第6話 初めての戦闘
俺はホルスターに手を伸ばしガバメントを抜いた。そしてガバメントを構えた。セーフティを外し照門と照星を獣に合わせた。
気づかれないうちに1匹は倒したい…そう願い撃鉄を下ろして…引き金を引いた。
パァン!!
と大きな音がした。
初めて銃を撃ったのでその反動を抑えきれず照準がずれてしまった。
弾は獣の横を通り抜けていった。
突然の大きな音に獣が、馬が、御者が驚いていた。
獣はあたりを見回し、馬は驚き暴れ、御者はそれを抑えていた。
今ならまだ気づかれてない!
初弾は外したけど次は当てる!
そして俺は再び引き金を引いた。
大きな音ともにこちらを向いた獣の眉間に45ACP弾は吸い込まれていき、赤い小さな花を咲かせた。
まともに銃を撃ったこともないのにヘッドショットを出来たのは死神に願った戦闘力をギリギリまであげた恩恵だろう。
獣たちは仲間がやられたのを見て俺に向かって走ってきた。
俺はそれを狙って再び引き金を引く。
しかし俺を認識している獣は素早くかわされてしまった。止まっている物は当てられてもまだ慣れてないため動いている物にはなかなか当たらないのだ。
「くそっ!?」
そしてその後も撃つが当たらない。焦りが俺を襲う。
そして2匹目を倒したのは7発目だった。
獣との距離は残り10メートル。
このままじゃ食われる…っ!?
俺は急いで3匹目の獣を狙って撃つ。
弾は獣の頬を掠っただった。
その瞬間、獣の口が動いた。痛みに歪めただけなのだが俺には嘲笑っているように見えた。
銃を持ってても使う奴がそんなんじゃ話にならないな。
そう言っているかのように。
その瞬間俺は恐怖に支配された。
体が震え照準がぶれ、まともに狙えない。
食われる食われる食われる食われる食われる食われる食われるッ!!!!
距離は3メートル。
そして獣は俺に飛びかかってきた。
あぁ…もう終わりだ。俺はもう…。
諦めかけたその時だった。
「諦めてんじゃないわよこの馬鹿 !あんたの望んだ非日常を、この世界を、そんな簡単に諦めていいの!?シャキっとしなさい!NICHT!!」
ドクンッ
その声が頭に響いた瞬間、俺はスローモーションの中にいるようだった。
ゆっくりと獣が俺の首に牙をつきたてようと飛びかかってくる。
これくらい…造作もないっ!!
俺は一歩退こうとした左足をそのまま下ろし、右足で思いっきり獣の顎を蹴り上げた。
バキッ!
と音がして血が噴き出した。
そのまま上に飛んでく獣に向かって俺は、即座にガバメントを構えた。そして迷うことなく引き金を引いた。
「消えろっ!!」