夜明けの地.
はぁ…はぁ…
崩壊した家々の間…
崩れ落ちた壁の上…
…
ドォン!…ドォン!…
周囲に立ち込める煙…
道の周りに土が飛び散り…
夜の闇の中で黄金の炎がちらつく…
…
ドタ…ドタ…ドタッ…
遠くから小さな人影が…
光の当たる場所へ駆け寄る…
…
「ハル…もうちょっと急いでよ…」レンが俺を振り返る
「分かってるって…今頑張ってるよ…」俺は前を向いて必死に
…
………
光の当たる場所で…
人々が列をなしてバスを待つ…
青い服を着た人たち…
体に反射テープを巻いて…
人々の流れを誘導する…
…
バタン…
バスのドアがゆっくり閉まる…
女性が小さな棒に寄りかかって休み…
スタッフが次々と位置を交代…
…
「残りは私たちに任せてください!」青い服の人が俺たちに微笑む
…
すっ…
「さあ、坊や…」青い服の少女が少年に手を差し出す
「私たちも行きましょう!」
…
「でも…お母さんが…」少年の目が曇り、バスの方を向く
…
「大丈夫だよ…」少女が目を丸くして少年を見る
「お母さんは平気だから!」
「一緒に乗ってあげよう?」
…
きゅっ…
「うん…はい…」少年が軽く頷き、少女に手を伸ばす
…
ゴロ…
徐々にバスが去っていく…
あの母子の姿と共に…
……………
「これで大丈夫だよね?」レンが額に手を当て、バスを目で追う
「うん…そうであってほしい…」俺は軽く頷く
…
「でも本当に運が悪いよな!」レンが人々の列を振り返る
「この調子じゃ俺たちの番なんてまだまだ先だぜ!」
…
「仕方ないでしょ!」シノミが目を細めて俺を見る
「誰かさんが余計なことに首突っ込んだせいで!」
…
「ごめん…」俺が目を細めてシノミを見る
…
きゅ……
「でも…」シノミが駆け寄って俺の腕を掴む
「私はその性格、嫌いじゃないよ!」シノミの唇に軽い笑みが浮かぶ
……
きょろきょろ…きょろきょろ…
「あいつどこ行ったんだ?」レンが首を回し、ぶつぶつ呟く
…
「レン、何してるの?」俺が軽く目を伏せて見る
…
「いや…ネネを探してるだけなんだけど…」レンが周囲をキョロキョロ
…
「まさか…あの子が…」シノミが目を大きく見開く
…
ひらひら…
「そんなわけないよ!」レンが空中で手を振る
「知らないだけだよ…」
…
「爆発が起きた瞬間、ケイと俺を引っ張って逃げたんだから」レンが腰に手を当てる
「それに、みんながいないって大騒ぎして…」
…
「それに…」レンが目を細め、頭を下げる
「俺にみんなを探してこいって蹴り飛ばしたんだぜ!」
…
「あれは…」俺が口を歪めて笑い、レンを見る
「確かに…大変だったね…」シノミが軽く目を閉じる
…
ふぅ…
「ゴキブリ一匹見てもパニックになる子だよ?」レンが背筋を伸ばし、目を閉じる
「そんな子が外に出るわけないじゃん!」
………
フン……フン……
突然一つの人影が近づき…
レンの背後にぴったりと…
拳を固く握り…
…
「え…レン…」俺が目を細めてレンを見て、後ろを軽く指す
「みんな…それぞれ弱点があるんだよね…」
…
「コバヤシさん…」シノミが顔色を変えてレンを見る
「それでも…結構助けてくれたよね…」
…
「そんなに多くないよ!」レンが首を振る
「ハルと一緒に勉強するのと、あいつと勉強するの比べたら…」
「夏の冷たい水と熱いお湯みたいなもんだよ…」
…
ゴン!
「…………」イシカワさんがレンの頭を強く叩く
…
あっ!
