第5話 決意
どのくらい歩いただろうか。景色は変わらず木ばかり。このまま永遠に続くのかな…と考えながら歩いていた。
それから少し歩くと少し開けた場所が見えてきた。
やっと森を抜けれるのかな!?と思って走り出した。木々を抜けたその先は、広大な草原だった。草丈はあまり高くない。そんな草原が続いていた。しかし人工物は見当たらない。
「はぁ…やっぱりそんな簡単に街とか村には行けないよな…」
そう呟きつつ歩き始めた。
目標とするものが無いのだ。ただまっすぐ歩いていた。
その後2時間程たっただろうか。
空を見上げると太陽はさっき真上にあったのに少し沈んでいた。時間はだいたい2時くらいだな。
なんてこの世界に時計とか時間とかあるのかな…あるとしても疎通できるかな…と思っていた時だった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
と悲鳴が聞こえたのだ。
その瞬間体はそのこえのほうこうに走り出していた。
少し高い丘を越えた先には街道があった、
街道と言っても石畳で道を作っているだけだったが。
その街道にはなんと馬車がいた。
しかしそれだけではなく、馬車は何者かに襲撃を受けているようだった。馬車の周りを何かが包囲していた。
馬車には護衛はいないらしく襲われるのを今か今かと待っている状態だった。
馬車を包囲しているのは3つの影。それは…なんと魔物だった。犬より少し大きく狼よりは小さい大きさの獣だ。
この世界には魔物がいるのか…。
俺は内心驚いていた。
剣と魔法がある中世のヨーロッパのような時代と聞いたらそんなファンタジーな世界に魔物がいないはずが無い。
しかし実物を見るのが初めてだった俺はうろたえていた。
獣との距離は30mある。それに馬車に夢中でこちらに気づいてはいない。
もし、俺を認識していたとしたら俺は食われていただろう。この世界はそういう世界なんだ。弱肉強食の世界。油断したら死ぬ。
それを理解した俺は取り敢えず馬車を助けようとした。
しかし、今俺の装備はガバメントしかない。弾倉には弾は8発、薬室に1発合計9発しかない。それにこの世界に銃は無い。よって銃は希少価値があり有効的な武器だ。だが弾は補給できるとは限らない。いや、無理だろう。
それをここで使っていいのか?知らない馬車を助けるために…。
いや、助けよう。ここで助けなければ俺はこのことを一生引きずるだろう。これは俺の人生、新しい人生なんだ。俺のしたいことをすればいい。それで充分だ!
俺は馬車を救うことを決意した。
今にも襲われそうな馬車を救うことが俺のこの後の人生を大きく左右するなんておもいもしないだろう。