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手鏡とガラス

作者: 小夜風 藍

 ひらがな多めです、一応絵本口調です。が、子どもでない人も、大人の方々も、思い当たることがあるのではないかなーなんて考えつつ、つくったお話です。

 あるところに、小さな小屋がありました。そこには、かわいらしい姫様がすんでおりました。

 姫様はとてもいい人だったので、彼女の元には毎日、きらびやかな宝石達がとどけられるのでした。

姫様の小屋は、いつも、宝石であふれかえっているのです。


 宝石達は、すこしでも長く、姫様に気に入られたいと、いつも必死に自分をみがくのでした。

たとえ他の宝石とぶつかろうが、気にするひまはありません。少しでもはやく、少しでも立派にかがやくために、日々がんばっているのです。

 そんな宝石達にも、あこがれるものがありました。

 手鏡です。鏡は毎日姫様に用いられていたので、宝石達があこがれるのも仕方ありません。

 姫様が外に出かけたら、いつも、きれいな服を着こんだ美しい宝石達が、自らの姿をうつそうと、たくさん鏡のまわりに集まってくるのです。自らの姿を確かめ、鏡にほめてもらうために。ときには鏡をめぐって争うこともあるくらい、鏡は人気者でした。



 そんなある日、一枚のすきとおったガラスがその場にやってきました。ガラスは、数々の宝石に囲まれて、美しく輝く鏡を、うらやましく思いました。なんとか自分も鏡のように人気者になりたい、輝きたい、せめて、あの宝石達の仲間に入れてほしいと思い、必死になって宝石の列にならびました。周りにジャマ者扱いされながらも、なんとか、鏡の前にたったのです。するとどうでしょう。鏡の前にたっても、輝きばかりか、何もうつらないではありませんか。ガラスはさんざんからかわれたあげく、とうとう外へ追い出されてされてしまったのです。

 外でひとりぼっちになったガラスは、はずかしくてくやしくて、しくしく泣いておりました。すると、どこからか、寒い寒い、といった声がします。ふり返るとそこには、風の強さに今にもおれてしまいそうな花が一輪、あるではありませんか。ガラスは思い切って花の前にたちあがり、風をさえぎってやりました。やがて風はやみ、花はふたたび、咲くことができたのです。

 花「ありがとう、ガラスさん!」

 へとへとになったガラスは花の側で横になりました。花の周りにつどう虫達と黄色い花びら、そして青くすんだ空をながめていました。幸せそうなガラスの表には、穏やかな春の景色がたしかにうつっていたのです。

 そこに、出かけていた姫様が通りかかりました。

 花から事情を聞いた姫様は、たいへんガラスをほめ、そして小屋の小窓にそのガラスをつかうことにしました。

 姫様の役にたつこととなったガラスは、大変よろこびました。冷たい風から姫様のお家をまもることができるからです。



 そのころ、鏡は、宝石達に押され、ひかれ、もみくちゃにされているうちに、とうとう倒れて、バラバラにくだけてしまいました。宝石達はみな、知らん顔して、バラバラに散っていきます。鏡は今までにないさびしさにたえられず、はやくすてられてしまいたい、と思いました。

 そこに、姫様が帰ってきました。

 姫様はわれてしまった鏡をたいへんあわれに思い、そのかけらを一枚一枚ひろっては、くっつけてあげました。

 鏡は結局、完全にもとの姿にもどることはできませんでした。しかし、一つのモノを、たくさんの角度からうつすことができるようになったのです。

 姫様はその鏡がうつしだす真新しいながめを大変気に入ったので、持ち歩くようになりました。

 姫様と共にいれるようになった鏡は、大変よろこびましたとさ。

                                        おしまい 

 いろいろ読みづらい&わかりづらかったかもしれませんが、読んでくださってありがとうございました。以上、私の生の経験を生かしたささやかな童話でした。なんだこれ、なんて思われた方にはごめんさい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリックさん、高校生だったのねん。それにしては本当に安定した文章で驚きです。絵本口調だということを抜きにしても読みやすいと思います。 童話的教訓としては、老荘思想で言うところの「無用の…
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