「痛っ!」レンが頭に手を当てる
…
「誰だよ急に頭叩くの?!」レンが振り返って探す
…
「ごめんね!」イシカワさんが軽く口に手を当て、レンに目を向ける
「この水、ちょっと冷たすぎたかな…」
…
「普段の宿題の量がまだ少ないのかもね?」ネネが背を向けてレンに言う
…
「ご…ごめん…」レンが顔を下げ、軽く咳払い
…
「それでこそだよ!」ネネが軽く微笑み、俺を振り返る
…
「それに君たちも!」イシカワさんが俺たちを振り返る
「夜中にどこ行ってたのよ?!」
…
「俺たちは…その…」俺がシノミを振り返る
「ただ…」シノミが手を軽く組む
…
はぁ…
「でも次からは時間を選んでね!」イシカワさんが首を振り、腰に手を当てる
「ガス漏れしてる最中に遊び歩けるなんて!」
…
「ガス漏れ?」俺が首を傾けてイシカワさんを見る
…
「そうよ」イシカワさんが軽く頷く
「みんなそう言ってるわ」
………
ドォン……
遠くから黄金の炎が輝き…
都市の方から煙の柱が上がる…
…
すっ…
「ほら見たことか?」イシカワさんが煙の柱を指し、俺たちを見上げる
……
「イシカワさん…」俺が手を伸ばす
「実はそうじゃないんです…」
「本当は…」
…
きゅっ…
シノミの手が突然俺の手を強く握り…
頭を俺の腕に寄せ…
指先に軽い震えが走る…
……
「続きを言って」イシカワさんが首を傾けて俺を見る
「何か私に隠してることある?」
…
「いや、何でもないです」俺が慌てて首を振る
「ただの俺たちだけの話ですよ」
……
ははっ…ははっ…
「ネネ、君って本当に単純だね」レンが腹を抱えて笑う
「言われたことすぐ信じちゃうんだから!」
…
「その言葉、君の口から聞きたくないわ!」イシカワさんが目を細めてレンを見る
…
「じゃあ良かったら教えてよ…」イシカワさんが腰に手を当て
「私より君の方が知ってることあるの?」
…
「よく聞いておけよ!」レンが胸に手を当て、にこにこ笑う
「これ、一回しか言わないから!」
「聞いて…」
…
むぐっ…んむっ…むーっ…んん…!
俺の体が突然飛び出し…
無意識にレンの口を塞ぐ…
…
「急に何してるのハル?!」レンが俺の手を掴む
…
「この話、言わないでくれる?」俺が耳元で囁く
…
「は?」レンが首を傾げる
「なんで?」
「ネネが知ったって別に悪いことないだろ?」
…
すっ…
「もし言ったら…」俺がレンの肩に腕を回し、囁く
「イシカワさんがさっきの話も全部知っちゃうって思わない?」
…
ふるっ…
「確かに…」レンの体が軽く震える
「知ったら何されるか分からないもんな!」
…
「二人で何相談してるの?」ネネが俺たちに視線を向ける
…
へへ…
「いや…さっきの話だけ…」俺がイシカワさんを振り返る
「ガス漏れの中で歩くなんて、結構怖いよね、レン?」俺がレンを見る
…
「そ…そう…言うなよ…ハル…」レンが目を細めて俺を見る
「まぁ…何もなくて良かったけど…」
…
ん……?
「君たち…急に…変ね…」イシカワさんが顎に手を当て
…
「シノミちゃん、何か知ってる?」イシカワさんの視線がシノミに向く
…
「何もないよ…」シノミが顔を逸らす
「ただの…些細なことだけ…」
…
ふーん……
「また私を仲間外れにするの…?」
「いずれ…私も知ることになるわよ…」
…
「君の想像だよ」俺がゆっくりシノミに近づき、口を歪めて笑う
「誰も君に隠してるものなんてないって!」
…
きゅ…きゅ…
「ありがとう…」シノミが俺の胸に顔を埋め、服を軽く引く
……
「その時が来たら…全部教えてあげる…」シノミの唇が軽く動く
……
「何て言った?」俺がシノミを振り返る
…
「何でもないよ!」シノミが軽く首を振る
「ただの自虐発言!」
………………………………………………….
