第16話 キンベルの店
ギルドを出ると日が高くなっていた。
キンベルの店はギルドから少し言ったところにある。
なので少し歩いたらすぐについた。
店の外観はアーウェルの店と同じくらいだ。
とりあえず呼び鈴を鳴らした。
すると職員のような人が出てきた。
「……どちら様ですか?今日は主人の面会のご予定は無いはずですが……」
「そうだったのか?すまない。俺は神崎葵というものだ。先日、アーウェル氏邸に招かれた時にキンベル氏と出会った際に今度うちに来てくれと言われたのだが。」
「おお、あなたが神崎葵様でしたか。それなら問題ありません。どうぞ、中へお入りください。」
そういうと職員は俺を中に通した。
そして応接室に招き入れると
「これより主人を呼んできますのでお寛ぎしてお待ちください。」
と言って部屋を出ていった。
そして少しするとドアが開きキンベルがやって来た。
「おお、よく来てくれたな神崎さん。待ってたぜ」
「いや。突然押しかけてすまない、キンベルさん。」
そして互いに席に座り話し出した。
「そう言えばアンタ奴隷って前に話した時よくわからないような顔してたよな?奴隷知らないのか?」
「ああ、詳しくは知らないな。」
「そうかい、珍しいもんだな。まあ前にも説明したが奴隷ってのは犯罪を犯したものが奴隷にされたり金がなくて身売りする事になって奴隷になったりしてるのが多い。奴隷っても色んな理由で使われるんだ。家事を任されたり戦闘のお供にしたり……性奴隷に使ったりな。」
性奴隷!?…………ふふ、ますます欲しくなってきたぞ
トントン
「失礼いたします。」
そんな声がして扉が開くとそこにはあの時のエルフがいた。
「旦那様、お茶をお持ちいたしました。」
「おお、レンティアか。」
レンティアって言うのか、このエルフは。
レンティアはこちらの視線に気づくとはにかんで会釈をしてきた。そして扉の向こうに去っていった。
「あの子は見覚えあるだろう?アンタが助けてくれた子だよ。まさかエルフが奴隷にされるなんて驚いてるよ」
俺は今キンベルの声は聞こえてなかった。レンティアのことで頭がいっぱいだった。
なぜかって?
俺が知りたい。
なぜメイド服を来ていたのだ!?
しかもちょっとショートでゴスロリが入ってる奴を!
陶磁器のように白く柔らかそうな肌。
スラリと伸びて長い足。
モデルのようなクビレに形もよく大きすぎない胸。
そして1本1本が糸のように細く綺麗でサラサラな髪。
これが本物のエルフ……これが……
「どうだい?気に入ったかい?神崎さん。」
「え?あ、あぁ。素晴らしいな彼女は。」
「あの子は今、いろんな客が欲しがっているのさ。エルフだし美人だしな。それに戦闘もできる、精霊魔法も使える、それに処女だ。誰もがほしがるのは当たり前だな。」
「いいことづくめじゃないか……。いくらで売る気なんだ?」
「俺としてはあんまり売りたくないんだよな~、もう少し看板として客を引き寄せて貰いてえしそれに……その変の奴らに売るのはちょっともったいない気がするんだ。欲しがる客はだいたい金持ちのボンボンだ。コレクションとか玩具程度にしか考えてないんだろう。だから金額100枚って言ってある」
「金貨100枚!?百万円だと!?まあそれでも金持ちなら軽く買えるだろうな……」
「しかし俺としたら勿体なくて売りたくねえんだ。
そこで話なんだが……アンタ、レンティア欲しいんだろう?」
「ッ!?ああ……欲しいな。あれだけの美人で戦える。そしてエルフ……ぜひとも頂きたい」
「まあアンタなら別に売ってもいいとは思うんだ。アーウェルを助けてもらった借りもあるしレンティア自身もアンタに仕えたいって言ってるしな。」
「レンティアが……俺に……?」
「なんでも命を助けてもらったからなんとしてもお礼がしたいってな。そういうことであんたに優先して売ってやろう。」
「本当か!?しかし百万円も用意はできんぞ。」
「わかってる。そうだな、アーウェルと助けてくれた礼とレンティア自身の願いもあるから……金額75でいい。」
「金額75だと!?それでも無理だ!」
「別にすぐとは言わん。3日だ。3日待ってやる。それまでに金額75枚用意してくれればレンティアを売ってやろう。無理なら……まあ、諦めな。」