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てなもんや魔女ミドリコ  作者: 大石次郎


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野分けのハープ 18

ポポヨッテ兵の1人が『雨乞い魔法(フロッグコール)』を唱え、雨足が激しさを増した!


全員オーシャンピープルと『人型海洋種(ワーオーシャンズ)』のポポヨッテ兵達と、連中が引き連れている結構足が速いか浮游魚系の中型の魔物達が勢い付く!


「アリシャ! まだっ?!」


「わたくしの『魔法書行使』は通常詠唱より時間が掛かるんですっ! カリカリベーコンとハッシュドビーフは同じ時間でできると思うんですの? 思うだけなら勝手でしょう、でもできないですからぁーっ! よろしくて? しっかり時間を稼ぎなさいなっっ?」


「・・・」


視界確保の為に魔法障壁に『雨粒は透過する』と条件付けしているから『飛行絨毯(ひこうじゅうたん)』の上でマルコスOBとずぶ濡れになりながらキャンキャン反論してくるアリシャ。

バチギレして文句言い出すと手が付けられないんだよね・・

自慢の魔法書は絶対濡らしたくないらしく魔力で水を弾いてバチバチしている。


「キャッチリング! キャッチリング! キャッチリング! く~っ、すぐ解除してきおるっっ」


捕獲魔法でポポヨッテ兵達を一時脱落させるが、自力解除して加速や飛行の魔法ですぐ追い付いてくることに苛立つマルコスOB。


ちょっと大き過ぎなゴーグルをしたユパっちはドラミン鞍はキープして、熊型・改参で中型の魔物達に麻痺針や眠り針を打ち込んで一時脱落させていた。

これは雨のせいで当たる前に毒が減退してしまってるようでホント、一時凌ぎって感じ。


ゴーグルをしたナサイは銀毛の馬で駆けつつ戦闘特化で大蛇型に変化させたジェムで強化した柳のドリアードに操り、走りながらあちこちから根を噴出させて敵全体の妨害に専念してた。


あたしも雨がどうしようもないから視界悪いけどゴーグルをして騎竜を走らせながら、基礎攻撃魔法を連発して兵の中でも腕の立ちそうな奴を狙って急所に一撃入れて昏倒させていったけど、数多過ぎっ。


高速移動しながら、ってのもあって苦戦してるっ。



野営地を出たあたし達は港町ラニロロを目指すことになっていた。

平時ならラニロロからポポヨッテへの非公式の潜水商船(せんすいしょうせん)が出てる。

ポポヨッテ行きの転送門は海底王国が管理していて現状微妙だから、一先ず港まで行くことになった。


ゼゼミオの最後の通信で、相手の原始の魔女の干渉でイエウ氏は正気を失くしあたしを殺し、さらにポポヨッテの独断で勝手に聖ユルソン王国と開戦しようとしているのがほぼ確定になった。


でもってゼゼミオ消息不明っ。もうめちゃくちゃ。



「急に目の敵にされてもさっ! マナショットっっ」


ポポヨッテ兵の顎、眉間、鳩尾何かに魔力弾をビシバシ撃ち込み昏倒させ、投げられた銛はパリィワンドの障壁で弾く。


「法式練り終わりましたっ! アリシャの完全勝利確定っっ、おーほほのほっっ!!!」


「前振りいらないっ」


速くせんかいっっ!


「わかってますわっ、『氷帝(ひょうてい)の書』っ!」


アリシャを中心に多重魔方陣が展開され、氷の力を使ったという古代の英雄の姿が現れ、爆発的な冷気を周囲放った。


バキィィィイインンッッッ!!!!


全ての中型の魔物達『だけ』を凍結させて打ち砕いた。


「ちょっ? 魔物だけ??」


「手加減できませんわっ、殺しちゃうでしょ?」


魔法書から高そうなワンドに持ち替えて言ってくるアリシャ。


そりゃ、そうだけど・・


「ん~っっ。戦力半減はした! 乗り切ろうっ」


「うっ、腰がっっ?」


マルコスOBがそろそろ限界っぽいけど、あたし達は引き続き高速移動しながら残りのポポヨッテ兵達を片付けに掛かった。


もう少し数を減らしたら止まって、纏めて片そう。いやその前にマルコスOB回復しとくか? と隙を見て、具合悪そうなマルコスOBにヒールライトを掛けようとしていると、


「っ! 上から何か来る。たぶんドール」


「ドリアードも探知してますっ」


ドール? このタイミングなら・・


雨雲を抜けて、球形の障壁で雨粒を猛烈に弾きながら知ってる気配が急降下してきた。


翼を拡げて減速し、姿を表すっ。かなり改造された鶴型ドールに乗ったトッピだった。

即、奇妙な解除系? の法式を展開する!


「クゥアアアンンッッッ!!!!」


鶴型が法式を『音』乗せて周囲に放ち、ポポヨッテ兵達に衝撃を与え、何か邪な法式を頭部から弾き、フルフェイスの兜を解体して昏倒させたっ。


全個体撃破っ!!!


「凄っ」


「兜を触媒に支配されてたのかしら?」


「触媒が必要ならやりようがあるの」


術者が倒れたことで雨足が急速に衰え、魔法の反動で空に晴れ間が出てきた。


あたし達はゴーグルを取り、トッピは鶴型に乗って着地した。


「お待たせ。事前のギルドとの小競り合いと、過去の『嫉妬の魔女』との交戦データから対策立ててみた。思ったより効いたね。ユパも元気そうで良かった」


「・・別に普通」


何で反抗期っぽい反応よ?


「これで戦力増強ですね! あっ、食べちゃダメっ!」


大蛇に変化したドリアードが収まりがつかず、倒れたポポヨッテ兵達を丸呑みにしようとしだしたので慌てて止めに入るナサイ。


「ムーンハート氏は過去にも相手の魔女と? ユパっちは何も知らない感じだったけど??」


「ユパは氏族史とか関心無いから。ウチの氏族というより君の、アゲートティアラの血統がユルソン地域に定着したから、結果的にこの地域の古い家系はアレと交戦する機会が多かったんだと思うよ」


「嫉妬の魔女と『無垢(むく)の魔女』は相性最悪だからのぉ」


「ほぇ? そんな悪いの?」


何か根深そう!

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