コツ…コツ…
道の奥から…
闇に包まれた中…
一つの人影が現れる…
黒光りする鎧に、青いライン…
…
すっ…
「ねえ…みんな…」イシカワさんの目が大きく見開かれ、手が道の奥を指す
「あれ…何…?」
…
「何だあれ?」レンが首を傾げる
「支援ロボットか?」
…
「…………」俺の目が大きく見開かれる
……
ピリ……
闇の中から槍の先が現れ…
俺たちのいる人々の列に向かって…
…
「やめて…」シノミが唇を軽く動かし、俺に密着する
「そんなことしなくても…」
…
…
ズンッ!
俺の体が突然前に飛び出す…
黒い鎧の男をすり抜け…
自分に向けられた槍を無視して…
……
「ハル…」シノミが目を丸くし、唇を軽く動かす
……
でも…
黒い鎧の男の目は変わらず…
槍をシノミに向けたまま…
…
ゴッ!!
道端の石を…
全力で黒い鎧に投げつける…
石が兜に直撃…
…
「来れるもんなら来てみろよ、虫けら!」俺が口に手を当て、目を大きく見開く
「弱虫の卑怯者め!」
「闇に隠れてコソコソと!」
…
カッ…
「ふん…望み通りだ、虫けらめ!」黒い鎧が俺を睨み、嘲るように言う
「貴様のような下等な生き物が、俺に指一本触れられると思うなよ」
………………………………………………………………………………………………………………
闇に沈んだ都市の真ん中…
周囲は崩れた建物の破片ばかり…
倒れた街灯があちこちに…
…
タッタッタッ…タッタッタッ…
俺の視線はまっすぐ前…
体は全力で走り続ける…
…
ガガガガッ!!
後ろから黒い鎧が迫り…
青い光の線が次々と俺に向かう…
…
ガクッ……
俺の体が道の真ん中に倒れ…
手が足に伸び…
新しくできた穴に触れる…
血が徐々に地面を染め…
……
コツ……コツ……
「褒めてやるよ、虫けら!」黒い鎧が俺に近づき、鼻で笑う
「他のクズどもよりは、少しは度胸があるようだな」
…
ずる……ずる……
手が前に伸び…
背中を曲げ…
目が細まる…
…
ブンッ――!
「だが残念だな、虫けら!」黒い鎧が俺の足に槍を突き刺す
…
ぎゃあああっ!!
手から力が抜け…
体が動かなくなる…
視界がぼやける…
…
「もしお前が俺たちの仲間だったら…」黒い鎧が体を起こし、嘲る
「案外、使える犬くらいにはなれたかもしれないな」
…
すっ……
「だが運命は変えられない…」黒い鎧が槍を俺に向け、冷笑
「お嬢様のペットごときが…」
「せいぜい楽に死ねよ、虫けら」
………
キン……
火花が空間に飛び散り…
黄金の剣が槍に向かって飛ぶ…
馴染み深い黒髪が現れる…
…
ズサッ…
「貴様…」黒い鎧が人影を振り返り、吐き捨てる
「鉄の箱が何の用だ? 邪魔だぞ」
…
「失礼します!」少女が剣を黒い鎧に向ける
「でも、あの人をここで死なせるわけにはいきません!」
……
「ホシマ…さん…」俺の目が大きく見開かれる
……
パチン!
「そうか?」黒い鎧が指を鳴らし、嘲る
「自分の身も守りきれない鉄くずが…」
「助けるだと? 笑わせるな」
…
瓦礫から人影が現れ…
白い鎧の集団、槍を手に…
ホシマさんに向かって視線を…
…
シャ…シャッ!
「じゃあ…」ホシマさんが両手に剣を構える
「みんなまとめて相手します!」
………
キン!カン!キン!
