CastBook2
【SkyStar Thrush Production Member’s】
『Tips』空星つぐみを擁するローウェル経営の芸能プロダクション。一癖も二癖もあるスタッフたちの中に、最近、大柄なオネェ様が入社したらしい。なお、採用条件は不明であり、入社希望者はあとをたたないものの、成功例は少ない。
『レオ』――『風間繋』
芸名をレオとして活動する少年。表向きは、風間椿の血縁者であることが発覚すると仕事が取りづらくなるから、日常でもレオと名乗っている……ということにしてあるのだとか。金髪碧眼。少女のようにも見える整った顔立ちと、落ち着いた声色。未だ成長途上ではあるが、将来、とんでもなくモテる男性になりそうだ……とは、彼の身内の言葉である。
『Tips』
物腰は柔らかく紳士的。誰に対しても不快にさせない距離感。理想の王子様を体現したその立ち振る舞いが、自己防衛から身についたものだと知る人間は少ない。けれど、彼としては――少なくても、良いのだろう。
『天岡露炉亜』
きらびやかで中性的なファッションの大柄な男性。見た目のインパクトから予想もつかないオネェ言葉。飄々としていながら一匹狼と名高い界隈きってのやり手の変人が事務所に所属となったとき、界隈は僅かにざわついた。そしてそれ以上に驚きと納得を得たという。なにせあそこは、妹の所属する事務所。あのロロ&ルルが、手を結んだのだ、と。
『Tips』
小春の部屋に二枚の写真がある。薄幸という雰囲気が似合う美少年と美少女が並ぶ写真と、きらびやかで奇抜なファッションに身を包む男女の写真だ。一見すれば美少年と美少女の写真こそが彼女の宝物なのかと思うかも知れない。けれど、実際は――きっと、奇抜でありながらなんとも楽しそうで輝いている、二枚目の写真こそが、小春の宝物なのであろう。
『辻口諭』
総白髪に黒い目。左足の義足と眼鏡。交通事故の後遺症で杖を持つことを余儀なくされた、表情の乏しい男性。かつては桐王鶫のマネージャーであり、現在はレオのマネージャーを勤めている。気難しそう、という評判とは裏腹に、仕事は丁寧で真面目。私生活も時間をキッチリ配分したルーティーンで過ごしている機械のような人間、で、あるらしい。
『Tips』
機械のようだった彼も、ここ最近は時折、どこかに電話を掛けているようだ。その鉄面皮が時折綻ぶ様は、まるで、かつての彼を取り戻しているかのようだった。
【ウィンターバードプロダクション】
『Tips』霧谷桜架の経営する芸能事務所及び養成学校。設立には資金投資・アドバイザーとして、当時の桜架と交流のあった閏宇が手助けしている。閏宇曰く、なんでもそつなく吸収する桜架相手にできたことは、組織の命名を阻止することだけだった、と。
『庄司平生』
細目に細い顔立ち。眼鏡が良く似合う彼は、変人・狂人の役がとてもうまく、多くのはまり役を生み出した。元々は尖った役者が多いことで有名なWhite Book Productionに所属していたが、方針の違いから袂を分かち、移籍した。
『Tips』
警察官の家系。両親ともに警察官で、祖父は検事、祖母は弁護士。見渡す限りの警官一家に生まれた彼は、犯罪の恐ろしさやむごさを聞いて育った。そのうちに彼が思ったのは、「どうにかしてこの恐怖を、多くの人に伝え、警鐘できないか」ということだったそうだ。誰よりも犯罪に恐怖し、そして正義感に溢れた彼は、いつしかその化け物たちを演じるようになる。演技中の彼がイキイキとしているのは、決して、彼自身の性癖ではない。その胸の内にはいつだって、家族から引き継がれた平和を愛する心があるのだ。
『タキ』――『滝田音弥』
若手トップと名高い声優である、滝田音色の実の弟。コネで声優になったのかと問われれば、実力で語ろうと言い出す程度にはプライドと実力がある。人当たりは柔らかく、真面目で礼儀正しい。優等生を彷彿とさせる演技に精通しているようだ。
