CastBook
Theater9までの内容を含みます。
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【主人公】
『桐王鶫』
黒髪黒目。彼女こそがホラー女優と謳われた女性。貧困からのたたき上げで成り上がったためか、演技のためなら生活のすべてを薪にできるストイックさを持つ。
『Tips』
なお、演技に関わらない私生活はズボラだった模様。親友である閏宇によく世話を焼いて貰っていたようだ。
『つぐみ・空星・ローウェル』
事故によって桐王鶫の前世を思い出した、銀髪青目のハーフ美少女。鶫とは違い、優しい両親と大きな家、そして抜群の才能を持つ。
『Tips』
記憶を取り戻す前から、趣味嗜好は変わっていないようだ。
【空星一家】
『マクスウェル・コリンズ・ローウェル』
銀髪碧眼、高身長高収入高学歴の美貌の男性。ハイスペック要素を煮詰めた彼が、つぐみの父親である。周囲からは狼と恐れられているが、つぐみの前では親バカになる。
『Tips』
妻・美奈子とは大恋愛の末に結婚したらしい。
『美奈子・空星・ローウェル』
黒髪黒目。長髪で落ち着いた髪型が多い。優しげな顔立ちと柔らかく洗練された所作は、まさしく大和撫子。母の強さと女性の美しさを併せ持つ上に頭も良い。
『Tips』
今の夫との姿を過去の自分に見せたら舌をかみ切るであろうが、幸福な今の生活と家族において後悔はない。
【つぐみと関わり深いひとたち】
【夜旗一家】
『夜旗凛』
黒髪黒目だが、瞳の奥は僅かに青がかっている。クールな眼差しと落ち着いた所作とは裏腹に、好奇心が強くゲーマーな素養も見せる。大きな才能を秘めているらしい。つぐみの最初の友達で、自他共に認めるつぐみの親友。
『Tips』
ガチャ運には恵まれていない模様。
『夜旗虹』
凛の兄。黒髪黒目だが、角度によっては瞳の虹彩が赤銅に見える。中性的で美しい顔立ちの美少年。既に名優に名を連ねるのではないかと噂される天才役者。ファンの前では素直で柔らかい所作の少年だが、家族や親しい友人にはやんちゃな様子も見せる。
『Tips』
女性の扱いは苦手らしいが、母に鍛えられているのでそれなりだとか。最近、妹よりも年下の少女を目で追うことが多いのだが、その理由は不明……らしい。
『夜旗万真』
凛の父。甘いマスクと柔らかい物腰。月九のプリンスと謳われる俳優。理性的で知性深く、それでいて大人の色気を持つ。イギリス人とのクォーターで瞳の奥が緑がかっているが、本人は色素が薄い程度にしか思っておらず、総白髪の母方の祖父が外国人だという意識もない。
『Tips』
女性に手が早いという噂があったが、学生時代、ある女性の手によって止められた。今も頭が上がらないらしい。
『夜旗真帆』
凛の母。鮮やかな黒髪の元局アナ。現フリー。旧姓は駿河。怜悧な美貌と明朗なしゃべり口で人気を博した。学生時代の友人同士であった万真と結婚後も、その人気は衰えていない。子育てのためにフリーになった。
『Tips』
学生時代はやたらと女性にモテていたとか。なんでも、女性に手の早い男性に直談判をした、なんて噂もあるようだ。
【朝代一家】
『朝代珠里阿』
