十一「直政火葬の疑惑」参照。我らが雑賀孫六はお耳役の部下たち数名と懸命の隠密活動を展開中。まだ書かれてないけど。
九条兼孝 反徳川派の首魁。関白。朝廷の最高実力者として家康の武家政権樹立を水泡に帰すべく画策する。
烏丸中将成幹 暗器師。九条兼孝の命で動く。伝教大師最澄が創出した独鈷比叡剣の使い手。最強武術家の一人で無敵な存在。藤堂高虎を助けようとする表正左衛門の美里正拳最終奥義「平安百世」に対し独鈷比叡剣の最終奥義「炎虎月照弾 (えんこげっしょうだん)」で対抗する。
高西暗報 烏丸中将成幹の家臣。天才武術家にして毒使い。弘法大師空海からの伝統を受け継ぐ武林の名門、高雄山東命寺派の奥義を極める。その天才性は狂気を秘め、朝廷の毒味役である養父や師匠を毒殺する。東命寺派破門の後、東命寺派の追っ手を逃れて烏丸中将成幹の裏家臣となり様々な謀略に暗躍する。その容貌は怪異ながら頭脳明晰にして技の切れ味は天下に響く。第二部琵琶湖決戦編九十九「乞食浪人」以降に登場し、草津での正英と良之介暗殺未遂、京都所司代との暗闘、南禅寺襲撃など様々な戦いを経て宮内平蔵とともに高命寺の決戦に挑む。得意技「木の葉がえし」「黄泉参り」「雪林氷布 (せつりんひょうふ)」など多彩。なお映画「マトリクッス」ばりに弾丸をかわせる。
宮内平蔵 烏丸中将成幹の家臣。薩摩藩脱藩者。剣の達人。島津義弘の政治的犠牲者でもある。高西暗報とともに数多くの徳川の人間を惨殺し、死に場所を求めて高命寺に赴く。
植山仁斎 大化の改新以前から烏丸中将家に仕える暗殺集団植山衆 の頭領。下賀茂神社で植山家の秘伝「土蜘蛛の陣形」で勧修寺晴豊暗殺を謀る。
菊亭晴季 豊臣と朝廷のパイプ役であったが、徳川家の台頭で権勢を失いかけている。
猿飛佐助 戸沢白雲斎の弟子。真田幸村の家臣。正英やお香の兄弟子にあたる。固定したものにぶつかることで生れる反作用の力を利用した「さるとび」の技を使う。幸村の命で信長の遺書を探して、京都嵐山竹林の道でお香と、さらにお香を追って堅田で岡本邦源と戦い、邦源の人間性に感服し、信長の遺書の追跡を断念する。百八十八「猿飛大いに泣く」参照。
独立系の人々
空海 真言宗の祖。空海の超人伝説は日本各地に存在する。空海が創出した高野神拳については、74話から84話までお読みいただきたい。
平安百勝 一五六〇年の美里拳論会を中止に追い込んだ伝説の最強武術家。
表正左衛門 美里村永代名主。空海の高野神拳の流れを汲む美里正拳の正統継承者。正確には第三十二代目表正左衛門。藤堂高虎の願いを聞き入れ、日本の平和のために徳川に与して烏丸中将成幹との頂上決戦に臨む。
島津義久 島津家前当主。九州の劉邦として家康からも恐れられる傑物。弟の反徳川派の義弘を隠居させ島津の領地を守る。
東郷重位 義久の家臣。薩摩では北薩摩の東郷、南薩摩の宮内平蔵と称された
剣の達人。薩摩藩以外への伝授を厳しく禁じる御留流であった示現流剣術の始祖である。義久の命を受け宮内平蔵を討ち果たすために「高明寺の決戦」に参戦する。
大田牛一 織田信長の側近。「信長公記」の著者。「信長の遺書」を所持し、豊臣秀吉亡き後、近江の青影神社の宮司をしている。伝教大師最澄直伝の独鈷比叡剣の流れを汲む三井園城拳の名手。1590年の美里拳論会には、63歳という老年の身ながら出場して準決勝で古今天真拳(古今伝授 (こきんでんじゅ)継承者のみが学べる空海ゆかりの武術)の細川幽斎に敗れる。百三十「太田牛一伝」参照。
浪路 大田牛一の一人娘。鬼道の達人で霊能力を持つ。
雑賀孫市 雑賀党の指導者。世を捨て、京都長岡の高明寺の寺男になっている。お香の訪問を受けた後、「高明寺の決戦」では高西暗報を狙撃する。その気をこめた弾丸は高西暗報の肩の肉を削ぐ。
岡本邦源 お香の養父。近江堅田(滋賀県大津市堅田)の堅田湖族衆総代。堅田水舟拳の使い手。「琵琶湖激誘波」や「天上飛翔落雁 (てんじょうひしょうらくがん)を使う。百十五「琵琶湖激誘波」百八十六「堅田水舟拳奥義」参照。
牧羊和尚 嵐山の名刹「天龍寺」の塔頭寺院のひとつ宝岩院の住職。高雄山東命寺派と京都を二分する武術である京都五山拳法派の統帥。京都五山拳法派は、京都の禅宗寺院を中心に発展した武術集団であり、その起源は十三世紀に渡来した中国少林寺の禅僧、右赤光 (ゆうしゃっこう)に始まる。牧羊にはお香が全く実力を発揮できず、竜雲も一敗地にまみれた。琵琶湖伝中の最強武術家の一人。158話参照。