『Tips』
姉と比べられて辛くはないのか。インタビューでそう聞かれた彼は、「目標であり、憧れです」と輝く瞳で応えた。姉の誕生日には必ずプレゼント。クリスマス、バレンタイン、ハロウィンまで欠かさない。送迎を頼まれれば嫌な顔一つせず、いつもにこにこと人当たりの良い笑顔を浮かべているだけで、文句など一つも出てこない。姉である滝田音色の親友、光岡節は、そんな彼をこう評した。「超弩級のシスコン」――と。
【The Endless Production】
映画監督閏宇による、彼女が自由に活動するためだけに設立した個人事務所。閏宇と黒部珠美を中心とした、少人数経営。
『閏宇』――『閏井美宇』
黒髪に、角度によっては黄金にも見える瞳。小柄で童顔。五十を数えるはずだが、せいぜい二十前半程度にしか見えない容姿。性格はパワフル。姉御肌のリーダー気質。桐王鶫の唯一無二の大親友であり、彼女の一番の理解者だった。演技の才能も抜群であり、また努力家でもある。様々な方面に実力を発揮する中で、彼女が選んだのは監督業だった。今、ハリウッドで名を馳せる監督の一人である彼女の瞳には、未だ消えぬ情熱の炎があるのだ。
『Tips』
高層マンションの上層階に悠々と暮らす彼女の部屋には、部屋の雰囲気に似つかわしくない、けれど上品な仏壇が置かれている。その部屋に供えられた数々のホラー作品は、彼女の友情の形、で、あるのだとか。
『黒部珠美』
黒髪をショートカットにした女性。現在はEndlessプロと兼任でウィンターバードの相談役を務めているが、元々は芸能事務所の所長だった。事務所は株式売却による子会社化の後、事業を終了しているが、その影にはライバル事務所の暗躍があった。所属女優であった桐王鶫の死後、両親を立て続けに失い経営困難に陥る。事務所を売却後、閏宇について個人事務所の設立。精神的に立ち直ると、かつての辣腕を取り戻した。現在はハリウッドの地で閏宇のサポートをしている。
『Tips』
長らく氷の女として業界に辣腕を振るっていた彼女だが、ここ最近はどうにも表情が柔らかい。変化について尋ねても、彼女が答えることはない。ただ、時折どこかにかける国際電話が彼女の氷を溶かしていることは、想像に難くないことであろう。
『エマ』――『洞木エマ』
緑がかった黒髪と灰色のように見える瞳。男装の麗人という呼び名が相応しい、すらりとした中性的な女性。いつも身なりを整えていて、その声には不思議な魅力がある。一応、所属は閏宇の事務所ということになっているが、あまりに自由に動き回るため、形式上のものと化している。監督として、作品のためならなんでもする生粋の狂人だが、後見を務める閏宇によって、世間一般の常識の中でも生きていけるように躾けられている。
『Tips』
家庭を顧みなかった父に嫌気が差し、渡米した女性。彼女は修道院に入り、修道女として生きていた。洗礼名を持ち、過去に蓋をする東洋人。そんな彼女に惚れ込んだのは、日々のあぶく銭を稼いでいた労働者の男性だった。神に貞淑の誓いを立てた女性を娶ることはできない。けれど彼は毎日花を贈り、毎日愛を歌い、そしてなにより努力をして身を立て、彼女を思った。やがて折れた彼女は還俗する。その還俗には多くの仲間たちの祝福があった。エマ、という少女を産み落とした彼女たちに不幸が訪れたのは、その数年後のことだった。事故で両親を失ったエマは孤児院で暮らしながら、人形劇で生計を立てる。そのすさまじい才能の片鱗を閏宇に見初められると、彼女の手で人間の常識を身につけるようになった。そんな閏宇について日本に渡ったエマは、数奇な血の運命か、両親の遺品から祖父の素性を知る。家族を顧みず、疎まれ、己の妻すら見殺しにしたが故に娘に奔出され――それでも映画を撮り続けた男を。彼との間に何があったのか、エマは固く口を閉ざしている。そしてその思いに応えるように、彼女の過去は固く閉ざされている。神に祝福されて結婚した家族の娘の過去を探るような人間に、教えることなどなにもないから。彼女の秘密を知るものはごく僅か。閏宇と、珠美。そして幼少期にエマと知り合った少女――式峰桜(霧谷桜架)だけ、なのだとか。