色素の薄い赤毛に、角度によっては茜色に見える茶色の瞳。快活な仕草が目立つが、意外とホラー物が好きだとか。つぐみのライバルを自称する。涙を親指でぐいっと拭う男前な癖がある。母子家庭で、父親の顔は知らない。
『Tips』
最近は、人を怖がらせる役にも興味を持っているようだ。
『朝代早月』
珠里阿の母。朝ドラの女王と名高い実力派女優の一人。繊細な演技に定評があり、主役よりも主役の指南役や見守り役に定評がある。子役時代の活動について、最近、さらっと雑談に混ぜるようになった。夕顔夏都と友人で、彼女を通して夜旗真帆と友人関係になった。
『Tips』
最初は、夏都・真帆とも険悪な関係だったとか。今でも、早月と真帆は、ときどき夏都が怖いらしい。
【夕顔一家】
『夕顔美海』
茶色の髪に鳶色の瞳。軽度の近視で視力悪化を防ぐために眼鏡をかけている。引っ込み思案で内気だが、自分の意思はきちんと持っている。最近、ちゃんと言えるようになってきた。つぐみの友達だが、凛の方が仲が良いように見えることから、「自分は二号でいい」と発言し、親を焦らせることがあるようだ。
『Tips』一号の座を狙っているらしい。言葉選びは昼メロ女優である親の影響で、よく意味はわかっていないようだ。
『夕顔鉄』
ごわごわの黒髪に優しげな鳶色の瞳。無精ひげのよく似合う熊系男性。美海の父親。その手のファンからアイアンフィルムの通称で親しまれる動物写真家で、彼の手にかかればたとえ猛獣であっても、鉄の檻に入れられたかのようにおとなしく撮影されるのだとか。猛獣をおとなしくさせる手腕が彼の優しさから来るものだと知る者は、ほとんどいないらしい。
『Tips』インタビューで『妻ほどの猛獣はいない』と答え、記者は粋な冗談だと捉えた。翌日、彼のお弁当はまるで草原のようなキャベツの千切り一色であったという。
『夕顔夏都』
色素の薄い茶色の髪に焦げ茶の瞳。ゆるふわ天然パーマと豊満な身体の昼メロ女優。その外見と柔らかい仕草、優しげな口調に「押せばいける」と思った男たちの屍の上に立っている、とは友人談。最近、娘が自分に似てきて、嬉しいような心配なような、複雑な気持ちであるらしい。
『Tips』彼女の友人たちは皆、「怒らせると誰より怖い」相手に夏都をあげるのだとか。意思をはっきり持ち、母性の強い女は恐ろしい。そんな夏都を惚気させられるのは、おそらく彼女の最愛の家族だけなのであろう。
【御門一家】
『御門小春』
きっちりと結ばれた黒髪に黒い瞳。銀縁眼鏡。表情をほとんど変えず、クールな眼差しと冷たいと言われかねない美しさを持つ。几帳面で生真面目。物事は着地点が見つかるまできっちりこなす。つぐみのマネージャー兼使用人兼ボディーガードとして側に居る。主君のために命を張れる、時代錯誤な忠義心を持つ。学生時代の異名は“氷の女”であり、彼女の人となりが現れていることだろう。常に気配を消し、影ながら主君であるつぐみを見守る姿は、現代の忍者といっても相違ない。
『Tips』R氏「コハル? ああ、あの子、一途なのよね。可愛い物とか恋愛小説とか大好きで、部屋はピンク。三歳の時にオンナノヒトに貰ったハンカチを額縁に入れて飾ってるし。黒髪和風美少女から北欧妖精美少女までなんでもイケるし。ハンカチの君だって確か、そのあともしばらく――」……今聞いたことは忘れなさい。いいですね?
