スーパーソルジャー飯
この辺でスーパーソルジャー飯というか……最低限度に必要な食料を考えて、ある程度の見当をつけておきましょう。
まず色々な諸数値が必要です。
ミドル級男子の想定から。
身長は179cm、体重71kgがミドルな模様。
……まあ西洋人の基準ですから、各自に適した補正をお願いします。
そして男性の平均体脂肪率は20%です。
つまり、脂肪が14.2kgで、それ以外が56.8kgとなります。
男性と女性の筋量差は3対2といいますから、脂肪以外分も同様と考えてしまいましょう。
結果、約37.8kg。
さらに女性の平均体脂肪率は30%だそうですから、体重を逆算すると――
合計 約51.1kg。
この体重から適性身長を導くと推定152.5cmです。
ようするに男だったらミドル級という絞られた女性イメージですね。
……50kgきってる女の子とか、マジで健康が心配。さすがに痩せ過ぎでは?
〇ミドル級想定
男 身長 179cm 体重 71kg 脂肪 14.2kg
女 身長 152.5cm 体重 51.1kg 脂肪 15.3kg
男 女
生きる最低限度 1646kcal 1181kcal
軽作業 2470kcal 1772kcal
中作業 2799kcal 2008kcal
重労働 3128kcal 2244kcal
※ 年齢は成長や老化を無視できる30歳とした
フルマラソンが2000~3000kcal、ガチ勢登山が4000kcalといわれています。
森を切り拓いて歩くとかだと、おそらく3500kcal以上。
ただ歩く想定でも2000~3000kcalは覚悟と思われます。
まず自前の脂肪分でどれだけ生存できるか?
油というのは1gあたり9kcalを見込める凄いカロリー食品です。
しかし、体脂肪の二割は水分だそうで、八掛けする必要があります。
つまりは男女各々の脂肪をカロリー換算すると――
男は14,200×0.8×9で 102,240kcal
女は15,300×0.8×9で 110,160kcal
よって寝たきりに近い運動量ならば、それぞれ男は62日、女は93日ほど生存できます。
……そう考えると餓死は本当にきつい? 少なくとも二カ月は苦まないと死ねないんですから。
また3000kcal級の重労働でも、それぞれ男は34日、女は36日ほど活動できる計算に!
などというわけもなく。完全な素人じゃないんですから(苦笑)
『冒険者は干し肉を齧らない?――科学的に朝食を摂った方が良い理由』で、重労働時に行動食をとらないとハンガーノックを起こすと研究済みです。
……とにかくやっとくもんですね、基礎研究は。
絶食中には、超スローテンポな軽作業が限界な模様。
そして中作業からは一日に必要なカロリーの半分ぐらいを、朝起きてから活動中までに摂取しなけれゃなりません。
つまり、自分の体力と相談して一般的な重労働なら最低1500kcal。
ガチ登山レベルに挑むのなら最低でも2000kcalですね。
え?
お前……2000kcal×7の総計14,000kcalで登山を一週間とか言い出さないだろうな?
と疑問を呈されるかもしれません。
しかし――
その通りだよ!(マジ笑顔)
最悪プランでは朝起きてから活動中に1500~2000kcalを摂取し、陽が落ちたら空腹と戦いながら脂肪がエネルギーに代わるのを待ちます。
ようするにハンガーノックさえ起きなきゃ、計算上、一月弱はガチ登山できるんですから!
ちなみに作者は似たような絞り込み――一日の摂取カロリー1500kcalで、重労働級の消費を一ヵ月ほど続けられました。
参考にしたのはボクサーの減量で、一応は真面と呼ばれる範囲の技術……なのかな?
