枚のコインの両面
ワーッ!キャーッ!わいわい…
車がゆっくりと街へ滑り込み、無数の視線が突き刺さる
…
ワーッ!キャーッ!わいわい…
道の両側に並ぶ人垣、みんながこちらを見上げる
手を振る人、追いかけてくる子供たち、空に翻る旗
…
「おい見てみろよ! みんな俺たちを迎えてくれてる!」蓮が興奮して振り返り、満面の笑みで窓にへばりつく
「アホなの? 誰が私たちなんかを待ってるわけ?」ねねが腰に手を当てる
「本当だって! 信じないなら来て見てみろよ!」蓮が指をバタバタ
「本当にだ! でもこんな大勢どこから……?」篠見が窓に手を当てて顔を出す
「ほんとバカばっかり……きっと祭りか何かでしょ! 私たちを待ってるわけないじゃん」ねねも無理やり窓に顔を突っ込む
…
そして歓声の中、一つの小さな影が必死に車を追いかける
見慣れた腕が、人波の中で上下に揺れる
…
「あれ……圭!? なんでここに……」俺は固まり、窓に飛びつく
後ろの人垣の間を、小さな頭が波のように上下に
………
でも、窓を見ているのは俺たちだけ
残りの全員は、固く握りしめた両手を下に向けていた
………………………
キキーッ!ギギッ… ドンッ!
タイヤが止まり、ドアが大きく開く
朝の光が俺たちを照らし出す
そして無数の視線が一斉に上がる
…
「みんなー! 帰ってきたよ! 早く降りよう!」ねねが飛び跳ねる
クハハ!
「ねねがそんな反応するなんて!」蓮が指をさして爆笑
「べ、別に! うるさい! 蓮こそ偉そうに!」ねねが顔を真っ赤にして腕を振り回し、蓮に迫る
「まあまあ、どっちでもいいじゃん!」俺は両手を広げる
「黙れ変態!」二人同時に睨む
…
「もう終わったんだし!」篠見が微笑む
「そ、そうだな……じゃあ!」蓮が顎に手をやる
「……最後に降りたヤツは今日の飯おごりな!」蓮がドアへダッシュ
「ちょっと待てズルい!」ねねが追いかける
…
「行こっか、春くん」篠見が手を差し出し、にっこり
…
「うん……行こう……」俺はそっと立ち上がり、後に続く
「煌花さんは?」俺は煌花を見る
返事はなく、頬を膨らませて睨むだけ
「すみません……煌花……この後どうするの?」俺は頭を掻く
…
「私には行かねばならない場所がございます。十神様は先にお行きください!」煌花が微笑む
……
俺たちは嬉々として車を降りる……
けれど、俺たち以外は誰も先に降りようとしなかった
………
「よし、ガキどもは降りた」黒鉄さんが立ち上がる
「諸君……行くぞ!」
…
そして兵士たちがゆっくりと後に続く
………………………………………………………………………………………………………………
「んーーーっ!」
「やっと地獄の旅も終わりだ!」蓮が大きく伸びをする
「そうだよね〜こんなに色々あったのに!」ねねも両手を天に伸ばす
…
「てか春、最後降りたよな? 今日の飯おごり決定〜」
「えええ……でも俺……」俺は伸びをする
「大丈夫だよ春くん。私も出すから」篠見が肩に触れる
……
わいわい……ざわざわ……
どどどどっ…
「きたー!」…「おかえりー!!」
キャッキャッ、ガヤガヤ……わーっ!…!やったー!!
…
兵士たちが地面に足を踏み入れた瞬間、人波が押し寄せる
子供たちが駆け寄り、大人が兵士に抱きつく
満面の笑顔が溢れる
…
たたたっ……とととっ……
突然、慣れた影が俺に向かって突っ込んでくる
ぱっ——ぎゅっ!
