第3話 マジかよ…
カラーン
薬莢が地面に落ちる音がきこえた。
お、俺は…撃っちまった…腕を操作されてだけど…俺は女の子を…
「ほらほら、そんな顔してないでー私を見て?」
彼女の声が聞こえて俺はゆっくりと彼女を見た。そこには…45ACP弾が彼女の眉間の数ミリ前を浮遊していた。いや、何か見えない壁に阻まれていたのだ。
「これで、信じてくれた?この距離なら普通ならなにもできずに死ぬ。人間ならね?」
さすがにこれは信じざるおえなかった。
少なぬとも非日常を望んでいた俺だから適応するのも早いんだろうか?
「あ、ああ。わかった。信じよう。俺が死んだ。お前は死神ってのはわかった。けどなぜ俺をここに止めた?」
そう、俺は短時間の間にここまで適応してれいせいになっていた。
「んーとね、私があなたを気に入ったから。じゃダメ?」
「ダメだ。」
「わかったわよ、本能のことを言うわ。実はね…あなたあの世界の人間じゃないのよ」
「なん…だって…?」
「あなたは今までいた世界の人間じゃない、他の世界の人間なのよ。」
せっかく落ち着いたのにまたひっくり返された。
「今度はなんだよ。あの世界の住人じゃない?冗談はよせ。世界はあの世界しかない。おかしいだろ?」
「本当にそう思う?どこか思い当たる節があるのでしょう?」
この女はエスパーかよ…
確かに思い当たる節はあった。
中2の頃から俺はこの世界に違和感を感じていた。どこか居心地の悪い他人の家にいる時のような感覚だった。しかしそれは厨ニに目覚めた俺の現実逃避と自己否定の影響でそう思うんだと思っていた。
「やっぱりね。あなたはあの世界に生まれる予定ではなかったの。他の世界に生まれる予定だった。私が…ちょっとミスをしてね。あなたをあの世界に誕生させてしまったの。あなたが時折感じた違和感はそのせい。自分の居場所がないから、自分のあるべき場所じゃないから…。、ごめんなさいね、私のせいで…」
彼女は申し訳なさそうに俯いてしまった。
その仕草、その顔、その姿が不謹慎にも可愛いと思った俺は「い、いや、そんなに思いつめないでくれよ、ミスは誰にでもあるって!。ん、待てよ…ということは俺がいつも非日常を求めていたり非日常に遭遇したら体が勝手に動いたのは…」
「ええ、あなたは本当はあの世界にとって非日常な、世界に生まれるはずだったためよ。体は自分のあるべき場所はここではないとわかっていたのね。それが貴方にひたすら非日常を求めさせ続けていた…。」
「そう…だったのか…。んで、俺は…どうなる?」
「貴方には本来の世界に戻ってもらうわ。その姿なのまま、記憶を持ったまま。いわば転移ね。
「.そうか…本来の世界に…」
「そして貴方を他の世界に転生させてしまった謝罪のために二つ願いを叶えてあげるわ」
「願いを…二つ…」
「ええ、そうよ。なんでもいいわ。女にモテるようして欲しいとか大金持ちとかいろいろあるわよ?」
「俺の本来の世界って…どんな世界なんだ?」
「そうね、時代は中世ヨーロッパ見たいといえばいいかしら、魔法が盛んだけど科学はないわ。そして戦乱の続く世界よ。」
「.そうか、なら戦闘力をギリギリまで跳ねあげてくれ。魔法もある程度使えるようにな?LV制で頼むよ。」
「お安い御用だわ。それくらいなら簡単だわ。あと一つは?」
「あと一つは…同行人を一人召喚させる力をくれ。」
「え、そんなんでいいの?」
「ああ。それで充分だ。」
「.そう…わかったわ。なら、私がある程度テキトーにサービスしてあげる。なにが起こるかわからないけどその方が楽しいしまあいいでしょ。」
「え、ちょ、待てよ!なにを勝手に」
「はい、じゃあ頑張ってね〜ばいば〜い!」
「勝手に飛ばすなぉぁぁぁぉぁぉぉぉぉ」
これが俺の人生の終わりと新しい人生の始まりだった。