でも、ボクサーのように水断ちまではしなかったので、そこまで厳しくは無いと思われます。絶食も未経験ですし。
……少なくとも幻覚や幻聴は起きませんでした(苦笑)
知り合いが真剣な顔で「覚醒剤やってないよね?」と詰問に来たりは閉口でしたけど。
とにかく作者のようなアマチュアにも可能で、プロはもっと過酷なことしているんですから、決して空論ではありません。
……文字に起こしたのを読むと、凄い苦行に思えるかもですけど。
ここで話は備蓄食料の目安へと飛びます。
作者の目にした範囲では――
「可能ならば七日分。うち最初の三日分は、そのまま食べられるものを」
とありました。
ようするに「三食カップ麺で一人あたり21個あるよ」では駄目ということですね。
電気やガス、水道を使えず、もちろん焚火などもで、もう包装を破くだけで食べられるようなもの。
最初の三日分は、その前提で備蓄しましょうということです。
異世界リュックには、この最初の三日分を中心としてはどうでしょうか?
ベタに判り易く言うのであれば、異世界リュックへは乾パンなどを備蓄し、他の分にカップ麺なり乾燥パスタ&ソースなりを備蓄という理屈です。
そして一般的な被災時には軽作業程度を考えればOKでしょうから、男なら7410kca、女なら5316kcalが目安となるでしょう。
このカロリーには、いかなる食品が最も効率良いのでしょうか?
うん、そうだね――
油だね!
gあたり9kcalなんだから、7410kcal分なんて僅か824g!ww
いや、油みたいに消化が悪いのは、行動食に向かないんだってば!
というか、それがOKならサラダ油ペロペロで全て解決じやんww
なら――
木の実だね!
gあたり6~7kcalなんだから、三日分なんて1140g!
ちょっ! 木の実だって消化よくはないから!
それどころか最近の研究では、カロリーに下方修正かかったし!
※
尾籠な話ですがピーナッツなど、全く消化されずこんにちわすることあります。
それってカロリーに転化されてない証拠だから、いままでの数値は間違ってねぇ?
という指摘を受けて、いままでのカロリーは下方修正が。
粉などに加工されている場合のみ、従来の数字を適用へ変わりました。
ちなみに真空パックのピーナッツが2kgもあれば、最初の三日どころか一週間ぐらい生きていけます。
難しいことを考えず、家でのツマミはピーナッツ! それが常に1kg以上あればいいんだろぅ!
真空パックとか、そうそう悪くなんねぇしぃ!
とかでも、漢らしくて良いと思います。
※
1000×6.5=6500kcal。
三日に分けたら2166kcal。
一週間で分けても一日辺り928kcal。
……そもそも水さえあれば、絶食でも生存可能な日数だったりも。
なら砂糖! プロ登山家御用達のブドウ糖だ!
gあたり3.5kcalと効率は落ちるけど、これは究極の行動食のうち一つ!
でも、七日間をブドウ糖だけとか、どこのスーパーソルジャーなんだよww
最初の三日に限るとしても、2117g――約2kgの砂糖を備蓄して終了とか、特売の成果じゃないんだからさぁww
………………まてよ?
これら三つを悪魔合体させれば?
ブドウ糖と生食可能な油と粉末の木の実を混ぜて究極携行食品に!?
……gあたり6kcal強という、とんでもないのできた?
7410kcal分が僅か1176g!?
だけど、こんなん菊池秀行先生が登場させるスーパーソルジャーぐらいだろ、耐えきれるの。
しかし、ほぼ同じ思想がカロリーメイト作戦。
あれはgあたり5kcalなので、総重量1482gに!
さらに異世界へ飛ばされた瞬間、方針を決める必要も。
A案
食料は三日分しかないが、それらを三日で使い果たすことになっても全力で行動。
4日目に事態が好転してなかったら、要らない荷物は全部捨てて、いけるとこまで行くバンザイアタック開始。
B案
とりあえず食料補給の目途がないので、可能な限りに食いつなぐ――一日に行動食として1235kcalほど摂取。
活動は休み休みにのんびりとで、2500kcalぐらいに収める。
……どのみち素人じゃ急いだり無理したりは危険。夕方も早めに行動を終わらせるべき。
そして夕食は誤魔化し程度か、無しで耐える。少しでも脂肪の活用を!
