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永劫の記憶  作者: ぴやぴや
第1章カリン村編
2/4

1話友達




僕の記憶は消えた。死んでしまったからだ。美しい思い出も全て…だから俺は願った永遠に記憶を持っていたいと。




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???side


そこから新しい命として生まれ変わった。子供の頃から成熟した精神を持ち合わせていたが性格や記憶は全くなく、立てるようになるのにのに2年。まともに喋れるようになるのにさらに1年。静かで泣きもしない子供だったので今世の親からは障害児だと疑われていた。


「あなた…この子全く泣かないの。」

「それは…どこか障害を持っているのかもしれん…」

「あいぇ」


結局疑われ生後5ヶ月ほどで病院に連れていかれたが問題無しと言われた。


それでも病気を何か持っているのではと言われ現在8歳、病弱扱いされて、家から出して貰えない。


「リアム…体調は大丈夫か?」


おそらく父と思われる男が俺の体調を気にかける。


「うん」

「なら良かった。俺は畑仕事に行ってくるぞ、」


俺の生まれは小麦畑広がる、辺境だ。

ベッドでダラダラしていると、子供たちの遊ぶ声が聞こえる。正直外に出たいとも思わない。病弱設定は我ながら賢かった。ズボンの紐を編んでは元に戻し、窓から麦畑が広がる景色を眺めていた。変なことをしているのは自覚しているが、案外これがこの何も無い家では暇つぶしになるのだ。




ある日、いつもどうり暇つぶしをしては昼寝をして、この小さな町の生活音をBGMにしながら俺は平和な日々を過ごしていた。


コンコンコン


この家の扉を叩くノックの音がする。今、母アンは肉を買いに出ており、家には誰もいない。仕方なく、運動不足で重い体を起こし、玄関へ出向いた。


扉を開けるとそこには同い年ぐらいの、少し赤っぽい茶髪をしたお下げの女の子がいた。

女の子は僕が扉を開け出てきたことに驚き、少し震えていた。


「わ、私はエマ、お母さんの代わりに頼まれていた牛のミルクを届けてきたの。」


「そうなんだ。じゃあ受け取るね。バイバイ」


俺はエマが差し出した液体の入った袋を預かって扉を閉めた。袋は机の上に起き、僕は寝室のベッドに戻った。今思えば僕がしっかりと容姿を覚えた最初の人だった。


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エマside


私はこのカリン村で牧場をしている家の子供。名前はエマで、今年5歳。よく村のジャックとベン、ルーと遊んでる。でも最近はお母さんが妊娠して体調が優れないからお手伝いをしているの。


この村では毎年、新年会が開かれる。そこで同じぐらいの子供たちと会うのだけれど、私たちみんなここら辺で1番の腕っぷしがあるエイダンさんの子供を見た事がないの。いつ会えるのかとても楽しみにしていたのだけれど、リアムは一日中ずっとベッドにいるらしいの。エイダンさんとアンさんの子だからイケメンだと思ったのに残念ね。


病気は何も無いらしいけれど弱い子なんてごめんだわ。


今はエイダンさんの家にミルクを届けに行っている途中。


エイダンさんの家に着いて扉を3回ノックする。するとみたこともない男の子がでてきたの。肌は病気を感じさせるほど真っ白。目はエイダンさんと同じ青色で肩まで届く真っ黒な髪は癖がなくて女の子が羨みそうだ。端正な顔立ちで一瞬女の子かと思ったけど、エイダンさんの子は男の子1人だけだからすぐわかったわ。きっとこの子がリアムね。



「わ、私はエマ、お母さんの代わりに頼まれていた牛のミルクを届けてきたの。」


「そうなんだ。じゃあ受け取るね。バイバイ」


男の子はミルクを受け取ると直ぐに家に入ってしまった。

少しムカついたけど、綺麗な宝物を見つけたみたいで友達に自慢したくなった。





- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

リアムside


あの日はじめて父と母以外の人と会った。それからエマは僕の家に毎日訪問してきた。俺はずっと無視していたがついに半ば母に追い出される形で外に出された。仕方なく俺はエマについて行った。


そこにはエマを含め4人の子供がいた。焦げ茶の少し大きい男の子がエマと話している。


「エマ。これがエイダンさんの子供のリアムかー?ほんとに男か?弱そうだな。」

「失礼なこと言わないの。ジャックはさんざん会いたがってたくせになんでダンに隠れてるのよ」


少し大きい短髪の子はダン、後ろに隠れてる色素の薄いくすんだ金髪みたいな子がジャックというようだ。


「俺はダン、よろしくな。」

「僕はジャック。双子のルーがいるよ。よろしくね」


「ああ。俺はリアムだ。よろしく。」


俺はベッドで昼寝することしか考えていなかった。


「いつも私とダンとジャックとルーで遊んでるのよ。」


「そうなんだ」


「俺の家は狩人を代々してるんだぜ!かっこいいだろ」


「そうだね」


「ちなみに私の家は牧場、ジャックとルーの家は宿屋だよ」


「そうなんだ」


「おい。リアム。ちゃんと聞いてるのか?」


「そうだね」


「聞いてないだろ!!」


「「あはははは!」」


どうやら俺は気に入られたようであの日からは4人組で俺の家にとつってくるようになった。もう俺たちは10歳になり、真っ白だった肌はすっかり焼けて、みんなと変わらない。長かった髪は後ろで結んで、身長も少し伸びてきた。父の畑仕事も手伝うようになり筋肉も着いてきた俺は、端正な顔立ちもあり、村では人気だ。


生まれた時から自我があったことなんてすっかり忘れて、ひたすらにだらけていたのが嘘みたいだ。あの時の俺は少し病んでいた…


そんなこんなで村に馴染んだ俺は成人の儀式で使えるようになるスキルに向けていつものメンバーと勉強をしていた。

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