小さな体が俺の胸に飛び込み、ぎゅっと抱きしめる
…
「お兄ちゃんのバカ! なんで……」
「なんで……妹を置いて……行っちゃうのよ!」服に涙の染みが広がる
「圭……俺……」
「何も言わないで! もう……二度としないで……ね?」圭が顔を上げ、目尻に涙、頬を伝う水路
…
「わかった……約束する!」俺は圭の頭を優しく撫でる
「もう絶対置いてかない!」
「今度こそ本当? いつもみたいに嘘じゃない?」
「本当だ……もう行かない……」
…
「じーーーっ」
「春、この女たらく! 家族までハーレムに入ってんの?」蓮が唇を噛んで地面を踏み鳴らす
「蓮、それは……違うって……」
「もしもし警察ですか? ロリコンが野放しになってます!」ねねがスマホを取り出す
「違うって! また誤解されてる!」俺は両手をバタバタ
「圭、言ってくれ! 誤解だって!」
「えへへ……」
圭はニコッと笑うだけ
……
「普段から私にもそうしてくれたらな……」篠見が指を口に当てて呟く
「何か言った? 篠見?」
「何でもない! ふん!」頬を膨らませて横を向く
……………………………
歓声と笑い声の中
温かい抱擁と騒ぐ子供たちの中
…………
「どういう意味だアアア!」
突然の怒号が全てを切り裂く
視線が一斉に遠くへ
…
「どういうことだ! そんなことがあり得るわけない!」
男 Brunner が黒鉄さんの襟首を掴む
…
「残念ですが、それが事実です」黒鉄さんが帽子をかぶり直し、目を隠す
…
「受け入れろって言うのか? 当然だって言うのか?」男の顔に皺が刻まれる
「俺の息子が戦場に永遠に残されたって言うのか!」
「ふざけるな! なぜあいつが残されて、お前らが帰れるんだ!」男が黒鉄さんを突き飛ばそうとする
…
「お前が隊長だろう! 最初に残るべきはお前のはずだ!」
「奴じゃない! 俺の息子じゃない! ただの無位の兵士だ!」
…
「申し訳ありませんが、我々は全力で……」
「全力で何だ! 俺たちが骨身にしみて働いた金で遊んで、息子みたいな無位の兵を捨てるのか!」
「俺たちは何のために……!」男が地面を踏み鳴らす
…
「落ち着いてください! 我々は……」玲奈が飛び出す
…
「いいんだ玲奈。続けさせてやれ」黒鉄さんが玲奈の手首を掴む
…
「役立たずのクズどもが! なぜだ? なぜだ……」
「……なぜ俺を置いてくんだ……この不孝者が……」
…
「こちらが息子さんがお持ちだった物です。お納めください」別の兵士が現れ、軍服、数枚の家族写真、スマホ、一通の手紙
…
男は黙り、物を受け取り、目が赤く腫れ、ゆっくりと去っていく
…
「あの子は無駄死にじゃない!」黒鉄さんが立ち上がる
「あの子がいたからこそ、我々はここにいられる!」
男は足を止め……そしてゆっくりと去っていく
…………
「こちらが回収できた全てです。お納めください」別の声
兵士が、少しお腹の出た女性の前に立つ
…
「くしゃ……」
女性の膝が地面に落ち、軍服をぎゅっと握る
ぱら……ぱら……ぱら……
コト……カラ……カラ……
小さな遺品が地面に落ちる
…
……ひっ……っ……
……くっ……はぁ……っ……
顔を地面に伏せ、背中を丸め、髪が全てを隠す
…
ぽろ……ぽろ……
床に水滴が落ち始める
…
兵士は立ち尽くし、唇を震わせながらも動けない
…………
「おばあちゃん、パパとママはどこ? まだ見てないよ?」赤い風船を持った男の子が群衆を見回す
「おばあちゃん、パパは? ママは?」袖を引っ張る
「おじさん……あそこの夫婦のことなんだけど……」おばあちゃんが兵士を見る
…
「申し訳ありません……これが全てです……」兵士が二着の軍服と遺品、厚い封筒を差し出す
…
おばあちゃんの皺だらけの目が兵士を追う
…
「ありがとう」
「ありがとう……家に連れて帰ってくれて」おばあちゃんが微笑み、皺の間を涙が伝う
兵士は固まり、帽子で目を隠す
…
「おばあちゃん、パパとママはどこ?」男の子が袖を引っ張り続ける
「友達のママパパはみんなあそこにいるのに、僕のは?」目に涙が浮かぶ
…
「大丈夫だよ! パパとママは他のみんなより忙しいだけだから!」おばあちゃんが笑う
「終わったら帰ってくるよ!」
「え、パパとママってすっごく大事な人なの? だからまだ帰れないの?」目がキラキラ
「そうだよ。パパとママはヒーローなんだ。だからみんながもっと必要としてるの」
「うわー! かっこいい! 自慢できる!」男の子が満面の笑み
…
「そうだよ! さあ行こうか? ここにいると邪魔だから」
「うん!」
…
そして男の子は手を離す
「風船が……」赤い風船が空へ
「いいよ! 新しいの買いに行こう!」おばあちゃんが手を握る
「やったー!」男の子が跳ねる
…
とぼ……とん……す……たっ……
こと……こつ……とぼ……とん……
二人の背中がゆっくりと遠ざかる
曲がった背中と、小さな背中
…
兵士は唇を噛み、帽子のつばを握りしめ、涙が頬を伝う
…………
さっきまでの歓声が消え、人々は抱きしめ合う手を強く握る
視線は向こうの列へ
…
黙った人々が、服と遺品を抱え、ゆっくりと去っていく
全員が俯いたまま
…………
「お兄ちゃん……行こ……」圭が俺にしがみつく
「もう疲れたでしょ。ここにいるより……」
「私の家に来て……休もう……」圭が顔を俺の胸に埋める
…
「そうだね」俺は圭の頭を撫でる
「いつまでもここにいられないし!」
「それに……俺がいない間、圭はどうしてたのか気になるし」俺は頬を掻く
…
「お前らも来るか?」俺はみんなを見る
「当たり前だろ! 聞くなよ!」蓮が俺の肩に腕を回す
「まあ私たちの家ももうないし、しばらく居候させてもらうわ」ねねが近づく
「圭ちゃん、よろしくね!」篠見が屈んで圭を見る
…
「もう……」圭が俺から手を離す
「お兄ちゃんたちってほんと……!」
「任せて! この妹にお任せあれ!」圭が胸を叩く
…
「じゃあ早くついてきて!」圭が俺の手を引っ張る
「わかったって……行くって……ゆっくりでいいだろ……」
「ダメ! 晩ご飯は待ってくれないよ!」
………………………………………………………………………………………………………………
俺たちの歩く道、角を曲がり、露店を過ぎる
笑い声の代わりに、妙な静けさ
やがて橋に着く
…………
「……お前がいなくて……どうすればいいんだ……」欄干に軍服を抱えた男
…
「なぜだ……なぜ……」写真を見つめる
…
「なぜお前が俺を置いてくんだ……」
「なぜお前なんだ……他の奴じゃダメだったのか……」
…
「なぜ……俺と一緒に……行かせてくれなかった……」男が欄干に顔を埋める
……
……
ガシッ——バッ!