7日目に事態が好転してなかったら、要らない荷物は全部捨てて、いけるとこまで行くバンザイアタック開始。
……両対応が吉かな?
雪山とか砂漠とか、長期滞在の厳しい環境だったらA案。
単なる森だったとか、幸運にも道があったとかならB案?
しかし、この食料は現代人に見せる可能性があります!
地域によっては「床上浸水の危険があるので避難を」などと要請されこともあるでしょう。
そんな時こそ――
「異世界リュック! おめえの出番だ!」
なんですが、その中身が自作の奇妙な練り物だけとかだったら、周りの人からキチガイ扱いされてしまうことでしょう。
でも普通にアーモンドやカシューナッツ、ピーナッツなどなら――
「ああ、これ携帯食料に良いんですよ。日持ちもしますし。消費期限が来たら酒のツマミとして消費出来ますしね。……お子さんのおやつに要ります?」
などと誤魔化せます。
普通に行動食となるM&A系チョコレート(溶けないのを重視)や各種なんとかバー、カロリーメイトなんかも、適切範囲なら合理的ですら。
なにより本当に保存食として使う場合、それらは七日に分けて消費することになります。
だって他の備蓄は、カップ麺や乾燥パスタ、米、レトルトカレーとかなんですから。
(環境さえ整られるなら、米も立派な備蓄です)
こう考えると異世界リュックにはα米なんとかだの、何十年も保存できるだのは不要となります。
そんなの持ち歩く登山家さんいませんし。
100円ショップのナッツ類ですら30g前後で200kcal前後。
消化が悪いといっても、朝食や夕食になら猶予はあります。
(どの場合でも、よく噛もうね!)
なんとかバーだのカロリーメイト、チョコレート類は基本的にgあたり5kcal。
だいたい一本が20gの100kcalぐらいです。
となると一日に――
ナッツ類 240g
なんとかバー ×8
も用意すれば2400kcal程度となり、総重量400g。
三日分でも1.2kg!
六日に分ける作戦にも対応可能!
まあ、ようするに最初のスーパーソルジャー飯を一般向けに翻訳したわけですが――
結局は100円のお菓子48個対応で、意外と財布にやさしい?
ローリングストックでの対処もしやすいだろうし?
……木の実を採用は、登山勢とかから否定されるかもです。
それぐらい極限状況だと細かなことが重要な模様。
でも、備蓄としては優等生ですから、量を減らす方向かなぁ?
お値段的にも頑張れる余地ありそうですし。
ちなみにカロリーメイト74本、約19箱は回答の一つではあります。
同様にチョコレートバー74本も。
とにかくガチれば三日分で1kg。
最終的には半分ぐらいはガチ気味セレクト。残り半分を趣味的セレクトとなるんじゃないでしょうか?
例えば生涯最後のカップ麺を一つぐらいは忍ばせたいですが、その為にはお湯を沸かせられる必要が。
カップ麺より袋麺が良い? なら鍋も必要に!
でも、お湯を沸かせられる前提なら、なんらかのインスタント飲料も。
下手したら晩御飯なしプランです。誤魔化すための温かい飲み物とか欲しいですし、だとしたら定番の練乳なども視野に。
(そのまま食べられなくもなく、いざという時に行動食にもなるので、わりと推奨品だったりします)
すでにリストへ入っているスポーツ飲料粉も、ようするに砂糖の親戚なのでgあたり3kcalは期待できます(200g×3で600kcal?)
水に溶かしてというのは、行動食としての側面も兼ねていたりも。胃腸の丈夫な方ばかりではないでしょうし。
料理も視野へ入れるのなら、塩類や油なども。
ごま油とか? お湯で溶いて塩コショウしたらスープになるらしい?
(最悪、その辺に生えてた雑草の油炒めなども考えられるように?)
他の装備との兼ね合いになるので細かくは、それらが決まってから。
「とりあえず食料用に2kg開けておく」が今回の結論です。