『御門春名』
黒髪黒目。背筋の伸びた品の良い中年の女性。代々、空星家に仕える使用人の一族。御門の名を継ぐ以上、空星に絶対の忠誠を誓うものとしている。その歴史は古く、空星家が表舞台に立たず、影ながら政界を支配していたときに遡る。空星が現在のように支配の手を緩め影の支配者としての力を弱めつつあっても未だ忠誠を誓った美奈子に付き従っているのは、彼女が誠に御門の名を継ぐ者であるからだろう。
『Tips』小春の母として己を越える彼女の才能と努力に敬意をもって接しているらしい。小春の性癖? ちょっと何を言っているのかわからないですね……。
【SkyStarThrushProductionMember’s】
『Tips』総合商社ローウェルの経営する新設芸能プロダクションSSTのメンバー。一癖も二癖もある集まりだが、対外的には謎のプロダクションらしい。
『志賀良木志津子』
ダークブラウンのベリーショート。瞳は赤みがかった黒。ハスキーボイスにスレンダーな体型。女性にしては高身長でパンツルックがよく似合う。つぐみの母、美奈子の学生時代の後輩で、RAGIという名で活躍するフリーランスのカメラマン、だった。現在はフリー活動中の怪我が原因で引退を視野に入れていたが、美奈子の誘いを受けてつぐみの専属カメラマンになる。物腰は丁寧で、王子様のような、という表現がよく似合う女性。
『Tips』レズビアンであり、己の性的指向に悩み、苦しんでいたときに手を差し伸べてくれた美奈子を慕っている。今でも彼女にとって美奈子とは恩人であり、姉のような人であるのだとか。ただ、美奈子への恋心を問えばきっと彼女はこう言うだろう。「彼女は、私の恩人さ」と、艶やかなウィンクを添えて。
『天岡瑠琉菜』
髪型・髪色。瞳の色は気分によって変わる。バッチリメイクに小柄な体躯。自分のことをルルと呼ばせる。つぐみの専属スタイリストでトータルコーディネートを担当する。社会的には不適合気味だが確かな腕と仕事へのプライドで、仕事人としての評価はずば抜けて高い。カリスマスタイリスト。仕事に対する守秘義務などもクライアントの守って欲しいラインをキッチリ守るため、つぐみの専属になる前はどこにいたのか誰も知らない。飄々とした性格で、我を貫き通す性質を持つ。小春とは昔なじみで、周囲の人間は小春が苦労させられたのだろうと思っているが、実際は逆……とは、ルルの言葉である。年の離れた兄を、ライバルとして意識している。
『Tips』K氏曰く「ルルは素の方が可愛いのです。いつも奇抜な姿ですが本来の姿は砂糖菓子のような可憐な女性でいったい何度部屋に連れ込んで可愛い服を着せたことかわかりません。そのたびに叱られるのですが、それがまた愛くるしく……これ、匿名なんですよね? 本当ですよね?」
【BlueRose】
『Tips』ゼロ歳~十八歳の子役を取り扱う芸能事務所。「夢叶う」の花言葉を持つ青い薔薇から名前をつけているらしい。虹、凛、珠里阿、美海の所属事務所。
『下田茜』
美海のマネージャー。適当に結んだ色素の薄い茶髪に茶色の眼。作ることも食べることも大好きな中華料理屋の三女。学生時代はお姉様文化にどっぷりと浸かっていたらしく、先輩だった真帆に傾倒していた。送りつけたラブレターは、未だ真帆の手元にあるのだが、あかねはそのことを知らない。恋に恋して飯を食い、減量代わりに中華鍋を振るい、筋肉ばかりが増えていく。ああ、いつになったら痩せるのか。
『Tips』姉二人と三人で、誰が一番最初に結婚できるか競っているらしいが、全員、似たり寄ったりのシルエットだとか。
『日立黄金』
虹のマネージャー。玉のような体型。実家は米農家で、彼の兄である日立旭が農家を継いでいる。兄の元には四男一女が居て、黄金は子供たちから絶大な人気を誇るのだとか。趣味はサックスで、定期的に演奏スペースのある喫茶店“Slash”で仲間たちとJazzを演奏しに出かけている。情熱的で巧みな演奏は、見る者の心をもっちりと掴んで離さないのだとか。
