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7-2 クラウディアの目覚め

 クラウディアが意識を失って丸1日が経った。

 その間にマルレーネによって傷口はすべて塞がり、イヴァンに付けられた口付けの跡も消し去られ、身体の状態だけ見れば夜会前の状態に戻っている。

 しかしクラウディアの意識は一向に戻らない。マルレーネが光の精神操作魔術でクラウディアの精神を診たところ、怯えて固い殻の中に閉じこもっているような状態で、マルレーネの声も届いていないとのことだった。

「お祖母様、小母上、今夜はディアと2人きりにさせていただけませんか?」

 シルヴェスターの発言に2人は顔を見合わせたが、最終的には頷いた。

「お祖母様も小母上もお疲れでしょう。今夜はディアのことは私に任せていただいて、ゆっくりお休みください。

 エレーヌたちもありがとう。今日はゆっくり休んでくれ」

 シルヴェスターはそう言うと、そっとクラウディアを抱き上げて夫婦の寝室に消えていった。


 大きな寝台の中央にクラウディアをそっと寝かせ、シルヴェスターはその隣に横になると彼女をぎゅっと抱きしめた。

「ディア、ディア、私の声が聞こえるかい?そろそろ起きてくれないと寂しくて私はどうにかなってしまいそうだよ」

 そう言うとクラウディアに口付けを落とす。

 それを気の遠くなるほど何度も何度も繰り返す。

「ディア、お願い。起きて」

 反応があったのは日付が変わろうかと言う時間だった。

 クラウディアの方からシルヴェスターにぎゅっとしがみついてきたのだ。

「…………シル様……の香りがする。………………この香りは……あんしんする…………」

「ディア!そうだよ。今ディアは私の腕の中にいるんだ。何も不安になることはない。ディア、お願い瞳を開けて」

 クラウディアはゆっくりと瞳を開き、すぐそばにシルヴェスターがいることを認識した。

「シル様…………」

「ディア!ディア!」

 シルヴェスターは力いっぱいクラウディアを抱きしめた。

「良かった。瞳を開けてくれて。このまま起きてくれなかったらどうしようかと思った」

 そう言うシルヴェスターの声は涙交じりの声だった。

 クラウディアはシルヴェスターの腕の中で身をよじり、彼の頬に手を伸ばす。

「シル様……泣いていらっしゃるのですか?」

「うん、ごめん、みっともないね。でもディアが起きてくれたのが嬉しくて。本当にこのまま起きなかったらどうしようかと思っていたから」

「心配……かけてごめんなさい」

「謝らないで。ディアは被害者なんだから。でも皆心配してる。お祖母様も小母上も母上もギルたちもエレーヌたちも。明日は元気な笑顔を見せてあげて」

「はい…………でも(わたくし)はこのままシル様の婚約者でいられるのでしょうか。不貞まがいのことをされて、身体中傷だらけで…………」

 今度はクラウディアが泣き出してしまった。

(わたくし)はシル様から離れたくないのに…………」

 シルヴェスターはクラウディアの涙を唇ですくった。

「大丈夫。私はディアから離れたりしないよ。ディアが私の妃になることも決定事項だ」

「でも…………」

「不貞まがいと言うけれど、ディアはあいつのことを好きで受け入れたわけじゃないだろう?」

「勿論です。嫌なのに、鳥肌が立つくらい嫌なのに、身体に力が入らなくて、あの方の腕から抜け出せなくて。口づけを沢山されて……魔術で岩を作ってあの方の意識を奪おうとしたのですけど、寸前で結界を張られて失敗して、他の魔術も、闇の精神操作魔術すら効かなくて…………」

「それだけ抵抗したなら不貞も何もないじゃないか。そもそも奴の懐に飛び込むよう命令したのは陛下と宰相とプラティニだ。責められるべきは彼らの方だよ」

「…………本当ですか?」

「ああ。私はディアに嘘はつかないよ」

「…………でも、…………こんな瑕だらけの身体では王太子妃にふさわしくない…………」

「それも大丈夫。ディア、今体に痛みを感じるかい?」

 クラウディアは考えるように体を動かしてみて「痛くないです」と首を横に振った。

「うん。お祖母様がね、光の治癒魔術でディアの傷を全部塞いでくれた。だからディアの身体は夜会が始まる前と何も変わっていないよ」

「お祖母様が…………」

「お祖母様は不思議な人だね。何故か私が付けた口づけの跡と奴が付けた跡の区別がつくみたいだった。奴の跡だけ全部綺麗に消してくれたよ。エレーヌたちがディアの身体を清めてくれたし、本当にディアの身体は夜会前と同じなんだよ」

 クラウディアは再びシルヴェスターにしがみついた。

「…………嬉しいです。…………シル様の跡だけ残っているのが、とても嬉しい…………」

「ディア……そんなことを言われると、私の理性が持たないよ」

「それでも良いです。…………(わたくし)はシル様を信じて身を任せるようにとお母様や王妃陛下から教えられ…………」

 シルヴェスターはクラウディアの言葉を遮ってその唇を己のそれで塞いだ。

「ディア…………」

 角度を変えながら何度も何度も口づけを落とし、それは徐々に深いものへとなっていく。

「ぅん…………」

 クラウディアが鼻に抜けるような甘い声を上げた。

 シルヴェスターはしばらく深い口づけを堪能すると、自身の唇をクラウディアの首筋からデコルテへ滑らせ無数の紅い華を散らす。

「ぁ…………」

 もうシルヴェスターは限界だった。散々イヴァンに振り回されて、挙句国王らの命令でクラウディアを失いかけて。

 最低限婚約式までは自粛するつもりでいたけれど、もう無理だった。


 この日、クラウディアはシルヴェスターの手によって純潔を散らした。

 

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