火花があちこちに散り…
槍が次々とホシマさんに向かう…
双剣が空中で回転し…
あらゆる方向から防ぐ…
…
ずる……ずる……
「ホシマさん…」俺が軍勢に手を伸ばす
「お願い…逃げて…」
…
カツ……カツ……
「お前があれを哀れむのか?」黒い鎧が俺の前に立ち、嘲笑
「虫けら風情に何ができる?」
「ただの重荷だ…弱い、哀れな虫けらめ…」
…
ずる……ずる……
「たとえそうでも…」俺が前に体を伸ばす
「無駄でも…役に立たなくても…」
「せめて…誰かを巻き込まない…」
………
キン……
「じゃあチャンスをやろう!」槍が俺の前に突き出され、黒い鎧が嗤う
「これを掴め…そしたら彼女を助けられるかもな」
…
「…………」俺が槍に手を伸ばす
…
「だがな…」黒い鎧が頭を上げ、傲慢に
「人間はお前たち、触れた瞬間に自滅する」
「あるいは狂って周りを壊すだけだ」
…
「それでも…」俺が槍に手を伸ばす
「目の前の人を救えるなら…」
「狂ったとしても…」
…
きゅっ!
「ここで重荷になるよりマシだ!」手が槍を掴む
……
霧が目の前に広がり…
一つの人影が近づき…
囁きが響く…
…
「まだ早いんじゃないか、ガキ?」
「この体じゃ、まだ大したことできないぞ!」
…
「まあいい、一回だけやってやる」
…
「だが次からは…
「…自分で動けよ」
……………………………
ドォォン!!
光が俺の体を包み…
軍勢が吹き飛ばされ…
黒い鎧が後退…
…
ビリビリ……ビリビリ……
電気が体を走り…
傷が徐々に癒えていく…
……
「何が…起きた…」白い鎧が俺を見る
…
ゴッ!
俺の体に感覚が戻り…
目の前に…
白い鎧が吹き飛ばされる…
…
「何だこりゃ?」一人の白い鎧が後退
…
「怖いことなんてない!」もう一人が俺を指す
「一人だけだ!」
「突っ込んで倒せばいい!」
…
シュッ!
いつの間にか…
俺の体が敵に向かい…
槍を振り、目の前の敵を突く…
…
ドン!ガン!ゴッ!
地面が次々と抉られ…
壁に敵の形が刻まれ…
白い鎧があちこちに飛ぶ…
……
ギュッ…
「こんな…ありえない…」黒い鎧が拳を握り、歯を食いしばる
「どうやってお前が…!」
「虫けらがあれの武器を振るうなんて! ふざけるな!」
…
カン!
「もう明らかだろう?」ホシマが黒い鎧に斬りかかる
…
「何を言ってる、鉄の箱!」黒い鎧がホシマに顔を近づけ、嘲る
……
俺の視線が向き…
ホシマさんに注がれ…
槍が高く掲げられる…
……
「君も分かってるはず…」ホシマの目が細まる
「…この槍を使えるのは誰か…」
…
ギン!
「ふざけるな!」黒い鎧が体を伸ばし、ホシマを押し返す
「虫けらがあの人と関係あるわけないだろう!」
…
「どけ!」黒い鎧が手を振る
「俺が自分で確かめてやる!」
…
「どうぞ!」ホシマが素早く身を引く
…
ブンッ!
槍がホシマを横切り…
黒い鎧に向かって突き進む…
……
ドガァン!
バキ…バキッ…
煙が激しく上がり…
雷が四方に散り…
土石が飛び散り…
地面に一本の直線が…
コンクリートを貫き…
下の土が露わに…
…
ぎしっ……
「貴様…まさか…」黒い鎧が立ち上がろうとし、震える声で
「そんなはずは…」
「あの方に…子孫など…」
「もう誰も…」
…
がしゃ……がしゃ……
「教えてくれ…」黒い鎧が俺たちに近づき、苛立つ
「お前は何者だ…何を知ってる…」
……
ウォォォォ……
遠くから音が響き…
巨大な体が海面から浮上…
…
「くそ…」黒い鎧が俺を睨み、吐き捨てる
「次は…絶対に…逃がさないぞ、虫けら…」
…
タタタタッ…
黒い鎧の姿が闇に溶けていく
………………………………………………………………………………………………………………
朝日がすべてを照らす中…
海面が朝焼けに輝き…
…
俺の体は固まったように…
喉から言葉が出ず…
全身に激しい感覚が走る…
…
どさっ!
体が地面に倒れ…
指一本動かせず…
まぶたがゆっくり閉じる…
…
コツ……コツ……
「どうかお休みください、トガミ様」ホシマさんの足音が近づく
「残りはすべて私にお任せを!」




