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琵琶湖伝  作者: touyou
126/208

第二部琵琶湖決戦編百二十四「史上最大の噴出」

これで百二十四話です。第一部が六十二話「厭離穢土 欣求浄土」で区切りをつけ、第二部にはいってちょうど六十二話目で第一部と同じ話数まできました。第二部のここまでで特にアクションで好きなのは、九十七「あかつき峠の決闘その一」一〇七「ゆれる明かり」百十一「雨中の脱出」などきりがありませんが、世話物的な百十九「「雪の中の半蔵」は俺でもこんなの書けるのかと自分でびっくりしました。はちゃめちゃなのは、さまざまやってますが、今日のもですが、七○「法戦 カムイ外伝」は、まさにオマージュでして、それと法戦全体は「ファンシィダンス」のパロディをねらいました。第一部第二部すべての狙いなども書きたいのですが、すべての話に愛着はありますが、読者にゆだねて自由に読んでもらいたいのが、書き手の思い。私のしつこい一話ごとの一票お願い攻撃を受けながらこれからもご愛読くださいね。


(あれは、関ヶ原で石田三成の本陣に本多家騎馬

隊が、総攻撃をかけたときだ)

 孫六様は手綱を持たず、脚のみで牛みたいな

姿勢を崩さずに馬を駆けさせていた。

 それで忠勝様に、孫六様の様子がおかしいと

いったのだ。 (第1部関ケ原激闘編十二「本多

忠勝 (はし)る」参照)。

(似ている、今の状況も孫六様はまるで牛だ。あ

のとき、忠勝様はどう対応されたのか。たしか

すぐに孫六様は正気に戻られたはず)

 正英は必死で「あのとき」の、二年前の記憶を

たぐりよせていた。


「殿、孫六様が、井伊から帰ってきたあと、モー

モー言い続けていますが」

 というと

「井伊に毒でも飲まされたか」

 と忠勝様は正面を見ながらいったな。

 そして忠勝様は何をされたのであったか。

 思い出した。

 左側面を走る孫六様にむかい、左手一本で槍を

振り上げ、振り下ろし、孫六様の頭から「グッシ

ャ」と鈍い音がするほど、槍の柄で孫六様の後頭

部を叩いたのだ。

 孫六様はガクリと馬の首に頭をもたれ動かなく

なって頭蓋骨が砕かれ死んだのではと思った瞬間、

「アーッ、気持ちいい」といいながら、背を起こ

し手綱をガッシリと握られ、普通の状態に戻られた

・・・・・・・のだ。


 正英は囲炉裏にかかっている鉄瓶を手にした。

 囲炉裏に火ははいっておらず、鉄瓶はズシリと重

たい中にひんやりとした感触を正英に与えた。

 孫六牛は挙げてい手を下ろし板間に四つんばいと

なって進みながら、好色そうないや発情したような

眼でお香を見る。

 お香は恐怖のあまり凝然となり、

「さっきの木曾固めのこと、ごめんなさい。孫六ちゃ

ん許して」

 と震える声でいう。

 孫六はさらによだれを大量に垂らしながらお香の

背後にまわる。

 牛となりし孫六は、背後からの交尾をしかけよう

としているのだ。

 お香危うし。

 その刹那、正英の電瞬一撃の鉄瓶が、孫六の後頭

部にむかい振り下ろされた。

「カキィーン」

「グシャッ」

 金属音と頭蓋骨がつぶれるような鈍い音が同時に

部屋に響いた。

 孫六はゆるやかに体を崩れ落とし、うつ伏せに板

間に倒れた。

 孫六はそのまま動かなくなる。

 周囲のものは頭蓋骨が砕かれたかと孫六の命を危

ぶむ。

「英さん、いくら私が襲われかけたっていっても、

やり過ぎ」

 お香は正英をみつめながら不安げにいう。

 良之介と十蔵はお香に同調するように気弱そうに

頷く。

 正英はじっと倒れた孫六の背中を見ている。

 若干、間をおいて、孫六は、

「アーッ、気持ちいい」

 といいながら背を起こし立ち上がった。

 正英の強烈な一撃は、孫六の脳内に衝撃を与え、

地震波にも似た振動が脳内を駆け、最終的に視床下

部に達した時、そこに巣食ったものを破砕したので

ある。

 孫六は、牛から人間に戻ったのだ。

 孫六は晴れやかな笑顔を皆にふりまく。

 まさに関ヶ原の再現。

 正英は己の決断に満足した。

 ただし正英には思いもよらない違いが、関ヶ原の

孫六と二年後のここ有田屋の孫六にはあったのだ。

 関ヶ原では孫六の脳内視床下部に巣食った牛の瞳

を破砕したのであるが、今回の場合、牛の瞳ともう

ひとつ「尻」を粉砕したのである。

 尻を・・・・・・尻を・・・・・・。

「キィーィ」

 突如、孫六はバルタン星人のように両手の指でV

サインを作り、そのVサインを両耳に持っていくと

首をガクガク震わせ、白目をむきながら悲鳴を上げ

る。

 それと同時に口や鼻のみならず、孫六の毛穴を含

めた全身の穴という穴から、視床下部で粉砕された

牛の「おなら」が、噴出する。

 シュワァー、ブリブリブー。

 すさまじい音とともに人類史上最大のおならがマッ

ハの速さで飛び出した。

 まさにそれは、大量の臭素の毒ガスであった。

 一瞬のうちに孫六を含めた全員が失神したのであ

る。

 以下百二十五に続く

 ヨコ書きこの下のネット投票のクリックして一票入れてください。

 これを書いた労働力分と、情けをかけておくんなさい。


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