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水色の色  作者: 早摘大豆
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なんか聞かれた

「私って、どう?」


 突然押しかけてきて、会うなり聞いてきたのがこの言葉だった。何が何やらという感じで、正直何をどのような観点から言ってどう、なのかがよくわからない。


「……どう、とは?」


「言葉通りの意味」


「……はあ」


 かき氷を食べながら鈴の音に耳を澄ませ、暑い盛りを乗り越えようという矢先にこれだ。何を、どこら辺のことに対して評価が欲しいのか。これがよくわからないし、多分それを聞いても不明瞭な答えしかこいつは返してこない。絶対にだ。


 私の幼馴染、三島水色にはいろいろとよくわからないところがある。


 それなりにかわいいとは思うのだが、だいたいいつもぼーっとしているし、あんまり笑わない。今みたいに夏休みには私もこいつも帰省してくるので、概ね帰省中は一緒に居ることが多いのが昔からの慣習だが、正直こういう不思議ちゃんキャラだと私の中で定まってしまっているので改めてどういうやつかと問われると答えに窮してしまう。


 ……強いて言うなら、のんびり屋さん?


「……暇人?」


「そういうことではなく」


「というと」


「どう?」


「……ぬぼーってしてる」


「そういうことではない」


 どういうことなのだろう。


 一事が万事こんな感じだ。多分何か考えているようでその実何も考えていないので、こちらとしても気楽な話し相手である。私自身何も考えてない。


「うーん……とりあえず、保留でいい?」


「じゃあ一週間以内に回答してほしい」


「あ、期限付きなんだ……」


 まあ、一週間観察してれば何かしら浮かんでくるだろう。忘れてくれてたら恩の字だ。


「いいよ、一週間ね。ま、正直何を答えて欲しいのかよくわからんけど、多分一週間あればだいじょぶ」


「わかった」


 わかったんだろうか。私はあんまりわかってないんだけど。


 こうして、不肖私夏霞あかねは、なんかよくわからん流れのまま水色を観察することになってしまった。ううむ、多分良いとこ探して褒めろってことだろうし、褒めワード探しをしておけばいっか。


鮮やかな緑色に繁る田んぼをぼーっと眺めながら、私はそう思った。


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