第20話 盗賊狩り
街の門についた時は日が山に隠れそうな夕暮れ時だった。
既にダンはそこに待っていた。
「悪い、待たせたか?」
「おう、あんちゃん!大丈夫だ。そんじゃあいこうか」
こうして俺はダンと合流して盗賊を狩りに向かった。
1時間ほど歩いただろうか?あたりは未だ草原だ。互いに会話は無くただただ歩いていた。
ダンはしきりに何かを考えていたようだが何かを解決したようで話しかけてきた。
「そういやあんちゃんの武器はそのロングソードと鉄の盾だけかい?」
「ああ、そうだ。何か問題か?」
「いや、ただ確認しただけだよ。一緒に戦うんだ。それくらい把握しときたいだろ?」
「そうだな。ダンの武器はなんだ?」
「俺はロングソード一つだよ。そっちの方が楽なんだよ俺はな!おっと見えてきたぜ、あの森の奥に洞窟があるんだ。そこに盗賊団が巣食ってるって話だ。ここからはあまり音を立てずに行こう」
あたりはもう真っ暗だ。頭上には月が見える。だから比較的明るいんだが森の中は灯りがないと歩きにくい。
地面が凸凹していたりと足下に注意を払いながら音をあまり立てずに移動するのはつかれる。
ダンは慣れているようですいすいと言ってしまう。
30分くらい歩いたところで目の前に灯りがひとつ見えた。
急いで木陰に隠れて様子を見てみるとその光はランタンのようだ。ランタンを持っているのはどうやら男のようだ。暗くてよく見えないが革の防具に腰には短刀を差しているようだ。
「しめた、あれは盗賊団の奴だな。きっと見回りでもしてたんだろう、よし!アイツをつけるぞ!」
「ということはあと少しということか」
少し不安になってきた。あと少ししたら俺は人を殺すことになる。それも見ず知らずの他人を。そいつらは今までに人を殺しものを奪いとしてきた悪だ。
しかし、人でありそれを改心して新しい生き方を進むこともできる。そんな奴らの人生を俺の手で終わらせていいのか?
「あんちゃん、大丈夫か?進むぞ」
「あ、ああ。すまない、行こうか。」
ダンの声で我に帰った。
今更そんなことを考えても仕方ないことはわかっている。
ここはもうあの世界じゃない。悪人なら殺しても罪に問われない。警察なんかもいないんだ。ここは違う世界。そうだ、ここは……違う世界。
そう自分に言い聞かせてダンについて行く。
そのまま進んでいくと洞窟が見えてきた。
中からはなにか騒ぎ声が聞こえる。
「みつけたぜ、ここが奴らのアジトだな。」
「なにやら騒がしいが何かあったのか?」
「どうせ今日の収穫がよくてはしゃいでんだろう。都合がいい。奴らが寝静まるのを待とう。その方がリスクも下がる」
「わかった。」
そしてそのまま盗賊団が寝静まるまで俺らは交代で休憩していた。