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登場人物紹介を脚本風にしてみました。
○公道・車外(夜)
ひしゃげた車の外でたたずむ桐王鶫(30)。
血糊のメイクと死に装束で幽霊のポーズ。
長い黒髪は整えず、黒い瞳は眇めておく。
鶫M「私は、交通事故に遭って死んだホラー女優。ハリウッドに立つのが
夢だったのだけれど、演じ慣れた幽霊になってしまったの」
※ ※ ※
(フラッシュ)
交通事故でひしゃげる車。意識が暗転して、白い天井が視界に映る。
※ ※ ※
T「20年後」
○病院・個室(朝)
包帯を巻いて眠るつぐみ・空星・ローウェル(5)
寝台の周りには千羽鶴、ぬいぐるみ、絵本。
頭髪は銀色、瞳は青。
つぐみM「なぜか、二十年後のせかいで、ごさいのしょうじょになっていたのです」
つぐみM「それだけならまだしも、あたらしいりょうしんのサプライズで、
れんぞくドラマのオーディションにさんかすることになって」
○病院・個室(回想)
銀髪碧眼の美青年、マクスウェル・コリンズ・ローウェル(32)
黒髪黒目の美女、美奈子・空星・ローウェル(29)
並び立って口々につぐみを褒める。
ローウェル「さすがはぼくの天使。君ならすぐスターになれるよ!」
美奈子「ええ、そうね。結果はわかりきっているけれど、オーディションに
でかけましょう」
照れるつぐみを抱き上げて頬ずりする二人。
(回想終わり)
T「数日後」
○オーディション会場・中(昼)
怪我が完治したつぐみ。
会場に集まる緊張した面持ちの子供たち。
つぐみの登場に色めきたつ。
○同・中(昼)
つぐみに話しかける、ひときわ目立つ三人。
赤毛を結んだ快活な少女、朝代珠里阿(6)
栗色の髪をお下げにした眼鏡の少女、夕顔美海(6)
黒髪を適当に流した怜悧な眼差しの少女、夜旗凛(6)
珠里阿「むむむ、ライバルか? いい子のやくはゆずらないぞ!」
美海「あわわわ、し、しらないひとがいる」
凛「ねむい」
つぐみ「(個性的な子たちだなぁ)よろしくね」
つぐみM「こせいてきだけどなかよくなれそう。でも、かのじょたちだけじゃ
なくて、どうやらぜんせのしりあいもいたみたいで……」
○オーディション会場2・中(昼)
オーディションの説明をする平賀大祐(25)
桐王鶫の知人、プロデューサーの倉本孝司(50)
同、倉本の親友、赤坂充典(50)
大物二人との会話に参加し疲労を滲ませる皆内蘭(20)
つぐみM「はらんのオーディション。そのけっかは――」
T「数日後」
○日ノ本テレビ・会議室(朝)
オーディション合格者で集まる。
新人教師、水城紗那役、相川瑞穂(24)
同僚教師、黒瀬公彦役、月城東吾(27)
校長先生、絹片幸造役、柿沼宗像(56)
教員、深奈川文子役、浅田芙蓉(46)
一同、それぞれの視点からつぐみを眺める。
つぐみM「かきぬまさんは、ぜんせのせんぱい。なんだかすこし、
きまずさもあるけれど、えんぎはちゃんとやらないとね!」
○日ノ本テレビ・廊下(昼)
顔合わせを終えたつぐみ。
銀縁眼鏡に黒髪のマネージャー、御門小春(22)。
連れたって移動中に、話し声を拾う。
○同・空き部屋
凛を本読みに付き合わせる夜旗虹(13)。
美しい顔立ちの美少年だが、言葉遣いは荒々しい今時の少年。
本読みをつぐみに覗かれたことを切っ掛けに、演技勝負を挑む。
※ ※ ※
(フラッシュ)
凛「つぐみは、あによりもうまかった」
夜旗「はぁ? ふざけんな。オレは霧谷桜架を超えると言われているんだぞ?!」
※ ※ ※
夜旗「おまえが凛の代わりに、本読みに付き合え!」
つぐみ「(何か怒らせるような……覗きは怒るか)わかりました」
T「勝負の結末は?」
夜旗「オレの勝ちだ」
つぐみ「わたしのかち、かな」
沈黙。目を合わせて、照れと恥ずかしさで目を逸らす夜旗。
つぐみは苦笑。気を遣うように目を逸らす。
つぐみM「すくなくとも、うかうかとはしていられないみたいだね」
○洋館・居間(夜)
安楽椅子に座る黒い髪を編み込んだ女性、霧谷桜架(10)(30)。
蘭からの電話を取り、会話を始める。
蘭の声「面白い子を見つけました」
桜架「その方、お年は?」
蘭の声「五歳。――五歳の、少女です」
桜架「そう。わかったわ。今度、見せてちょうだい」
電話を置く桜架。写真立てを手に取り、微笑む。
桜架M「あなたのような方と並べる日を夢見ていたわ。鶫さん」
写真立てを置く。
○洋館・外観(夜)
カメラが引く。上空からシーン終
○→シーン
M→モノローグ
T→テロップ
登場人物たちが登場人物を演じているifト書脚本風です。