表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/54

003-曇りのち晴れのチュートリアル02

 家の内部は広間らしき大部屋が1部屋、台所が1部屋、個人部屋らしき小部屋が3部屋が存在しており、各部屋ともに家具も置いてあって綺麗な部屋であった。しかし、それに加えてトイレ、洗面所、風呂場とゲーム世界に必要なさそうな設備まで備えられていたことが気になる。現実の家を模して、であればいいのだけど実際に使用する必要がある可能性も考えておくべきか。

 

『うんうん、みんな家に到着できたようだね。それじゃあプレゼントがあるから広間に移動してもらえるかな?』

 

 家の各所の確認を終えたところで頭の中に進行ちゃんの声が響く。

 その声に従い広間に移動したところ、何もなかったはずのテーブルの上に小さな鞄が3つ置いてある。それを手に取り、よく確認してみたが小さな鞄というよりはベルトポーチと言った方が正しいかもしれない。男女別で違いはあるようだが、初期装備であるこの服装にはちょうどベルトがついている。

 

『そのマジックポーチの使い方についてはあとで知る機会があるから安心してね。次だよ』

 

 突然目の前に半透明のウィンドウが現れた。そのウィンドウには魔法銃、従魔魔法、付加術と3つの言葉だけが表示されている。

 

『そこに表示されているのは選択肢。君達の適性に合ったスキルが表示されているはずだよ』

 

 従魔、魔法?

 なぜかこのスキルにだけ、特に惹かれてしまう。確かに魔物を従えるような名称のこのスキルは僕の好みに一致しているかもしれない。望むならば従える、ではなく肩を並べてともに戦える、そんなスキルであってほしい。

 しかし、なぜここまで惹かれるのか分からない。

 

『君達にはその中から1つだけ、得ることができる。直感に任せるもいいし、考え込むのもいい。他のプレイヤーには見えないから安心してじっくり、ゆっくり選んでほしいな。選び方は表示されたウィンドウのスキル名に触れるだけで良いからね』

 

 魔法銃、付加術と十分に気になる名称のスキルだ。

 魔法銃はその名の通り、魔法銃という種類の武器を扱うスキルだろう。魔力的、魔法的な弾丸を打つ遠距離タイプの武器であることが予想できる。そのカッコよさに惹かれるものもあり僕にとっては一般的な武器であれば、まず選ぶべきスキル。

 付加術に関しては他の2つが攻撃系、特殊系と考えて支援系統と予想し、他のプレイヤーに特殊能力を一時的に付加するスキル。あるいは他の2つが武器系、魔法系と考えて生産系と予想し、道具に特殊能力を付加するスキル。他にも候補はあるのだがこの2つが今のところ可能性が高いと考えている。他のメインとなるスキルのサブとして取得するならば十分検討できるが、1つしか選択できない今の状況では候補から外すべきだ。

 そして、従魔魔法。

 魔法銃と比較してさえも、比較すら必要ないほどに惹かれてしまう。他の2つに従魔魔法よりも遥かに高い適性があったとしても関係ない。僕にはこのスキルしか選択できない。それほどに、従魔魔法に惹かれている。

 このゲームは剣と魔法のファンタジー。魔法封印が当然予想される中、まず選ぶべきは武器系統の可能性が高い魔法銃のスキルだと分かっていても、それでも従魔魔法以外を選択する気にはなれない。

 初期スキルとは言っても、あとから取得できる可能性は十分にある。それでも従魔魔法が選択できる以上、それ以外を選ぶことはしたくない。最初に取得するべきは従魔魔法であるべきだと、そう感じてしまう。

 従魔魔法。なぜこのスキルはそこまで僕を惹きつける。分からない、分からないがここまで惹かれたスキルなのだ、ここで選ばなければきっと後悔するだろう。

 指は自然と、当然それを選択すべきと僕に示すように従魔魔法の表示へと一直線に向かっていく。そして、従魔魔法を選択した。

 ウィンドウには従魔魔法を取得しましたと表示され、確認を選択するとウィンドウそのものが消えた。なぜこのスキルがここまで僕を惹きつけるかは分からないが使っているうちにきっと分かるはずだ。

 

 

 

『うん、全員が選び終わったね。それじゃあ最後に武器を1つ、プレゼントしよう。武器はスキルがなくても扱えるから心配しないで好きな武器を選ぶといいよ』

 

 数分後、再び進行ちゃんの声が頭に響く。

 この短時間で全員が選び終えた。このイベントに何人参加しているかは知らないが、全員僕と同じように特別惹かれるスキルがあったのかもしれない。

 進行ちゃんの言葉が終わった瞬間に新たなウィンドウが表示された。そこには剣、槍、斧などなど、剣と魔法のファンタジーには欠かせない武器から魔法銃、楽器など珍しいもの、そして武器か防具か盾まで並んでいる。

 この中で僕が選ぶべきは魔法銃。剣などの一般的な武器に関してはどうにかなるが、銃に関してはゲーム開始時で難易度が低いであろう今のうちに慣れておきたい。他の珍しい武器である楽器に関しては音による攻撃だと予想されるので僕には一番必要ないだろう。

 ウィンドウから魔法銃を選択すると『マジックポーチに魔法銃を転送しました』と表示された。あの小さなマジックポーチに武器が転送されたことから、ゲームなどでよく見かける不思議な収納力をもつゲーム主人公が持っているような鞄に似たものだと予想できる。

 

 

 

『うん、全員に武器のプレゼントが完了したよ。チュートリアル的なことは明日の朝から聞くことができるようになるからね。それじゃあ頑張ってね~』

 

 数分後、再び進行ちゃんの声が頭に響く。

 どうやらプレゼントは武器までで終わりのようだ。そしてチュートリアルは明日の朝、つまりはそれまでに知りたいならば自分で試すしかない。これは意地悪ではなくパーティでの話す機会を増やすためかもしれない。明日まで待ってもいいし、1人で試してもいいし、パーティで話し合いながら試してもいい。僕はもちろん、パーティで話し合うことを選択したい。

20150505:

誤字を修正しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