『Tips』サックス奏者になる。そういって黄金がサックス片手に新潟の実家を飛び出したのは、十八歳の時だった。昼は食堂の皿洗いでお金を稼ぎ、夜はバーで若い音色を響かせる。情熱に傾けた毎日。そんな彼の日常を、ある日、一人の女性が彩る。スナックで働く若い女。源氏名を菫と名乗ったその女に、黄金は一目で恋に落ちた。その恋の行く末を知るものはいない。ただ、それから彼のサックスに哀愁が混じるようになったことを、彼の仲間たちだけが知っている。
『日立稲穂』
凛のマネージャー。稲穂のようにすっと伸びた背筋に、はっきりとした顔立ち。黒髪黒目で少し日に焼けている。趣味はキャンプで基本ソロ。たまに甥が参加する。ゴリゴリのアウトドア派で登山もすればボルダリングもするガチキャンパー。いざとなったら凛と美海と珠里阿くらいまでだったら抱えて走ることができる、豹のような身体の肉体派マネージャーである。
『Tips』米農家、朝日に見守られた黄金の稲穂の中で兄妹は育った。おおらかな兄、ひょうきんな兄、男の子のような自分。野を駆け山を登り川を泳いだあの日々と変わらぬ、仲の良い兄妹。上京した二番目の兄と再会したのは、稲穂が十八の時だった。いつものようにひょうきんな兄は、けれど、あの黄金の日々のような底抜けた明るさの中に、日陰に咲く花のような寂しさを宿すようになっていた。その理由を、稲穂は深く聞いたことはない。ただ、入れ込んだ女に振られたと笑う兄を、酒の席で慰めたことがあるだけだ。菫、という、小さな花の名前の源氏名だった。最後に、本当の名前を教えてくれた、と、兄は語る。きっと兄はその名を稲穂に零したことなど、覚えては居ないだろう。けれど、稲穂はきっと生涯忘れない。兄の恋した女、雲中に舞う白鶴のように、気高く美しかった女。稲穂は、彼女にもし逢えるのであれば、一言、告げたいことがあった。「あなたの逃した魚は大きいですよ――千鶴さん」……と。
『磯崎魚躬』
小柄な体躯の女性。日に焼けた茶髪に色素の薄い茶色の眼。珠里阿のマネージャー。板前の父と海女の母、寿司職人の伯父を持つ。スキューバダイビングの資格を持っていて、素潜りで獲得(許可あり)した魚介を捌いて食べるのが趣味。朝代家の食卓に並ぶこともあるのだとか。
『Tips』最近は、珠里阿に魚の捌き方を少しずつ仕込んでいる。珠里阿一人の時にはまだ包丁を持たせることはできないが、早月の許可が出次第、漁には連れて行こうと画策しているのだとか。
【RainbowRose】
『Tips』BlueRoseの所長の兄が経営する芸能事務所。霧谷桜架の経営するウィンターバードプロダクションと張り合う大手芸能事務所の一つ。朝代早月、夕顔夏都、海などが所属している。虹色のバラ「無限の可能性」の花言葉からつけられている。
『海』
本名:篠崎海。柿沼宗像の妹の子供(甥)にあたる。ブラウンの緩いくせ毛にダークブルーの瞳。名優、柿沼宗像の甥であるために幼少期から様々な映像作品に触れてきた。中でも名作と名高い“メロディ”での四条玲貴の名演や、伯父の出演した“祈り”シリーズなどが強く印象に残っているのだとか。甘いマスクと気高さで人気が高い実力派若手俳優。
『Tips』伯父のような俳優になりたい。その夢はいつか、伯父を越える俳優になりたいという野心に変化した。理由などたくさんある。だが強いてあげるのなら、彼の尊敬する伯父がいつまでも燻っていたからだ。最近、壁が高くなった。彼はそれに「それならそれで挑み甲斐がある」と、不敵に笑える青年に成長した。なお、姉には頭が上がらないらしい。
『相川瑞穂』
柔らかい髪質のボブヘア。ドラマ“妖精の匣”でつぐみと共演している。若手女優の中でもここ数年人気の役者。人なつっこく人見知りがなき気遣い上手で、なんとなく隣に居ると落ち着く、という人柄を美人に搭載しているためか、社会で疲れた大人や年配層にすさまじい人気がある。本人は「周りが気持ちよく働ければ自分も気持ちよく働ける」という公務員の父親を参考にしているだけなのだが。
『Tips』ホラー女優の桐王鶫のファンなのだが、すさまじくホラー映画が苦手らしい。家族で得意な人間が一人もおらず、故郷の友人を捕まえてネット配信のホラー映画を見るのだが、ホラー好きと認識されて心霊番組のオファーが多いのが悩み。桐王鶫出演映画での、彼女の劇中生前シーンが好き、という、難儀な好みを持つ。