【フラワリングプロダクション】
数々のアイドルグループを擁する、日本最大のアイドル事務所。方針は自由度が高く、男子禁制の清純グループから冒険主体のチャレンジャーアイドルなど、アイドルの種類には枚挙に暇がない。代表的なものだと、七十七人のメンバーを血液のように循環させ多方面に展開させる登竜門グループ『EXIT77』や、四年に一度トーナメントによって最強の三人を選出して四年間活動を行う『ViVidLIP』など。
『常磐姫芽』
EXIT77の中から十七歳のメンバーだけを引き抜いて、十七歳の間だけ活動するグループ『CCT17』のセンターを務める少女。長いポニーテールとスレンダーな体型。スポーティな容姿に対してのんびりとした空気感が特徴的。抜群の歌唱センスとダンスのセンスを持つ典型的なアイドルだと思われていたが、『SAYA』の出演で評価が一変。自分で作詞したパワフルな歌と併せて、今一番注目されているアイドルである。
『Tips』
平成十五年四月二日生まれの十七歳。翌年の三月三十一日生まれの赤留とは、年齢は一つ違うが学年は同じ幼なじみ。公私ともに赤留に助けられていた、一番の親友……とは、姫芽の談。
『榴ヶ岡赤留』
EXIT77のメンバー。色素の薄い髪を肩口で二つ結びにした、幼い容姿に低身長の少女。同じような容姿で華々しい経歴を残した閏宇に憧れている。早生まれで姫芽と同じ学年。家も隣同士で、ベランダから渡れる距離感。歌やダンスよりも楽器の演奏に長けていて、それがコンプレックスであると同時に誇りでもある、のだとか。
『Tips』
小さい頃から姫芽を引っ張ってきた。アイドル事務所に願書が提出されたと落ち込む彼女を放っておけず追いかけてきた。いつでも姫芽を支え助けてきた理由は、単純に、赤留にとっても姫芽がなくてはならない存在であったからだ。故に、彼女が一人で歌詞を書き上げたときは驚きと、一抹の寂しさを覚えたようだ。ぐんぐん伸びる姫芽。焦燥はあるが、赤留の胸には、それ以上の喜びがある。負けてられない。そんな思いと共に、赤留は今日も姫芽の手を握るのだ。すっかり対等になった彼女に、精一杯の笑顔を向けるために。
『黄蘗紅葉』
EXIT77のメンバー。東京生まれの東京育ちだが、父親が関西人であったため、微妙な関西弁。黄色とオレンジのメッシュのショートヘアで、歌は不得意だがダンスは自信がある。猫のような、という表現が良く似合う少女である。
『Tips』
一人称は“うち”。メンバー最年少の十四歳。イントネーションの中途半端な関西弁は、下手なものまねと誹られることもあるが、慣れ親しんでいるため変えられない。いつも息苦しさを感じていた紅葉は、ストリートパフォーマンスに出逢い、魅せられ、惹かれ、のめり込むようになる。両親が共働きであった紅葉は夜の街に繰り出すようになり、やがて定石のように不良に絡まれ、そして、一人の女性に助けられた。アイドルになったあとも、紅葉は苦手な歌のレッスンも、歌詞の勉強も欠かさない。それはあの日自分を助けてくれた憧れのシンガーソングライター、るいに、いつか追いつくために。
【轟芸能事務所】
伝統ある業界最大手事務所。数々の名優が所属する一方で、尖った俳優を採用する場面はあまり見られなくなった。
『須崎仁衣奈』
艶やかな黒髪としゃんと伸びた背筋。強い視線。ライバル役の名をほしいままにした名優の一人である。
『Tips』
