野分けのハープ 6
でも、どすこいっっ。
「ディフェンドシェルっ! クィックムーヴ! 2人とも自力っ」
守備魔法と加速魔法で全員フォローしつつ、全力回避っ!! 磯がめちゃくちゃにされる!
「『アディショナル・熊・迅速モード』っ!」
「わわわっ、ドリアード! お願いしますっっ」
熊自体が小型軽量化してるってのもあるけど、ソルトロック城の頃よりも身軽な形状に熊ドールを変形させてさらに素早く回避するユパっち!
ナサイは呼び出した妙に根が多いドリアード(マングローブの精霊?)を鹿型に変形させて乗り、こちらも回避力を上げたっ。
「マナショット! うわっ、かったっっ」
試しに4発基礎攻撃魔法を撃ってみたけど、利きゃしない。背負ってる甲羅どころ本体の外皮すら通らない。
あたしは回避力に別の魔法を使う余力が無くて、『光り玉』のスィッチを押して投げ付けて炸裂させ閃光で牽制して守備の足しにする。
大型個体が暴れた結果、普通のロックハウス達も興奮状態になりつつあった。マズい! 直に魔除けに多少焼かれても無視して来ちゃうねっ。
「前衛いないから持久戦も無いか・・」
今回はギャラが安いし、せっかく安く仕入れたとこだけど、
「ユパっち! ビッグロックハウスに牽制頼むわっ、ナイサはドリアードで小さいヤツらちょっと押さえてくれるっっ?」
「・・がぅっ!」
「あ? 弓じゃないですねっ。任せて下さいっ、そういうの得意です!」
ユパっちは高速飛行で宙で反転し、射線を通しに掛かり、ナイサもウワバミの指輪か
出しかけた弓具を引っ込めて、代わりに柿の木の装飾のワンドを抜いた。
あたしは買ったアクアジェム5個全部(転売で小遣い稼ぎたかったっ)をウワバミのポーチから取り出し、ストライカーワンドの周囲を旋回させて同調させるっ。
「ハイリーディング!」
ウィザードスクールでの『魔物学』の授業で一応習ったけど、改めて身体構造を確認。『内部』『1体のみ』『比較的わかり易い循環器に集中』の条件付けで発動!
「度肝スコールっ!!」
火力を押さえた度肝砲の連射でビッグロックハウス達を釘付けにするユパっち。
「ドリアード!『眠りの息』ですっ」
鹿型に変化したドリアードに睡眠ガスを吐かせて、興奮しだした数百のロックハウスの群れ眠らせ、鎮静化させるナイサ。
「よっしっ」
あたしもビッグロックハウスの循環器構造を把握し、杖とジェムの同調も済んだっ。
「水の短剣魔法!!!」
ジェムのゴリ押しでっ、海から飛び出したばかりだから大量に体表に付いてる海水を使い一点を狙って集約させ、全ビッグロックハウスの『心臓』を貫き絶命させた!
「しゃーっ!!」
「やりましたね!」
2人で喜んだけど、
「・・元々ボロボロだったけど、メイロロの祠の設備、結構壊れた」
「えっ?」
確かに、祠の入り口の封も割れたり、ペトロバブルやストーンランスのせいで、周辺建造物も変形、破損も酷い有り様だったっっ。
「え~と、ここって所有者いるんだっけ?」
「放置はされてますが確か『海神教団』の方々の管轄だったような気が・・」
「・・ワタシは逃げた方がいいと思う。ドラミンも同意」
「そ、そうだねっ。幸い誰も見てな」
「お~いっ! だから言わんこっちゃないぜっ、あー、こりゃヒデェな。つか、ビッグロックハウスっ? 倒してるしっ!!」
銛の武器を持ち、使役してるらしい水棲の魔物3体を連れて来たモンザエモンが仰天していた・・
「・・・」
「・・・」
「・・・」
あたしらは目配せし合い、あたしは咳払いした。
「そー何だよっ、モンザエモン! というかさっ、逆にっ! ビッグロックハウスの遺骸って売れるし、コレを機会にメイロロの祠も補修した方が良くない? ねぇっ?!」
「そ、そうですねぇっ!『文化財』ですしっ」
「・・モンザエモン、ワタシ達は野分けのハープの『調査活動』が忙しい、海神教団との交渉は任す。補修から差し引いた分はモンザエモンの手間賃にしていい」
「え? そうかぁ? 何か悪いなぁ? いや~、儲かっちまうなぁ! ダッハッハッハ!!」
「良かったなっ! ハハハ」
「文化財補修に協力できて良かったですっ、フフフ」
「・・ワタシ達は調査が忙しいからもう行こうと思う」
「おう、イマイチよくわからんが、ギルドの調査頑張れよ~」
「だねっ! 騎竜と馬は自分で回収しとくから。ハハハ」
「それでは~、フフフ」
「おう! じゃあなっ、よ~し、小さいのが起きる前に解体済ますかぁっ! 一仕事だぜっ」
「・・迅速っ」
「おうっ」
「行きましょっ」
あたし達は風のようにその場を去り、騎竜と馬を回収すると、次の祠へと急いだ。
決して、行く先々で文化財破壊をして回る気は無いっ。
無かったんよ・・




