第9話 アンバスの街
「見えてきました。あれがアンバスという街です。」
「ずいぶんと大きいな・・・・・」
大きい街だった。周りは高い壁に覆われていて魔物の侵入を防いでいるのだろう。
「ええ、アンバスは大都市ですから。ですが首都のエルドラの方が大きいですよ」
「そうなのか。」
そしてアンバスの街に入ろうとした時に門兵に止められた。
「アンバスの街になにをしに?証明書があるなら見せてください。」
「商人のアーウェルです。店に仕入れに来ました。そちらの方は先ほどドウルフに襲われそうになったところを助けていただいたのです。私が保証しましょう。」
と言いながらなにか紙を渡した。あれが衛兵の言う証明書なのだろう。
「これはこれは、アーウェル様でしたか。申し訳ありません。どうぞ、お通りください。」
そう言うと門を通してくれた。
今の話し方からいうとアーウェルは大物かなにかなのだろうか?
「それでは1度私の店に寄らせていただいてよろしいでしょうか?その後にお礼の方を。」
「わかった。」
大物だった。私の店だと?ただの商人ではなかったのか?いや、個人経営の小さな店だろう。ただの顔が広いだけってのもある。まだ決め付けるのは良くないな。
そして街なかを進む。
街は活気づいていた。いろいろな店が開いていて売り子が声を張り上げていた。
それは街の中心に進むにつれて大きくなって行った。
そしてしばらくするとそこそこ大きい建物の前で馬車が止まった。
「葵様、こちらが私の店でこざいます。ささ、どうぞ中へ」
やっぱりこいつは大物だった。店の大きさがそこらと違う。
周りの店が個人経営の店だとしたらアーウェルの店はスーパーを小さくしたようなものだ。
「おかえりなさいませ、旦那様」
店に入ると店員が挨拶をしてきた。
「ただいま。馬車の荷物を降ろしておいてくれ。それに、キンベルに連絡を使いを出してくれ。今帰ったと。あと彼を奥へ案内を。」
「かしこまりました。」
「それでは葵様、奥へどうぞ。今お食事を用意させます。どうかゆっくりしてください。私は仕入れがあるので終わりましたらお伺いさせていただきます。」
そういうとアーウェルは1人の店員を連れて馬車に戻った。
「それではお客様、ご案内いたします。」