プロローグ
完全ファンタジーを書きたくて、始めました
頑張って書いていくので、よかったらブクマ、感想をください
〜魔女の樹海 最深部〜
「ここが最深部か?」
光のあまり届かないほど木々の生い茂る樹海の中で、パーティの1番戦闘を歩く男──メフィトは他の2人の仲間に尋ねる。
男はボサボサな茶髪で、格好は半袖のインナーに気休め程度の何かの革で作られた防具。背中には大剣、腰の右には片手剣、左には二本の刀、後ろには短剣とたくさん武器を装備している。騎士のようにも見えるが、鎧は身につけていない。
「そうなんじゃないかな!てか、ここじゃないと困るよ!わたしはもう疲れたから動きたくない〜」
それに答えたのは2人のうち、真ん中を歩く女──カナの方だった。こちらは茜色の長髪で、ビキニタイプのインナーを身につけ、下は短めのスカート、靴は膝まであるブーツを履いている。
こちらは茶髪の男とは違い、武器を一切装備していない。
この2人は同じくように黒い星が砕け、欠片が足りていないよう不思議なその模様を、男は右手の甲に、女は脇腹に身につけている。
「メフィト、ここが最深部で合ってるよ。カナもあと少しで帰れるんだから頑張って」
「それもそうだな」
「グレアがそういうなら頑張る〜」
後ろからもう1人の仲間が歩いてきて、2人に声をかける。グレアと呼ばれるその男は黒い髪に黒い服をきて白いのコートを身に纏うという、周りの風景に合わせる気のない格好をしている。
「それにしても、このクエストは簡単すぎやしねぇか?」
メフィトは欠伸を噛み殺しながら、退屈そうに文句を垂れる。
「確かに久しぶりの『星の欠片〈エトワル•フラグメント〉』指名のクエストにしては簡単かもね〜」
カナは屈伸したり、伸びをしたり、腰を回したりしてストレッチをしながらそれに答える。
「そういうな。指名されたクエストはしっかりこなさないと評判が悪くなるからね。メフィトも今日は300体だけで許してよ」
彼ら3人を囲うように、周囲には竜、獣、鳥、巨人、蛇などが臨戦態勢で睨んでいる。それも最深部ともなると一体一体が中ボス並みの戦闘力を持つ。
だが、彼らはそれを簡単だと言い放つ。
「仕方ねぇ。まあ、俺たちの生活費のためでもあるしな」
「そうだね。じゃあ僕は何も手を出さない方がいいかな?」
「そうして貰えるとありがたい」
「カナは戦うよ!」
「100体でいいか?」
「150っていいたいところだけど、それで良いよ。なんたってわたしはレディだからね」
「はっ!言ってろお子ちゃまが」
「なにを〜‼︎」
確かにカナは豊満な体型をしているとは言い難いが、スレンダーでよく引き締まり、そこまで発育も悪くはない。
「ほらほら、2人とも。喧嘩しないで。早くクエストを終わらせて帰ろう」
「それもそうだな。じゃあグレア借りるぜ」
「今日は気分的に氷かなぁ〜」
2人は祈るように両手を組み重ねる。そして目を閉じて言葉を紡ぐ。
「「願うは星々の輝き、救うは散りばめられし欠片なり。我が想いに応え、この誓いを星の欠片とせよ」」
砕けた黒い星に、メフィトには赤い光が、カナには水色の光が灯り、そのまま色が変わる。
「2人ともよろしくね」
「もちろん」
メフィトは背中には担がれた大剣を鞘から引き抜いて、両手で構える。
「いくぜ!『炎獄装』」
その言葉を合図に、刃渡り1メートル20センチほどの大剣の刀身を中心に幾つかの魔法陣が展開される。
何の変哲もなかった普通の大剣が黒みを帯びた禍々しい炎獄の大剣へと変化を遂げた。
「ふぅ〜熱いねぇ。それじゃあ私も『創氷の狂腕』」
術式がカナの両腕に絡みつくように現れる。
「モード•悪魔」
次の瞬間、氷が腕を包み込む。爪が尖っていて腕の部分には薄い氷の刃のあり、まさしく悪魔の手のような形をしている。
「それじゃあ」
「やろうか!」
その日、魔女の樹海では火柱と氷柱が天に昇るのが目撃された。