トッ、タッ……カタンッ。
スッ……
突然、男が欄干に飛び乗り、写真を握りしめる
…
「ごめん……もう続けられない……」
「俺は……お前がいないと生きられない……」
「今すぐ……お前のもとへ……」
片足が川へ向かう
…
「何やってんだお前」近くのパン屋から掠れた声
年配の女性が近づいてくる
…
「俺は……愛する人のもとへ……」
「だから……邪魔しないでくれ……俺は……」
「強くない……立派じゃない……」
「俺にはできないんだ……」涙が頬を伝う
…
「分かるよ……私には分かる」女性がゆっくり近づく
「誰だって誰かを失ってる……」
「大事なのは……その後どうするかだよ……」
…
「降りろ!」
「嘘だ! お前は何も失ってない! お前らと同じだ!」
「口先だけで大丈夫って……本当の喪失を知らないくせに!」男が再び足を出す
…
「確かに……今回は私は誰も失わなかった……」女性が微笑みながら近づく
「だからお前の痛みは分からない……全部お前のものだ……」
「でも一つだけ考えてみて……」
「あの娘は……愛した娘は……何のために戦った?」
「命を賭けたのは……誰のためだった?」
男が硬直し、写真を握りしめ、目が真っ赤
…
「だから……降りておくれ……」女性が手を差し出す
「生きてるだけで苦しい……」
「誰かのために生きるのはもっと苦しい……」
…
「でも生きなきゃ……あの子たちのしたことが……無駄になる……」
…
男がゆっくり降り、女性の手を取り、二人で歩き出す
男はまだ、彼女の遺品をぎゅっと握りしめていた
………………………………………………………………………………………………………………
その一部始終を、俺たちは言葉を失って見ていた
誰もが固まり、誰もが歩みを遅くする
…
肩を軽く叩いても、誰も声を出さない
………
たたたっ……ぱたぱたっ……とととっ…!
圭が突然手を離し、瓦屋根の家へ走る
「みんなー! 着いたよ!」圭が手を振る
背後のドアが大きく開き
女性が一人、そして小さな男の子が飛び出してくる
…
俺たちは呆然と見つめる
…
そしてその家から、最後に煌花がゆっくりと現れた
やっほーみんな、また俺だよ。
天気みたいに気分がコロコロ変わる作者だ。
今日2連続で上げて「えっ!?」ってなってる人、多いと思う。
実はね、めっちゃ笑える(笑えない)執筆事故があって。
本来、この「第18章」こそが俺が最初に書こうとしてた「第17章」だったんだよ。
でも書き終わったら「あ、これなんか変だ…」ってなって、
急遽もう1章追加で書いて繋げたら、予定より1章多くなっちゃって。
これ以上遅れるの嫌だから「もう今日2章一気に上げちゃえ!」ってなったわけ。
読みづらい時間帯で本当にごめん!
でもさ、
俺が外国人で、AI使ってて、文章が変なとこあっても、
それでも読んでくれてるみんな、本当にありがとう。
あと投稿ペースが異常なのも今気づいた…俺、上げすぎだろ(笑)
正直、こんな変な話にちゃんと付き合ってくれる人がいるってことが、
俺にとって一番嬉しいことなんだよね。
そういえば友達に「読んだ人感想言ってよ」って聞いたら、
「ここ、コメント機能ないじゃん」って言われて初めて気づいた…
俺、無知すぎだろ…
だから!
もし感想とか言いたいって人がいたら、
X(Twitter)で「Minateru」って検索すると俺のアカウント出てくるよ(何も呟いてないけど)。
アイコンはArknightsのマドロックだよ。
もっと楽な方法なら、
Epic Sevenで「Minateru12」って検索してくれれば即俺だよ。
今日はこれだけ!
じゃあまたね~!
P/S:最近こっちめっちゃ雨降ってる…台風来てるっぽい?
みんなのとこはもう寒くなってきた?
どっちにしても体調崩さないようにね!