第三部江湖闘魂完結編百二十六話から百九十八話までの流れ。
第三部は雑賀孫六が、これからのロードマップを指示するところから始まります。彦根藩の秘密の探索は、孫六自身とその配下の与平と勘太そして孫六の昔なじみの一歩十蔵で行い、正英と良之介は京都所司代板倉勝重の直々の要請に基づき京都に行き、金地院崇伝の護衛を、お香には信長の遺書を探すために京都長岡高明寺で寺男をしている実兄の雑賀孫市を訪問するように命じます。
132話から135話はやはり信長の遺書を追う真田幸村とその命で京都に向かう猿飛佐助を描きます。その途中で附けてきた霧隠才蔵との空中対決があります。
136話から139話は正英と良之介は大津坂本の日吉大社に集合しているお耳役の者たちと合流しようとしますが、その情報をつかんだ高西と宮内により日吉大社のお耳役たちは全員惨殺されます。しかしそこで藤堂高虎とその護衛役の梶川小兵衛に出会うことになります。
140「頭痛肩こり 板倉勝重」から145話までは反徳川派との戦いの最前線にいる京都所司代の板倉勝重が登場。正英たちがなぜ彦根に潜入する役になったかの秘密がわかります。徳川家康が源氏長者と征夷大将軍任命のための最終段階として帝との秘密会談することが決定しますが、駿府からの隠密裏の上洛が彦根を通ることに、勝重は心を痛めます。彦根藩には証拠はないのですが、井伊直政を藩内で暗殺したのではないかと直感的ですが疑いを持っていたのです。その直感を実証するための優秀な人材を求め、藤堂高虎の勧めで桑名の本多忠勝を訪ねます。忠勝や孫六は勝重の求めに応じて正英と良之介を彦根に送ったのでした。
146と147話で高虎らと正英、良之介は京都に入りますが、その時はもう勧修寺晴豊は下賀茂神社で襲撃されていたのです。
148「下賀茂神社の激突その一」からは親徳川と反徳川派の全面対決が勃発し、京都での血で血を洗う抗争が続いてゆきます。その第一弾が下賀茂神社の激突であり、第二弾が烏丸中将成幹への伊賀者の襲撃です。
155話から167話までは同時進行でお香の信長の遺書探しが始まります。まず雑賀孫市に会い、さらに牧羊和尚に再会します。牧羊の言葉で堅田に戻ることを決めたお香を猿飛佐助が襲撃します。この部分は孫市の紀州脱出の思い出や牧羊の凄さ、そして若いころの竜雲の正体などを語っています。
168話から172話は南禅寺での正英らと高西暗報らとの激突です。正英が初めて蝦蟇功を使います。良之介の優しさ、お香の大鷲使いの面目躍如の部分です。
173話から184話は、お香が先に堅田に戻った後、高西たちとの最終決戦のために板倉勝重は京都長岡の高明寺に高西たちを誘います。島津義弘から裏切られ天涯孤独となっていた宮内平蔵は死に場所を求めて、敢えて高明寺への道を選び高西も付き合います。高西宮内植山残党軍にたいして徳川方は正英良之介柳生兵庫助東郷重位そして藤堂鉄砲隊と京都所司代の者たち。人数からも実力差からも高西たちの劣勢は否めませんが高西は、獅子奮迅の活躍をしてゆきます。
185話から189話は、信長の遺書の在りかを探りにきた井伊家の者たちや猿飛との戦い、そして偶然のお香と半蔵の出会い。別れ際のお香のリアクションに泣く半蔵。
190から192話は烏丸中将成幹と表正左衛門の武門の最高対決を描きました。美里正拳最終奥義「平安百世」に対し独鈷比叡剣の最終奥義「炎虎月照弾 (えんこげっしょうだん)」で成幹は対抗します。この戦いで京都には徳川に刃向かうだけの実力を持った勢力が消滅することになります。残るは井伊家のみです。
193から198話は信長の遺書をこの世から無くしてゆくための話です。めでたく遺書は燃え尽きてしまったのですが、最強武術家の竜雲の動きが微妙なこと、また彦根の井伊家は手付かずなことは問題です。最後の決戦に向かうために正英とお香は良之介が待つ(185話参照)、大津瀬田の舟宿「かいなん」を目指し青影神社の港を出てゆくのです。
ここまでが198話までの流れです。井伊直政の死の謎の解明、石田三成の動静、井伊家旧武田家家臣団の野望、家康上洛暗殺計画の未然の防止などなど多くの解決すべき事柄がまだ残っています。
今後とも琵琶湖伝をよろしくお願いします。