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023-硬き身体と折れぬ刀07

「アオさん、お疲れさま」

 

「アオ、お疲れさま」

 

「2人もお疲れさま」

 

 そう答えてくれたアオさんの声は、やはり疲れている様子が窺える。

 リンカさんがアオさんの隣に腰を下ろしたのと同時に僕も近くへと腰を下ろす。そして3分はすぐに経過して転移されたのか、風景が一変した。

 転移された先はボス直前のエリアではなく桜の木に囲まれたダンジョンに入る前の広場。どうやらボスを撃破すれば自動でダンジョンから脱出させてくれるようだ。

 

「2人とも、もう少しここで休憩していくかい? それとも家に戻ってからゆっくりと休憩するかい?」

 

「私は家でゆっくりと休憩したいかな」

 

 帰り道に魔物が配置されている可能性もあるが、仮にそうだったとしても試練は既にクリア済みなので死に戻りしてペナルティーを受けたところで問題はない。

 

「僕も家で休憩したいかな」

 

「それでは家に戻ろうか」

 

「うん」

 

 

 

 何事もなく家に到着し、夕飯までは自由行動となったので自室へとやって来た。僕以外に誰か広間に残るようならばあちらで休憩しても良かったのだけど、2人とも自室で休憩するようなので僕も自室で休憩することにした。

 ベットに寝転がり、目を閉じる。夕飯まではあと数時間あるので休憩も兼ねて少し眠り時間を潰す予定だ。今日はよく動いたのでよく眠れそうだよ。

 

 

 

 夕飯を食べたあと明日からの予定を相談した。

 まず明日は自由時間。休憩をするなり、探索をするなり、訓練をするなり自由に過ごすことに。そして明後日以降だが午前中は全員で探索と食料調達、午後からは自由時間となった。

 探索に関しては付近に新たな場所が追加されていないかの確認であり、食料調達に関しては既にかなりの備蓄があるので念のために集めておくだけだ。

 自由時間に関しては行く先さえ告げればダンジョンへと赴いてもいいし、近くで訓練していてもいいし、部屋で寛いでいてもいい。もちろん、誰かを誘ってともにダンジョンで魔物を倒すのもいい。

 僕は自由時間を使って従魔魔法を調べていくつもりだ。もちろん、2人のどちらかに誘われればダンジョンなどに赴くつもりではいる。

 

「そういえばユウ君は斧も扱えたのだね。少し驚きだよ」

 

「扱ったというよりかはただ振り下ろしていただけかな。僕としてはリンカさんが凄かったと思うよ」

 

「うん、リンカの動きは凄かった」

 

 どうやら槍については見られていなかったようで安心した。まあ、見られないタイミングを狙って槍で攻撃をしたのだけどね。

 

「それは嬉しいな。あの時は無我夢中だったが、良い動きができていたと思っているよ」

 

「アオさんの弓の腕前も凄かったよね。初めてすぐであの長時間集中して矢を当て続けるのは凄いと思うよ」

 

「そ、そう?」

 

「ゆっくりとは見れなかったが、凄かったと私も思ったよ」

 

「そう……ありがとう。でも、リンカほどではない」

 

 その後ボスのことも話し合い、強力な代わりに時間制限付きのボスであったと結論が出た。次に相手をする機会があれば最初からリンカさんが攻撃を行い、そのまま倒せるまで引きつけておくことに。僕も相手をしてみたいとは思うが、今の状況ではリンカさんが適任なので僕はちょうどいい機会があればその時にでも。

 

「さて、明日のことも決まり、ボスの対応も決まった。あとはお風呂に入って寝るとしようか。アオ、一緒に入らいないかい?」

 

「今日は3人で入らないの?」

 

 アオさんが少し笑いながらリンカさんをからかっている。

 

「アオ、まだ言うかい?」

 

 怖い笑顔でそう答えるリンカさん。

 

「それではアオさん、一緒に入ろうか? 僕としては知っている相手が提案してくれたのなら断る理由はないんだよ?」

 

「……え!?」

 

 僕の言葉に一転して慌て始めたアオさん。

 今回はアオさんをからかうために言ったが、実際のところ必要であれば躊躇はしない。まあ、必要な状況がくるとは思えないけどね。

 

「冗談だよ。さあ、2人で入ってくるといいよ」

 

「ユウ君は結構イイ性格している?」

 

「アオ、君も言えたことではないがな。まあ、メルと似ていてイイ性格だとは思うよ」

 

「そんな褒めないでよ」

 

 2人が呆れ顔で僕を見ているが気にしない。姉さんはイイ性格であり、良い性格でもある。その姉さんと似ていると評されたのならば本当に嬉しいことだよ。まあ似ているとは言われたのはイイ性格の部分だけどね。

 

 

 

 特に何事もなく最終日となった。

 周囲を探索した結果だが、特に変わったところはなく食料も問題なく集めることができた。

 自由時間に関しては後半の2日は3人でダンジョンへ入り木人形を倒していたが、前半2日は従魔魔法に関していろいろと試行錯誤していた。

 そして従魔魔法だが、相変わらず何も分かっていない。<<従魔の書>>以外の技能はすべて使用できないし、従魔の書に収まっているカードに関しても黒いままで詳細どころか情報の欠片すら分からない。

 サポちゃんは条件を満たせば使用可能になるかもしれないと言っていた黒いカード。その条件とはいったい何なのだろうか。この状態が正常であると運営が判断したことを考えると、おそらく今の状態でも満たせる条件だとは思っているが……次のログイン時には判明させたいな。

 2人と一緒に広間で寛ぎつつそんなことを考えていると視界が黒く染まった。少し前に進行君からログアウトは10時だとアナウンスがあったが、どうやら考え込んでいる間に10時になっていたようだ。

◇20150504:

誤字を修正しました。

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