一章 星々の欠片 中
リーナはそれに従って入り口を見る。
そこにはフード付きの白いコートを着た男が見えた。その後ろでは何種類もの剣を装備した男とほとんど何も守れていないようなビキニタイプの防具をつけた女が言い合いをしている。
どうやら、その3人がシエルのいうところの『星々の欠片』らしい。
見た感じでは、あまり他の人と変わった様子はない。
「そんなに強いんですか?」
「あの3人は化け物のように強いよ〜」
リーナの質問に答えたのはシエルではなく、カウンターの奥から出てきた燃え上がるように真っ赤な髪をした男だった。
「えっと、どなたですか?」
「僕はアポロン。このギルドの主神さ」
「ええっ⁉︎」
思っていたよりもあっさりと出てきた神様に対してリーナは驚く。
「神様っていうくらいだからもっと仰々しいものだと思ってましたけど、そんな普通に出てくるんですか」
豪華な飾りをつけているわけでもなく、ゴツい甲冑や大きな武器を持っているわけでもない。下手すれば、普通の格好をしたら一般人と間違えてしまいそうだ。
「神様って言っても今は7割人間みたいなものだからね。みんなこんなもんだよ」
「そんなわけないないでしょ。アポロンはもっと仕事しなきゃだめだよ」
今度は頭の上から声がする。声の主を確認するとさっきまでギルドの入り口にいた白いフードを被った男がいた。
「グレアくん、お帰り。本当に1日でクエストを終わらせてきちゃったのかい?」
「まあね。俺は何にもしてないけどあの2人が20分くらいで終わらせてくれたよ」
俺は被っていたフードを外しながら言う。フードの下から出てきたのは黒い髪の青年。容姿は整っているが、これといって特に変わっているところはない。
「その2人はなんで喧嘩しているんだい?」
「あいつらは200体、100体って分けてから始めたんだが、99体しかやってないだの、200体ぴったりしかやってないだのと喧嘩し始めてな。あいつらに最初から299体しかいなかったって考えはないのかな」
「200体?100体?」
リーナは頭の上で始まった知らない話の内容に首を傾げる。
「モンスターの数だよ。グレアくん達はさっきまでモンスター300体の討伐クエストに行っていたんだ」
「へぇ••••••ぇぇ!!えええ‼︎300体⁉︎」
リーナはさっきよりも大きな声で驚愕する。それもそのはず、モンスターは基本1人では小型なら2〜3体、大型なら1体が推奨とされている。強い人では大型モンスターを三体同時討伐というのを聞いたことがあるが、それでもその程度。
三桁は愚か、2桁でもありえない話なのだ。
「3人で300体⁉︎」
「僕は何にもしてないから2人で300体だね」
グレアは優しく微笑んで言う。確かにアポロが化け物のように強いと言うのも納得できる。
「グレアくん、君達に昨日言った通り今うちのギルドから支払えるのは金貨300枚しかないんだ。クエストの報酬金額は金貨500枚、明日にはギルド協会から500枚届くと思うけどどうする?」
拠点を持たないギルド故に、他のギルドにクエスト受注の仲介をしてもらっているといった感じだろうか。
そう思うとやはり拠点がないというのは異質なことだ。
「いや、300枚でいいよ。どうせ僕達はそんなにお金使わないしね」
「じゃあ差額はどうするんだい?」
「ギルドの経営費にでもしてよ」
「そういうなら遠慮なくそうさせてもらうよ」
アポロンはしゃがんでカウンターの下に消えると、ジャラジャラと鳴る布袋を取り出した。
「はい。これで、300枚だ」
ゴトンとカウンターの上に置かれたそれは、音だけでも結構な重さがあることが分かる。
「ありがとう。じゃあね」
グレアは布袋を取って、そのまま行こうとする。
「中身は確認しなくていいのかい?もしかしたら銀貨かもしれないよ?」
「アポロンはそんなことしないでしょ。あと、たとえ銀貨や石ころだったとしても僕たちは困らないからね」
「それはいいことを聞いた。今度は石ころを用意して待っておこう」
アポロンは悪戯な笑顔を浮かべて言う。この人、いやこの神の性格は知らないがなんだか本当にやりそうだ。
「僕は怒らないけど、カナは知らないよ?」
「やっぱりやめておこう。ギルドを壊されても困るからね」
カナというのが誰かは知らないが、恐らくグレアの連れの女の人の方だろう。
モンスター1体であんなに騒いでいるのだから、そんなことをしたら怒るのは確実だろう。
「それが1番だよ。じゃあ、またね」
グレアは手を振って別れの挨拶をしたあと、ギルドの入り口へと歩いていく。
それから入り口近くでまだ喧嘩している2人に声をかけ、外へと出て行った。
題名が変わりました
英語に憧れたけど、思ったより微妙だったんでやめました
これからもよろしくお願いします




