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019-硬き身体と折れぬ刀03

「2人ともお疲れさま。リンカさんの方も――」

 

「ユウ君! 腕は大丈夫なの!?」

 

 とっても痛いです。これまではダメージを受けていなかったので痛みに関してどうなっているか分からなかったが、どうやら現実と同等程度の痛みがあるようだ。

 そして戦闘中はどうにか痛みを忘れていられたが、少し安心した途端かなりの痛みが襲ってきた。しかし、それを2人に知られてしまうのはあまり良くない。それにアオさんを守るために負った傷だとしても、僕の役目はアオさんを守ることも含まれているのだから気にする必要はないのだが、優しいアオさんは気にしてしまう。それは心配そうにこちらを見つめ、叫ぶように問いかけてきた様子を見ても明らかだろう。

 

「問題ないよ。ほらほら、十分に動く。心配してくれてありがとう、アオさん」

 

「よかった……」

 

 そう言い、左腕を動かして問題ないことを示すと、それを見たアオさんは安心した表情を浮かべた。

 実際のところ魔法銃を使用した戦闘にはほとんど問題なく、視界に追加されているHPバーも3割程度しか減っていないので先ほど程度の戦闘ならば問題ないだろう。

 

「アオが焦った様子でユウ君の腕に矢が刺さったと伝えてきた時は驚いたが、その様子ならば大丈夫そうだね」

 

「うん、リンカさんも心配してくれてありがとう。ところでリンカさんの方は人間を模した木の人形みたいな魔物だったのかな? 僕の位置からでは槍のような何かを使っていたことしか確認できなかったんだ」

 

「ああ。先ほど君が戦っていた魔物を見たが、姿形は同じだったよ。おそらく武器が違うだけで同じ魔物なのだろう」

 

 そうなると、こちらと同じく武器を使用する魔物なのだろう。そして現状確認できたのが槍と弓。おそらく、これだけではないのだろうね。

 

「ところでリンカさん、紫色の宝石みたいなのが体に埋まっていたんだけどそちらは確認できた?」

 

「ああ、頭を真っ二つにした断面に確認できたよ」

 

 結構丈夫だと思ったけど、刀で真っ二つとは驚いた。これはリンカさんの腕がいいのか、刀の切れ味がいいのか、あるいはその両方か。

 

「こちらは腹部で露出までに魔法銃で十数発かかったけど、そのあとは2発で倒せたよ。もしかしたら弱点かもしれないね」

 

 仮にあの紫色の宝石を狙わなかったらMP切れまで撃っても倒せない可能性もある。次回あたりに試してみたいな。

 

「2人とも――」

 

「アオさん、次回は<<溜め>>で該当箇所を狙ってみてもらえるかな? おそらく<<溜め>>ならば一撃で貫通できると思うんだ」

 

 アオさんの言葉を遮ってそう告げた。声や表情から、役に立てなかったと謝罪する言葉だと予想できたが、それは必要のない言葉。どちらかといえばあの状況で問題なく動ける僕やリンカさんがおかしいのであって、普通ならば動けなくても仕方ない。なので、アオさんはこれから徐々に慣れていけばいい。

 

「……ありがとう。次は任せて」

 

 力強く発せられたその言葉に安心する。

 

「それでは休憩を挟んで先へ進もうか」

 

「うん、そうしよう」

 

 それにしても、最初の奇襲を避けたリンカさんの動きから咄嗟の動きには問題ないようだ。予想はしていたことだが確認できてよかった。これで一歩、原因へ近づけるだろう。

 

 

 

 木人形を倒しつつ森を進んでいる。

 あれ以後、木人形は1体から3体の範囲で奇襲をかけてきているが、弓以外はリンカさんが対応し、弓に関しては僕が対応している。弓への対応は難しいかと考えていたのだけど、必ず弓以外の木人形が攻撃してから弓は攻撃してくるのだ。世界を賭けたゲームを行っているというのに、優しい相手だ。

 次に木人形の紫色の宝石だが、弱点で間違いないだろう。魔法銃を連射して露出させたあとで宝石ではなく他の箇所へ魔法銃を十発ほど撃っても倒すことはできなかったが、そのあと宝石へと攻撃したところ2発で倒せたことから弱点と考えて問題はないはずだ。

 そしてアオさんの<<溜め>>による攻撃だが、一撃で弱点ごと貫いて木人形を倒すことができている。その命中率も8割以上と良く、攻撃力の低い僕の役目はアオさんが<<溜め>>を行い狙いをつけている間、魔物を引きつける程度になっている。リンカさんの場合は一撃で倒しているので引きつける必要すらない。

 次に木人形の武器の種類だが槍、弓、剣、刀、斧が確認できている。各弱点は剣が左胸、刀が胸とへその中間付近、槍と斧が頭、弓が腹部のへそ付近であり、斧以外は自然と狙うことができた。斧に関しては3人とも自然と分からなかったのでリンカさんが各箇所を両断して確認を行った。

 最後にアイテムに関してだが木人形からは極稀に紫色の石が入手でき、木人形が持っていた武器に対して木人形より先に剥ぎ取りナイフを突き刺すと、5割程度の確率で木材を入手できている。

 それ以外のアイテム、あちらには存在していた果実や野菜なども今のところ確認できていない。

 

「そろそろお昼にしようか。とは言っても果実だけだが」

 

「調理道具がないからね。こればかりは仕方ないよ」

 

 ログアウト前に確認していたことなのだが、マジックポーチ内は時間が経過する。そのため料理を作って保存しておくことは難しい。まあ、それ以前に食器が入らないのだけどね。

 2人ともマジックポーチから果実を取り出して食べ始めたので、僕もマジックポーチから梨のような果実を取り出して食べ始める。

 さてさて、ボスとはいつ頃戦えるのだろうか。野宿道具や持ち出し用の調理道具が入手できない状態で、さらにこの場所には食料が存在していないことから、このダンジョンは木人形をうまく対処できるのならばすぐにクリアできるものだと考えている。なので問題はボスがどれほど強力なのかだろう。

 木人形と同系統の魔物なのか、全く違う系統の魔物なのか。結構マズイのが物理系等が効きにくい魔物だと考えている。攻撃力の高い2人は物理攻撃が主というか、現状では物理攻撃しかできない。そして唯一物理攻撃ではない僕の魔法銃は威力が低く、継戦能力が低い。物理攻撃を無効化してきそうなスライムなどがでてきたら本当にどうしようね。

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