【轟芸能事務所】
『Tips』前身の轟芸者から発達した、名前を変えてから五十周年にもなる老舗芸能事務所。多くの名優が所属していて、役者だけではなく、歌手・タレント・モデル・アイドルと多くの芸能関係者が所属している、最大手芸能事務所である。
『柿沼宗像』
白髪交じりの黒髪に優しげな瞳。芸歴三十年の名優で、多くの映画・ドラマ・舞台に出演してきた。昔は真面目な青年役、という堅物の役どころが多かったが、年々役幅が増え、現在ではどのような役でもキッチリとこなせる、という印象が強い。かつて、桐王鶫と多く共演をしていたためか、時折、寂しそうに彼女を語る。
『Tips』独身。結婚について聞かれる度に、役者一筋という言葉を残している。俳優業に邁進する彼を多くの人はストイックな役者だと評価しているが、彼の甥から見ると、また少し違った意見があるようだ。「トッキー食べるか? 初恋レモン味」とからかって怒られた、とむくれる海の頭には、たんこぶがあったとかなかったとか。
『月城東吾』
黒髪黒目。切れ長の眼に怜悧な顔立ち。冷たい風貌と低く色気のある声が人気の俳優。意外にも役幅は広く、生意気な青年から冷酷な殺人鬼までなんでもこなす。向上心が山のように高く情熱的だが、表に出すと引かれるので飄々とした態度を取ることが多い。見た目は怖いけれど話してみるといい人、という評価を意識して人に与えている猛獣。
『Tips』趣味は釣りで、釣り竿とバケツを持ってふらりと海や川に出かけ、釣った魚をさばいて食べるのが好き。船舶免許を持っているほどの釣り好き。特定外来種を釣るボランティアをしている、と、プロフィールに書いて口さがない人たちから偽善と呼ばれたが、適正な調理で綺麗に捌いて食べる部分まで知られると、「あ、ただの釣り好きだ」と認識されて騒がれなくなったそうだ。
『浅田芙蓉』
まとめた黒髪の女性。お局役や継母役など厳しい女性の役が多い一方、昔はヒロイン役を任されることが多かった美貌の女優である。“妖精の匣”でもお局役として登場している。かつて、桐王鶫と共演してみたかったが叶わなかった。今の年配の男女から、当時の出演していたドラマ“メロディ”の印象から、根強い人気がある。
『Tips』自分にも他人にも厳しく、妥協や甘えは許さない人間です。そうインタビューで答えた彼女の記事がある。誰もがなるほど、と思った記事だが、中学生になる彼女の娘は首をかしげていたそうだ。「ママって口では厳しいけど、“しょうがない”って言いながらついつい娘の宿題を手伝っちゃうタイプなんだけど……言わない方が良いのかなぁ」とは娘の談だ。知らぬは本人ばかり、なのかもしれない。
【ウィンターバードプロダクション】
『Tips』霧谷桜架の経営する芸能事務所。ウィンターバード俳優育成学校と劇団“きりさくら”を所有する。組織の命名にはアドバイザーが介入したらしいが、真相は闇の中、だ。
『霧谷桜架』
本名:式峰桜。艶やかで長い黒髪に、優しげな黒い瞳。女神と称される整った顔立ちに、神がかった演技。日本を代表する大女優の一人。役幅は広いが悪役を演じたことはなく、業界からは「悪役までできるのだとすればおそろしい」と言われているのだとか。子役時代から含めて芸歴二十五年の大物。共演者からの人柄の評判も良く、バラエティにはあまり出ないが、クイズ番組で全問正解したこともある万能の天才。最近になって子役の教育ができることやサブカルチャーにも造詣があることがわかり、また好感度が上がった。自他共に認める桐王鶫のファンであり、桐王鶫の現在における知名度の上昇の元凶である。カエルが苦手だが、顔に出さない演技が上手すぎてバレていない。
『Tips』彼女の“それ”が衆目に晒されることになった原因は、あるテレビ番組だった。霧谷桜架のファンである少女が、彼女に最近飼いだした金魚の名前をつけて欲しい、と願ったのだ。霧谷桜架はそれを快諾。大真面目に悩んだ末、出した答えは――「黄金金太郎」であった。字面で「金」が被っている。凍り付くスタジオ。満足げな桜架。少女は齢五歳で空気を読むことを覚え、ハイライトの消えた眼で笑顔を浮かべ「アリガトウ、オウカサン」と言った。棒読みだった。以来、霧谷桜架にネーミング系の仕事を回すことは、業界のタブーとされたとかなんとか。
