平成23年3月25日(金)
もう何というか、末期症状だと思う。いろんな意味でだ。
僕も、もちろん他の人も。そして機関士も。今朝は6時~9時のワッチに入ったが、その際に作業艇・内火艇の格納状態での試運転が行われ、これに関してはちゃんと艦橋への報告がなされていた。問題は、その後に行われた電機員による内火艇の電機部品修理の件だった。
試運転終了を艦橋へ報告した後ではあるが、高所での作業 だったため、電機の明日田3曹は艦橋へもう一度作業を行う旨を報告しましょうかと機関士に尋ねた。しかし、その時間帯の機関科の責任者である機関士はそれを必要ないと言い、結局そのままになってしまった。
その後艦橋から連絡があり、「当直士官の了解なく高所での作業を行うな」と指摘された。
そのことを機関士に報告すると、「誰かが艦橋へ告げ口したな、別にいいんだそんなの報告しなくても」と逆に怒っていた。
もちろん、上の人間に言うのではなく、自分より階級の低い人間にだ。
正直、人間が腐っていると思う。まあ、その後も色々とあり続け、イヤになってしまった。
今日に限っておじさん3等海尉の悪いところばかり見聞きする羽目になってしまったのだ。
ジュースの在庫がわずかで、横須賀での搭載も未定だということを今更思い出し、「ジュースがないなら乗員全員に伝えなきゃだめだぞ」と諭してくるおじさん。僕はジュース係じゃないっつうの。知った風な顔をするな。
決定的なのは、燃料の在庫を報告するときだった。
「横須賀帰港後の燃料搭載は○○○KLでLSOにはもう連絡したからそれで調整しろ」と言われ、いい加減イライラしていた僕の思考は臨界点を突破した。
じゃあ燃料搭載しても100%になりませんねと言い返すと、「俺がお前にいちいち何KL積むのか聞きに行かなきゃならないのか」と返されたので、今更変更ができないなんておかしいでしょうと言い返すと、「俺はもう機関士じゃないから知らん」と話を打ち切られた。
そう、この人、今日が転勤日なのである。
海の上だから転勤先に行けないけれど。
あーそうですかと僕も腹を決め、もう徹底的に無視を決め込むことにした。本当はどれだけ燃料タンクに搭載しようが帳簿での調整さえやればいくらでも請求量など変更可能だったのだが、こいつにそれを説明して自分から謝ることは絶対にしないことにした。
もちろん対外的な目もあるので、機関士の言う○○○KL搭載で100%になるようにするが、この話はそれまでのこと。腐った人間を目の当たりにして、ついに僕も末期的な行動にでてしまった。そのこと自体は恥ずべき行為だと思う。
なので少し落ち込んでいたりもする。
もうじき入港が近いというのに、今日はろくなことがない。
そして本日の任務。金華山南方海域での捜索救難だったので、遺体揚収があると踏んでいたが、結局なにも起こらなかった。なので燃料係としての書類仕事や主機への潤滑油補給などをこなして今日は終了。ジュースの在庫も何とか入港まで保たせることができそうだ。
食事については、昼はカレー。
週に2度カレーが出るのは初めてかもしれない。具材は少な目だったが、まあふつうの味だった。スープの元になる材料も不足しているのかもしれない。
しかし、明日補給艦から生糧品3日分が受領できるためか、最後に残っていたと思われる野菜のサラダが出されていた。搭載から2週間たっているとは思えない新鮮さで、久しぶりに生野菜を楽しめた。夕食はカレーうどんと鶏肉の野菜炒めあんかけ風。美味しかった。
いよいよ任務は、明日で最後になる見込みだ。
もしかしたら27日の夕方には横須賀に入港できるかもしれないとのことで、この胸の期待感も高まりを見せている。しかし最後まで気を抜くことなく、横須賀入港までは頑張りたいと思う。もちろん次の出港もすぐだが、とにかく今は目の前の予定を全力でこなすことに力を注ぎたい。
(注1)
人の背丈よりも高い場所で作業を行うことを「高所作業」と言う。艦艇では修理作業や塗装作業などでなにかと高所作業を行う機会が多い。作業の責任者は、事前に当直士官へ高所で作業する旨を報告して、安全に関する配慮をしなければならないとされている。搭載艇はクレーンによりつり下げられた状態で高所に格納されているため、確認運転や修理を行う際は当然、報告が必要となる。




