第17話 注目の的
外は夕暮れ時、日が傾き山の影に隠れそうな時間帯だ。
俺は今、キンベルの店をでてきたところだった。
金額75枚か……しかも3日だと?やはり商人だな……。
この通り困っていた。
さて、どうするか……金の宛もない、とりあえずギルドに戻って聞いてみよう。
そうすればなにか方法はあるかもしれない。
そして俺はギルドに向かった。
ギルドはさっきより人が多かった。飲食スペースで食事をしてる人達が多い。恐らく依頼を終えて夕食を食べているのだろう。
何人かがこっちを見てきたがそれにきにしてる暇はない。
とりあえずさっき説明してくれた職員に話を聞こう。
「なあ、ちょっといいか?」
「あら、貴方はさっきの……どうかしましたか?」
「実は急遽、金が必要になったんだが手持ちでは足りなくてな。大金が必要なんだがなにか稼げる依頼などはないか?」
「そうですね……だいたいおいくら必要なのですか?」
「ざっと金額70枚くらいだな。」
「金額70枚!?それは無理ですよ!そんな大金をすぐに稼ぐなんて出来ません!あるとしても貴方はまだ登録もされてないのでしょう?ならLvは1です。そのレベルでは依頼を受けられませんよ?」
「そうか……わかった。なら、登録だけさせてくれ。」
「わかりました、それでは……この上に手を置いてください」
「これは……?」
職員はカウンターの上に水晶玉のようなものを出してきた。
「これは個人情報などの登録に使う魔道具です。この上に手を置けば貴方の個人情報などが登録され、データベースに管理されます。」
「魔道具か……わかった。」
そう頷いて俺はその水晶玉のようなものの上に手を置いた。
すると少し白く発光したと思ったら光は消えた。
「ありがとうございます。お名前は……アオイ・カンザキ……?変わった名前ですね……。種族は人間。性別は男。出身は…………え……?」
不思議そうに水晶玉を見ていた職員の顔がお化けでも見たような顔に変わっていった。
「ん?どうかしたのか?」
「貴方……どこから来たんですか?」
「え、どこからって」
「本来ならここに出身地が表示されるはずなのです。ですが貴方の場合は該当なしと出ているのです。こんなことあり得ません。あなたはいったい……」
まずい、まずいぞ。それはおそらく俺がこの世界の人間ではないからだ。
この体は地球で生まれた、だからこの世界のどこでもないんだ、ここで素性を知られるのもまずい。どうするか……まてよ、ここは中世ヨーロッパ並の文明だ。という事はまだ地球、この世界は丸いとは思われてなく平行だと考えられてるはず……ならば!
「ああ、実は俺の出身は地図に載ってないんだ。」
「地図に載ってない?どういう事ですか?」
「俺の出身は極東の島国なんだ。だから地図には載ってない。」
「いや、それでは……いやでも……それならその見た目も……うぅん……わかりました。それではこちらをどうぞ。これがギルドカード、証明書です。」
「ああ、ありがとう。それじゃあ。」
変な詮索をされる前に俺は立ち去りたかった。あの会話の後から周りの視線が凄い、俺は動物園のパンダじゃないぞ。
視線から逃げるようにギルドを出た。
そしたら暗闇から声が聞こえてきた。