『皆内蘭』
黒髪を後ろで結んでいることが多いが、髪型に頓着はしない。霧谷桜架の年の離れた姉の子。霧谷桜架が血縁関係というものに興味がないため、純粋に、その優秀さから桜架に気に入られた。彼女の才能は他とは違う持ち味である、とは桜架の言葉である。性格は丁寧で控えめ。幼い頃から桜架に懐き、今でもその名残から「桜叔母さん」と呼んでしまうことがあるらしい。
『Tips』彼女の実家に帰ると、一匹の猫がいる。柔らかい毛並みのトラ猫で、彼女はこの猫を「トラ」と呼び親しんでいるが、イタズラをしないように言い含めるときなどは、何故か、ちゃんと略さず呼ばないときいてくれない。蘭は叔母のコトが大好きだ。けれど、これだけは、いつまで経っても恨みがましく思う。今日も彼女は己の猫に呼びかける。「びっくりトラさぶろう」と、敬愛する叔母のつけた名前で。
『平丸瓶彦』
白髪交じりの髪に丸眼鏡。ウィンターバード俳優育成学校演出・監督科の講師。元々は竜胆大付属に所属していたが、才能は競い合うべきだという考えの基、移籍した。アカデミー賞受賞監督である洞木監督のもとで働いていた経験のある名監督だが、結婚を機に現役を引退している。こだわりとプライドを笑顔の下に隠し持つ、底の読めない人間。
『Tips』未だ現役を引退していない己の先生に、今でも頭が上がらないらしい。なんでも、結婚についても多大な恩があるのだとか。
『細居一敬』
つり目七三分けの神経質そうな顔立ち。ウィンターバード俳優育成学校スタイリスト科の講師。繊細なコーディネートを得意とする。華道の有段者でもあり、書にも通ずることから侘び寂びをテーマにしたコーディネートに高い評価を持つ。調和と静寂のスタイリスト。
『Tips』学生思いで優しく、なんでも真摯に相談に乗ってくれる良き先生。その人の良さが化学反応を起こしたのか、彼の奥さんは元生徒らしい。
『滝田音色』
ゆるふわパーマの女性。ウィンターバード俳優育成学校声優科の講師。声優としての実力が高く外見も良いため、講師をしながら多くの仕事を抱えている。歌手デビューまでしているのだが、貯めた金銭を使う暇がない。底抜けた明るさと、次の日に引き摺らないさっぱりとした性質を併せ持つ。節とは小学生からの親友だが、別々の高校に通い、大学で再会した。
『Tips』無類の酒好きで東北生まれの酒豪。喉を痛めない程度にそれはもう呑む。仕事上恋人が作りづらく、親友の節と“独身同盟”を作っているらしい。
『光岡節』
黒髪セミロングに黒縁眼鏡。ウィンターバード俳優育成学校俳優育成科の講師。竜胆大卒。アクション女優として有名で、特撮やスパイヒロインなど役柄は幅広い。役者業の傍ら、学生たちに教鞭を執っている。夜遅くまで時間を割いてカリキュラムを作り、学生一人一人に向き合うなど、何事にも一生懸命で真摯。ネガティブな傾向にあり、心配性な一面もある。音色の親友で、プライベートでは「ねーちゃん」「せっちゃん」と呼び合う仲。酒好きだが酒に弱い。
『Tips』音色と“独身同盟”を作らされたため、彼女にも彼氏ができなくなってしまった。最悪、音色に責任をとってもらおうと画策しているのは、彼女だけの秘密である。
【PopKids】
『Tips』子役専門の芸能事務所の一つ。大きな看板子役は僅かしかいないが、そこそこ有名なジュニアアイドルやジュニアモデルを多く抱える。
『エミリ』
本名:幸崎エミリ。金髪メッシュのジュニアアイドル兼マルチタレント。子供向け番組に出演したり、お昼のバラエティ番組に出演することが多い。性格はわがままで奔放な快楽主義。自分勝手で暴走しがちだが邪気はなく、一度仲良くなればむしろ尽くす性格。末っ子で甘やかされて育ってきたため、他人に優しく悪意を知らない。良くも悪くも天真爛漫で素直な少女。