既婚者であり、夫は業界関係者だが俳優ではない。曰く、俳優とは結婚したくなかった、とのこと。子供が二人居て、小学生になる二人をそれはもう可愛がっているらしく、家では子供二人とはしゃぎ倒して三人で夫に怒られる場面も。演技や仕事に対する姿勢からは想像も出来ないポンコツな日常を、彼女はなにより愛していた。
『見城総』
白髪交じりの黒髪に優しげな笑顔。柔和な顔立ちから、若い頃は可愛らしい少年だった面影が窺える。役柄は幅広く、脇役から主役までなんでもこなせる。得意な役は優しい性格の人物と、コンプレックスに苦悩する人物の役。
『Tips』
一般女性と結婚し、娘が一人いる。彼女に話を聞くと、怒らせたときに怖いのは、母親よりも父親なのだとか。魑魅魍魎はびこる芸能界で、彼を悪く言う人間はそういない。その意味はもしかしたら、彼の立ち回りの巧みさを表しているのかも知れない。
【響芸能事務所】
轟芸能事務所傘下の事務所。制約は少なく、自由に活動したいアーティストを支える。
『るい』――『関元泪』
オレンジに染色した髪に明るい茶色の瞳。幼少期から音楽が好きで、幼年期は祖父のクラシックのレコードを聴いたり、兄のかき鳴らすギターに合わせて歌っていた。また、読書も冒険も、とにかく好奇心を満たす行動が好きで、野猿という不名誉な渾名を頂戴したこともある。
『Tips』
中学では管弦楽部に所属しバイオリンを担当。後に女性らしさがないことを嘆かれ高校は名門に入れられるも、軽音楽部に所属。初恋はその部活の先輩で、一年付き合うも破局。翌年、後輩に告白され付き合うも、相手の浮気で半年で破局。十八歳になるとクラブハウスにも出入りするようになるが、少し遅くなってしまった日にチンピラに絡まれる。そこで助けてくれた男性に、彼女は燃えるような恋をした。けれど、彼もまた恋を背負った身。彼女のことが忘れられない。そう、強く焦がれるような瞳で語る彼に、るいは、恋を諦めるフリをする。やがて、情熱的なセッションも風化しようとした頃、彼は音楽家の道を外れ、泪は歌手になった。わんぱくで向こう見ずだった自分が、たった一人、すべてをなげうってでも手に入れたいと願った愛。その愛を胸に、彼女は今日も歌う。切なく、甘く、燃えるようなラブレターを歌詞に乗せて。
【竜胆大付属】
俳優養成の専門科を擁する総合学校。大学部・高等部・中等部・小等部を持つ。
『風間椿』
ショートカットに落ち着いたたたずまい。かつて大女優として名を馳せた女性。結婚はせず、竜胆大付属で講師として過ごす日々をかつてのような力強さで生き抜いている。彼女の講義は評判が良く、まるで現役の頃のように、多くの人間を魅了しているのだとか。
『Tips』
最近、彼女の家には家族が増えた。独り身を極めてしまったが故に卓越してしまった料理の腕。自己満足でしかなかったそれを、目を輝かせて食べてくれる少年。遅くまで残業をしていた彼女の姿は、もうない。己の帰りを心待ちにしてくれる、小さな家族がいるのだから。
【Rainbow Rose】
ウィンターバード俳優育成学校をライバル視する大手芸能事務所の一つ。ライバル視といっても敵視ではない。その根底には切磋琢磨という目的がある。そう語る代表の目には、「悪しきライバル視」を知る者の光があった、らしい。
『美園苑子』
デコ出しセミロングに細眼鏡。神経質そう、という評価を下されることが多い少女。時間を気にするそぶりが多く、節約術に関する本を読んでいる姿が散見される。どことなく付き合いにくい雰囲気だが、演技の実力は確かなものだった。
『Tips』
多くの兄弟姉妹を持つ大家族の生まれ。幼い姉弟を世話することが多いため、いつも気苦労が絶えない。だが、彼女の苦労の元が家族であるように、彼女の元気の素もまた家族である。騒がしくも愛らしい家族を守るため、苑子は今日も節約に仕事に奮闘するのだ。




