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架空作家対談 混ぜるなキケン!?  作者: 武隈 枝折
余話拾遺編『混ぜたらアカン』
7/11

ザ ベスト オブ 誤変換?

【琴乃】「(手書きノートといえば)小学校の国語で、教科書の本文をノートに三行空きぐらいで書き写して、わからない言葉の読みとか意味に傍線引いて調べて書き込むという予習をやらされてたなぁと。当時は面倒くさいなぁとしか思ってなかったですけど、『書く』という動作に関連付いてか結構覚えてたんですよね。『最後』と『最期』の違いとか、『()()()には点も口も出すな』とか。

 でも最近はワープロ入力ばかりで、たまに手書きでちょっとしたメモを取ろうとしてもとっさに字が浮かばないどころか後々まで思い出せなくて、若年性ナントカという単語がちらついたり(笑)」

【角谷】「たしかにワープロだと自分で書けないどころか読めない漢字でも表記できちゃうからね。読みで変換してるからとんでもない誤変換が出てくる。『爪が甘い』とか(笑)」

【琴乃】「それでも今は自己責任の範囲内で済みますけど、活字組んだり写植打ってた頃はオペレーターさんの誤植ってのもあってですね、他人が間に入る分、それこそとんでもない感違いとか読み違いがあったりするわけですよ。私が聞いた話だと、元原稿で『メートル』が『メーター』になっていたんで、赤字校正で『ター』の上から線引いて『トル』になおされていたのが、上がってきた写植見たらただの『メー』になってたとか……」

【角谷】「『どこから羊が?』って。あ、山羊か?(笑)」

【琴乃】「船会社の『○○(ナントカ)シッピング』が『○○ショッピング』に、なんてのは序ノ口で、不動産関係の記事で『ハウスビルダー』が『ボディービルダー』になってたりとか。あと原稿まるっと何枚分か抜けてたとか。たまたま前後の文が違和感なく繋がっていて、文章とんでるのに気付かなかったらしいですけど」



【角谷】「そういえば某作家さんの昔の本のあとがきに、編集校正でトンデモ文章に改竄されたとかあったような」

【琴乃】「『差し金が入っていた』ってやつですか」

【角谷】「うん、多分それ」

【琴乃】「ああ、でも似たような間違った慣用句、最近ネットでよく見かけるんですが。ざっと思い出しただけでも『息の根を刺す』とか、『雪辱を晴らす』とか、『義理深い』とか……『遅かれ遠かれ』、『手心を与える』、『浮き足出す』……『面の皮が良い』、『話の骨を折る』なんて一瞬新しいギャグのパターンかと」

【角谷】「それは『話の腰を揉む』ね。あとさぁ、使い方の間違いとか勘違いっぽいのもあるよね。『永遠と続く道』とか『目覚めが悪い』とか『準備満タン』とか『肩を揃える』とか。『老婆心』と『年寄りの冷や水』を完全に取り違えてたのもあったなぁ。それから既存のオノマトペの慣用句外の使い方も。『ひそひそ逃げてきた』とか。『(危篤の知らせをきいて)いそいそと駆けつけた』なんて(そんなに死んで欲しいんか)と思っていたら臨終に間に合わず号泣するシーンが出てきて、おやぁ?(笑)」

【琴乃】「慣用句は一種の定型文なので『せざるをいけない』とか言われても……ってのはありますね。『脇目()振らず』とか『迫力したバトル』とかは文法からやり直してくださいと」



【角谷】「ひとの不幸は蜜の味じゃないけど、今まで一番笑えた誤変換は『お爺さんの禿頭席』かな。音で聞けば一発なんだけど『陽の当たる窓辺の椅子は──』とか書いてあって、散髪用の椅子なんだろうか? 何かしら特別な意味があるのかと調べようとした瞬間、『特等席』じゃん! と気が付いて大笑い」

【琴乃】「私は……『男の維持』ですかね。叫んで見栄を切った場面で、(男の子って大変だ(メンドクサイ)なぁ)とさらっと流して半ページほど進んでから突然、『維持』じゃなくて『意地』かい!(笑)

 あと逆に洒落にならなかったのは『手放しの硝酸』ですね。一体どこへ降りかかるのだろうと」

【角谷】「『南海トラフ地震の被害予測想範囲に含まれる()()地方』とか。地震来る前から壊れてどうするよって感じ?」



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