『Tips』遺跡研究を生業とする自称冒険家の父、モデルの母、音楽家の兄、作家の姉に眼に入れても痛くないほどかわいがられた彼女は、今日も自分は愛されているという自覚を胸に突き進む。最近のお気に入りは、新しく友達になった年下の少女だ。すごいものはすごい。綺麗なものは綺麗。おいしいものはおいしい。素直でまっすぐな彼女の物差しは、常に彼女の好きな人たちに向けられている。いつだって、彼女は日向の道を歩くのだ。「いくよ、くさつ!」――今日も、元気な声が響き渡った。
『草津結子』
ひっつめ髪に糸のように細い眼。おどおどと困った顔が多い女性。エミリのマネージャー。いつもエミリにこき使われているようにしか見えず、だいたい、彼女に同情して仕事を回すケースが多い。典型的な内気な女性。
『Tips』――という皮を被っている。誰よりも敬愛する可愛らしい担当子役のために、今日も彼女は内気なフリをする。そうして油断して悪意を持って近づく相手を丸め込み、エミリの餌とするために。彼女は猟師の娘だ。彼女自身も狩猟免許を持っている。可愛らしく優しいエミリが悪意に晒されぬよう、彼女のために悪意を利用する。「くさつ!」と、エミリに笑って呼びかけて貰うために。
【日ノ本テレビ局】
『Tips』全国に放送網を持つテレビ局の一つ。良くも悪くも平凡な方針と優秀な社員たちが、日夜高視聴率獲得に奮闘している。
『倉本孝司』
はげ上がった髪にサングラス。丸いおなかに人の良さそうな笑顔。日ノ本テレビの重鎮として名高い名物プロデューサーである。彼の手がけた番組は数知れず。プロデュース能力において他局からも一目を置かれる。
『Tips』たまにその手の番組に呼ばれるほどの愛妻家。妻と娘をそれはもう大事にしているが、最近、思春期の娘から距離を置かれているらしい。
『赤坂充典』
優しげな風貌。さえない、という形容詞がよく似合う低姿勢の脚本家。彼にオリジナルドラマを書かせればとりあえず売れる、とまで言われる、オールジャンル書ける希有な脚本家でもある。だが、優しげな風貌に調子づいて搾取をしようとすると、いつの間にかやり込められて身動きすらとれなくなっているということもあるようだ。頭の良い人間を怒らせてはならない、という手本のような人間。
『Tips』純愛青春ものしか書けなかった彼を変えたのは、一つの恐怖体験からだった。薄暗い廊下に佇む黒髪の女。彼女が突然倒れ込み、地を這って襲いかかってきたとき、彼は絹を裂くような悲鳴をあげて気絶した。それからというもの、彼の脚本にはどこか鬼が宿るようになったのだという。
【監督】
『平賀大祐』
薄いサングラス、ボサボサの髪、無精ひげ。その風貌で老けて見られがちだが三十代前半という若き天才監督。本人は、撮影した作品がたまたま評価されただけなどと言っているが、もちろんそんなことはない。いずれは名だたる名監督になることも予見されるが、今はまだ芽の開ききっていない若木だ。
『Tips』映像制作に夢中になるあまり、三徹四徹と繰り返す彼を止めるのは、年の離れた妹だ。遠方に住んでいるのにもかかわらず、週末には遠征し、大祐をベッドに放り込むと、彼の部屋を片付けて料理を作る。口癖は「お兄ちゃんは私がいないとダメなんだから!」だとかなんだとか。
『洞木仙爾』
数々の映画を撮影し、アカデミー賞受賞も遂げた名監督。御年八十六歳という高齢でありながら、映像作品を見る目は衰えない。足を悪くして車椅子生活だが、運転可能なタイプを用いて自分でどこへでも行く。孫娘を後継者として育てている、らしい。
『Tips』免許返納済だから事故の心配はいらないと言って、インタビュアーを困らせたことがある。映画以外ではニヤリともしない映画馬鹿。
【???】
『ツナギ』
黒い髪に黒い目。十字架、南京錠、鈴など様々なチョーカーと、長袖長ズボンや短パンタイツなど、季節を問わず肌を見せない服装。yo!tuberとして活躍していた人気配信者。小柄な子供であるという以外に正確な年齢は不詳。
『Tips』本性を見せないが、多彩な演技をこなすことができる。その正体は<検閲削除>
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