第18話 男
「よお兄ちゃん、アンタ訳ありって感じだな」
「何か用か?」
ギルドを出て少し歩くと暗闇から声をかけられたそっちを向くと柄の悪そうな男がいた。
よくいるチンピラかと思ったら違う、纏う空気が違う。少し実践なれしてるようだ。用心棒かなにかか?
「アンタ金に困ってるらしいな」
「聞いていたのか、いい趣味ではないな」
「そんな事言うなって、実はな手っ取り早く金を稼ぐ方法があるんだよ。」
「本当か?」
「ああ、なに、簡単だ。賞金首を狙えばいいんだよ。」
「賞金首……そうか……その手があったか。しかしなんで教えてくれる?ギルドの職員は教えてくれなかったぞ」
「そりゃあ、あんまり推奨されねえからな。賞金首を狙えば相手にも狙われるし普通の依頼を受けるより危険だ。ましてアンタはLv1だ。まず無理だろうな。だがよ、オレにはアンタがLv1には見えねえ。ある程度の場数は踏んでると見た。そこでだオレと一緒に賞金首を狙わねえか?」
「俺とお前、2人でか?」
「そうだ、今この街の近くにとある盗賊団がいるって情報があってな、結構名のある賞金首がいるんだ。1人じゃ勝てるか不安だがアンタがいれば大丈夫そうだ。分け前は半分でどうだい?悪い話じゃあないだろ?」
どうする、こいつの言う通り悪い話じゃない。
確かにこれなら稼げそうだ。時間が無い中贅沢はいっていられない。だけど人を殺すんだ。そこに少し抵抗あるが……背に腹は変えられないな。
「わかった。その話に乗ろう。」
「うし!そうこなくっちゃ!オレはダンってんだ!アンちゃんは名前なんていうんだ?」
「俺は神崎葵だ。」
「カンザキ……?変わった名前だな、まあいい。よろしくなあんちゃん!」
「じゃあ俺は何をすればいい?」
「とりあえず今日は遅い。明日の昼にギルド前に来てくれ、んまあそういうことだ、また明日な!あんちゃん!」
などと言い残して柄の悪そうな男、ダンは闇に消えた。
その後俺は宿に帰り、すぐに寝てしまった。