第12話 金髪エルフの奴隷
キンベルが開け放った部屋の中には1人の店員を連れて女性がいた。
髪は長くサラサラな金髪。瞳は翡翠色で優しそうな目。身長は160くらいで出るところは出ていて締まるところはしまっていた。そして…耳が大きく尖っていた。
「「エルフっ!?」」
「あっあなたはっ!?」
俺とキンベルと金髪エルフが同時に叫んだ
。
「おいおい、アーウェル…まじか…」
「私も驚きました。言ってみたら奴隷らしき人がいなかったので聞いたらこの子だと…」
「え、奴隷?」
「ええ、キンベルは奴隷商なんです。」
「奴隷…じゃあ無理やり連れてきたのか?」
「ん?神崎さんもしかして奴隷制度知らないのか?奴隷なるのは犯罪を犯したもの、金がなくて身売りをしなければいけなくなったときに売られたもの、だ。神崎さんも奴隷を持ってる人を見たことあるだろ?」
「え、いや、…ないな。」
「そうなのか、まあ今度うちの店に来いよ。色々と教えてやる。この街にあるしな。」
「キンベル、これがこの子の詳細と証明書だ。」
「わかった。じゃあ店に運んでくれ。俺は先に戻ってる。じゃあな神崎さん、待ってるぜ。」
と言い残しキンベルはそそくさと出て行った。
「では、彼女をキンベルの店へ連れて行きます。馬車の準備を。」.
と店員にアーウェルが指示を出し金髪エルフを、連れていこうとした時だった。
「あの!少し待ってくれませんか?私まだお礼も言えてなくて…」
「そうでしたね、では少し待ちましょう。」
すると金髪エルフがこっちに歩いてきた。
そして俺の前まで来ると頭を下げた。
「私を救ってくれてありがとうございました。あなたに助けてもらえなければ私は死んでいました。本当にありがとうございます。私は奴隷になってしまいあなたにお礼も何も出来ません。ですがこのご恩はけして忘れません…それでは失礼します。」
そういうと店員と一緒に部屋を出て行った。
「アーウェルさん、あの子は…」
「あの子はあなたが助けてくれた馬車の荷台にいたんですよ。葵様は私の隣でしたので気づかないのも無理ありません。」
じゃああの時の悲鳴は彼女のものだったのか…あの子の悲鳴に駆けつけたら…って感じか…。てことは一部始終を見ていたのか…。
「それでは葵様。私はまた、隣町へ行かなければならないので出てしまいますが葵様はいかがいたしますか?まだゆっくりされるのでしたら店のものに世話をさせますが…」
「いや、大丈夫だ。俺も行きたいところがあるからな。世話になったありがとう。」
「いえいえ、こちらこそありがとうございます。またなにかの縁がありましたらよろしくお願いします。」
などと挨拶をし俺はアーウェルの店を出た。